テレビアニメ「ガンダム Gのレコンギスタ(G-レコ)」の劇場版「Gのレコンギスタ」の第3部「宇宙からの遺産」(富野由悠季総監督)が公開された。新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、2020年2月に上映された第2部「ベルリ撃進」以来、約1年半ぶりの新作となった。富野監督は、7月24日放送の情報番組「新・情報7daysニュースキャスター」(TBS系)で宮崎駿監督、細田守監督、庵野秀明監督に対して「敵だ!」と“富野節”の“毒舌”を繰り出したことも話題になった。富野監督に新型コロナウイルスの感染拡大の影響、「敵だ!」発言の真意を聞いた。
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新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、2020年は、テレビアニメの放送延期が相次いだ。3月に「G-レコ」の第3部が7月22日に公開されることが発表された際、富野監督は「スタッフが感染症にかかったらどうしようという不安は多少ありますが、逆に言いますと仕事があることで元気を保てるということが起こります。仕事を利用して健康を維持し、そして仕事を達成することによってみんなが気持ちよくなる。それが『G-レコ』の基本的なコンセプトですので第3部のみならず第4部も第5部も期待して待っていてください! じいちゃん、頑張るぞ!」とコメントを寄せていた。
コロナ禍で制作に影響はあったのだろうか?
「平常の制作、コロナ禍の制作の違いが分からない。自分の仕事しかやっていない人間だから、ほかのアニメの作り方を知らないんです。影響は多少あります。だから、半年くらいずれ込んでしまった。アニメ制作は、基本的にネットワークでつながっている時代です。この10年くらいで、デジタル化、分業体制が確立してきた。飲食業に比べると影響は全然ないです」
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、生活スタイルが変わった。社会の変化は「G-レコ」のコンセプト、ストーリーなどに影響を及ぼしたのだろうか? 富野監督は「関係ないです」と話す。
「コロナで困ったと思ったのは、『G-レコ』で感染症を扱っていなかったこと。そういう想像ができなかったことを反省しています。かつての感染症のことをもう少し勉強した方がよかったという後悔があります。ただ、こういう環境になり、戦記物にしなくてよかったと思っています。未来志向の作品にしていたので。五輪のことを含めて、後世のためにこのドタバタ劇をきちんと残してほしいです。ウソを残してほしくない。それはメディアの役割だけど、今は健全な書き手がいないから難しいかな」
富野監督は“毒舌”と言われることもある。「新・情報7daysニュースキャスター」の「敵だ!」発言も視聴者に強烈なインパクトを残した。
「毒舌と思っていない。『敵だ!』と言わないとこっちが軟弱になる。ああでも言わないと自分がだらしなくなる。本気にならないと倒せないから。五輪だって、頑張らないと勝てない。普通の生き方ですよ!」
番組では、宮崎監督への思いを語っていた。
「宮崎さん、高畑(勲)さんは作家としての能力がありすぎて、僕みたいにアニメを捉えていない。僕は作家とはちょっと違う。現実との接点の中でこういうふうにしている。自分の作品を映画として作り直すのをこんなにやっているのは僕くらいしかいない。作り直すという手間をやってみたらいいのに。もったいない。『2001年宇宙の旅』を僕のところに持ってこい! 1時間50分にまとめてやる!」
“富野版”「2001年宇宙の旅」、ぜひ見てみたいが、「でも、怖いからやりたくない!」と言われてしまった。
劇場版「G-レコ」は、2014年10月~15年3月に放送されたテレビアニメ全26話に新たなカットを追加し、全5部作として公開される。劇場版は、主人公のベルリ・ゼナムとヒロインのアイーダ・レイハントンを中心とした物語として描き直した。「作り直すという手間」によって、何が変わったのか? ぜひその目で確かめてほしい。
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