宮野真守×鈴村健一:“声優界の英雄”が語り合う「銀英伝」 ラインハルトの心構え ヤンの難しさ

「銀河英雄伝説 Die Neue These 激突」の第一章の一場面(C)田中芳樹/銀河英雄伝説 Die Neue These 製作委員会
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「銀河英雄伝説 Die Neue These 激突」の第一章の一場面(C)田中芳樹/銀河英雄伝説 Die Neue These 製作委員会

 田中芳樹さんの人気小説「銀河英雄伝説(銀英伝)」のアニメシリーズ「銀河英雄伝説 Die Neue These」の第3期「銀河英雄伝説 Die Neue These 激突」の第一章が3月4日から3週間限定で上映される。銀河帝国の常勝の天才・ラインハルトと自由惑星同盟の不敗の魔術師ヤン・ウェンリーの対決を中心に銀河の興亡を描いた人気作。アニメは第1期「邂逅」がテレビアニメとして2018年4月に放送をスタートし、宮野真守さんがラインハルト、鈴村健一さんがヤンを演じるなど人気声優が集結したことも話題になっている。“声優界の英雄”宮野さん、鈴村さんに「銀英伝」の魅力について語り合ってもらった。

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 ◇ヤンを演じるのがどんどん難しくなる

 --改めて感じる「銀英伝」の魅力は?

 宮野さん 改めて思うことですが、圧倒的にストーリーが面白いんですよね。大きなスケールの世界観で、長い物語の中で、一人一人のキャラクターがしっかりたっていて、それぞれの人生が描かれている。

 鈴村さん 普遍性が魅力なんですよね。1980年代に書かれた小説が今も支持されている。今の時代の僕らの生活にもリンクしているんですよね。自由惑星同盟が一枚岩ではなくて、国内でもいざこざがあったり、今、ニュースになっていることと大差がないんですよね。変わっていないんですよね。

 宮野さん そう思うと怖くなりますね。

 鈴村さん 怖いし、悲しいですよね。何とかならないのかな?

 宮野さん ヤンの気持ちが分かりますよね。

 鈴村さん そうそう(笑い)。群像劇で、キャラクターの掘り下げもすごい。政治劇だとちょっと説教くさくなるかもしれないけど、エンタメに寄っているんです。エンタメの理想だと思います。

 宮野さん 田中先生の語り口もすごく好きで。心情の表現が華やかなんです。すてきな言葉で彩られているので感情が伝わるんですよね。田中先生が書かれたものを声でも表現していきたいと思っています。

 鈴村さん そうですね。

 --演じる中で感じること、意識していることは?

 宮野さん 最初に「貴族の世界としての当たり前」で存在するという事の演出を受けました。難しいなあ……(笑い)。ずっと肝に銘じています。

 鈴村さん 難しくなってきました。どんどん難易度が上がっているように感じています。不思議なもので、役はなじんでいくものだと思っていたのですが、ヤンならこうする……という可能性がいっぱいあるんです。答えが明確だったらいいのですが、複雑です。ラインハルトやユリアンは、成長や変化が描かれるけど、ヤンはそこが描かれていない。元々の資質があり、どう手札を切るか?というキャラクターです。ヤン像が完成していて、そこから何をやるか?というお芝居が難しいんです。小説でも「果たしてヤンはどう思ったのか?」というように書かれていたり。そこが作品としての面白さなんだけど。演じる時はそこをひもとかないといけない。演じるうちに、どんどん難しくなる。それが、ヤンなんですけどね。

 宮野さん ヤンは立場がどんどん難しくなりますよね。置かれている状況も複雑ですし。

 鈴村さん そうなんですよ。

 宮野さん 第3期の査問会も大変ですよね。ラインハルトとは状況が全然違う。

 鈴村さん ただ、思うところはあるんだよね。それを「行動しろよ」と言ってくるシェーンコップみたいな人もいるけど、行動できない。「こう思っている!」というものがあり、演じたいんですけど、「本当はどう思っているか?」というのが難しいんです。

 ◇鈴村健一はお兄ちゃん? 宮野真守が切り開いてきたもの

 --ヤンとラインハルトはライバルです。鈴村さんと宮野さんの互いの印象は?

 宮野さん 出会った頃からお兄ちゃんだったなあ。

 鈴村さん その時のマモ(宮野さん)はちょっとオドオドしていた(笑い)。

 宮野さん 15、6年前ですね。その頃から、既に鈴村さんと櫻井(孝宏)さんに甘えていました(笑い)。今はお仕事の相談などもさせていただいています。

 鈴村さん マモが今の立ち位置になるまでを近くで見ることができて幸せです。ずっと思っていて、今も思っているけど、今は何度目かの声優ブームとも言われているけど、すごく前から向き合っていたのが宮野真守だと思う。舞台、音楽の活動などをやる意味を考えてやっていると思うんです。昔からそれを考えていたことがすごい。僕もいろいろなことをやりたいタイプです。「声優って面白い人がいっぱいいるんだぜ!」と声優のレンジを広げたい。マモが、そのレンジをより広げてくれた。業界を大きくするために動いていることに、勝手にシンパシーを感じています。マモが切り開いたことがいっぱいあるんです。もちろん、これまで先輩たちがやられてきたことで、脈々と受け継がれているんだけど、近年、その役割を大きく果たしたのがマモだと思う。

 宮野さん 僕は銀河を手に入れたい(笑い)。

 鈴村さん そのまま銀河を手に入れるんだよ! そこはラインハルトに似ているね(笑い)。やりたいことがあって、それに対して真摯(しんし)に向き合っている。それを見ているのがうれしいんです。

 宮野さん 鈴村さんはヤンですね。社長としてみんなを守っていますし。

 鈴村さん うちの艦隊には面白いヤツがいっぱいいますしね(笑い)。

 --第3期を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

 宮野さん 第3期までできるなんて、本当にうれしいです。今回は、対立構造に変化があります。同盟の内部でのいざこざもあり、ヤンは、ラインハルトがやっていることを否定できなくなってきているような…。うねりがあるのが第3期です。群像劇がより複雑になっていきます。

 鈴村さん いろいろなことが入り組んできますよね。見せ場も多いです。バトルとしては、要塞ごと移動させたりしますし。

 宮野さん 映像もすごかったです。

 鈴村さん 戦術的にも真骨頂です。さらに、査問会もあります。ここもキモです。ヤンを演じる上でも大切にしたかったところの一つで「いよいよきた!」と思いを込めて演じました。ぜひ楽しんでいただきたいです。第3期は、見せ場が凝縮されています。

 第3期「激突」は、第一章が3月4日、第二章が4月1日、第三章が5月13日に上映される。各章3週間限定上映。

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