細田佳央太:「ドラゴン桜」につながる2年前の“学び” きっかけは「子供はわかってあげない」と上白石萌歌

映画「子供はわかってあげない」に出演した細田佳央太さん
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映画「子供はわかってあげない」に出演した細田佳央太さん

 「南極料理人」(2009年)、「横道世之介」(2013年)の沖田修一監督の映画「子供はわかってあげない」に、シャイで素朴な青年“もじくん”役で出演している細田佳央太(かなた)さん。細田さんといえば、4月期に放送された連続ドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)で、“健太くん”こと原健太を演じ、一躍脚光を浴びたことも記憶に新しい。そんな「ドラゴン桜」の好演へとつながる“学び”が、約2年前の「子供はわかってあげない」の撮影現場にはあったという。「今の自分が役や作品について考えていることとか、スタンスを作ったのが、それこそ『子供はわかってあげない』なのかもしれません」と明かす細田さんに話を聞いた。

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 ◇約2年前の演技「正直、納得はできてないです」

 映画は、マンガ誌「モーニング」(講談社)で連載された田島列島さんの同名マンガを、上白石萌歌さん主演で実写化。高校2年生の美波(上白石さん)は、書道部男子のもじくん(細田さん)との運命の出会いをきっかけに、幼い頃に別れた父親の居所を探し求める……という内容で、美波が経験する「ひと夏の出会い」が見どころの青春物語として8月20日に全国公開された。

 当初2020年6月26日公開を予定していた同作。撮影は約2年前で「ドラゴン桜」を経験したいま振り返ると、自身の演技には「正直、納得はできてないです」と細田さんは明かす。

 「多分、そのときの自分にしか出せないものは出せたと思うし、当時は一生懸命やってはいたんだろうなと思ってはいるのですが……。改めて映画を見てみると、『もっとできたんじゃないか』となってしまうんです。それは技術的な面でもそうですし、精神的な面でもそう。ふとした瞬間に感じることが結構あって。僕自身は納得はできてないです」

 そう思えるのも、2年の間で細田さんが俳優として成長を遂げた証しだろう。では実際に撮影現場では、どんな感じだったのだろうか。

 「沖田監督からは『細田君っぽくやっていい』と言われて、本当に動きの指示がなくて、自由にやらせていただきましたし、沖田監督自身が楽しそうに撮っていらっしゃったので、その雰囲気が周りにも伝染して、自然と温かい現場になっていくのを見て、沖田監督に出会えて本当によかったなって思いました。沖田監督じゃなかったら『子供はわかってあげない』という作品は全然違ったものになっていたと思うし、沖田監督が撮った『子供はわかってあげない』で“もじくん”を演じることができてよかったなってこともすごく感じました」

 ◇“自分っぽく”演じることに挑戦 撮影を通して大きな“学び”も

 一方で、細田さんいわく「誰のことでも受け入れる、否定から入らない、優しさが魅力」の“もじくん”を、自分っぽく表現することは「子供はわかってあげない」の撮影において最も大きな挑戦だった。

 「実は僕はずっとそれをやってみたいと思ってはいたんです。“自分っぽく”役を演じるってことを。でも、いざやってみると、やっぱり難しい。“自分っぽく”ってある意味、自分の素を(役を通じて)出すってことだと思うのですが、そのためには自分で自分を知らなくてはいけない。俯瞰(ふかん)で見てみたり、家族に聞いてみたりしたのですが、なかなか役と共通点が見つからなくて、そこは大きな挑戦だったと思います」

 また細田さんは撮影を通して大きな“学び”もあったという。それは主演の上白石さんの役、作品に対するスタンス。

 「夏に撮ったのですごく暑い中、基本出ずっぱりで、疲れていたと思うのですが、そういったそぶりを一切、見せず、スタッフさんともコミュニケーションをとって、現場を明るくしてくださって。美波という役に対しても、ひたむきに、一生懸命向き合っていて、自分は『まだまだ足りてない』と感じたんです。覚悟というか、この役を演じるにあたっての責任というか。そこで、もっと自分は覚悟を持って臨まなければいけないと思って、役に対しての向き合い方が変わりました。“そこから”です」

 「ドラゴン桜」では役作りのため体重を12キロ増量。とある問題を抱える一方で特殊な才能を持つ“健太くん”を見事に演じきり、高い評価を得た細田さん。「役に対する責任感は、どんどん自分の中で強くなってきている」と語っていたが、そのきっかけとなった“学び”が「子供はわかってあげない」の現場にあったというわけだ。

 ◇「ドラゴン桜」での“気づき” 「頑張ってるのは自分だけじゃない」

 最後に「ドラゴン桜」を経ての役への向き合い方も聞いた。

 「大きなところ、根っこの部分やスタンスそのものは変わっていないのですが、『ドラゴン桜』では同世代と演技のことや役者としての本音を話す機会が多くて、そういう話ができるってこと自体が新鮮で、貴重な経験にもなりましたし、ある意味、安心もしました。負けず嫌いの子が多かったので、そこで触発されましたし、決して頑張っているのは自分だけじゃない、じゃあ自分ももっと頑張らないといけないんだってことに気付けたというか。それは本当によかったなって思います」と結論づけた。

  まだまだ伸び盛りの19歳から今後も目が離せなくなりそうだ。

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