岐阜県多治見市が舞台で、伝統工芸品・美濃焼がテーマのフリーコミックが原作のテレビアニメ&実写「やくならマグカップも(やくも)」で、主人公・豊川姫乃の祖母・土岐川幸恵の声優を務める真山亜子さん。多治見の隣、岐阜県土岐市出身の真山さんは、アニメで自然な東濃弁を披露している。多治見の高校に通っていたといい、多治見にゆかりの深い真山さんに同作への思いを聞いた。
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「やくも」は、2010年に多治見市の有志や企業が集まり、プロジェクトが始動。2012年から地元IT企業のプラネットがフリーコミックを発行している。母の故郷・多治見市に引っ越してきた豊川姫乃が、母が伝説の陶芸家であったことを知り、陶芸の世界に引き込まれていく……というストーリー。CBCテレビ、BS11、TOKYO MX、MBS、AT-Xで放送。
真山さんは「ちびまる子ちゃん」の杉山君役などで知られる声優で、土岐市出身だが、岐阜県立多治見北高校に通っていた。高校卒業後、18歳で上京したが、故郷を大切にしてきた。「やくも」の原作を以前から知っていたこともあり、特別な思いがあった。
「8年くらい前にマンガを紹介され、いつかアニメにならないかな?と思っていたんです。その時、アニメ関係者に、アニメ化しない?と言ったこともありました。でも、まだ始まったばかりの頃でしたからね。アニメ化されるなんて感無量ですよ。しかも、参加させていただいて、東濃弁をしゃべらせていただくなんて! まさかのまさかです。涙が出そうです。スタッフ、ファンの方の熱い思いを感じています」
多治見、土岐など岐阜県南部、東濃地方は、戦国時代の武将で茶人の古田織部が焼き物を作らせたことでも知られており、多治見は焼き物の街として知られている。真山さんの実家も陶芸関係の仕事をしていた。
「陶器を卸していました。陶器を出荷する傍ら、ラーメンの丼の縁に雷文の判子を押したり、絵付けの作業をしていて、子供の頃、龍の転写を切って、丼に貼る作業を手伝ったこともあります。小学校の卒業記念で陶器でトーテムポールを作り、友人のお父さんの窯で焼いてもらったのもよい思い出です。、図工の時間に手びねりをしたり。陶芸は地元のすてきな財産です。私もそうでしたが、地元にいるとそのよさは分からないかもしれません。『やくも』をきっかけに、陶芸をより身近に感じていただけるとうれしいです」
アニメでは多治見の美しい風景を丁寧に描いている。実写パートでも声優陣が多治見の魅力を紹介するなど“聖地”を堪能できる。
「盆地で夏は暑く、冬は寒いところは変わらないけど、駅前は随分変わりましたね。高校時代は、オリベストリートにはあまり行ったことがなくて、遊びたい時は、長瀬本町通りの喫茶店に寄っていました。実写パートを見て、こんなに変わったんだ!とびっくりしています。それに、中央線の車窓から見る土岐川の眺めが大好きなんです。風景がいいんですよね」
真山さんが演じる土岐川幸恵の東濃弁は、ネーティブならではの自然さも話題になっている。東濃弁は名古屋弁と違い、土岐と多治見でも少し違いがあるという。
「名古屋とはちょっと違うんです。形容詞が伸びるんですね。『えーりゃー』『なーにー』とか。似ているけど全然違うところもあります。土岐もまた微妙に違うので、多治見出身の同級生にチェックしてもらっています。土岐市の奥から出てきた女子高生にとって、多治見は都会感がありました。駅前にはデパートもあったし、サンリオショップ、モスバーガーもありました」
多治見では官民が一体となって「やくも」を盛り上げている。真山さんは「地元のお友達から見たよ!と連絡があったり、地元じゃない人にも多治見に行ってみたい!と言っていただいています。実写に出ないの?とも言われるのですが、出ないですよ(笑い)」と反響を喜んでいる。
「コロナの影響でなかなか難しいですが、落ち着いたら、また多治見に行きたいです。アニメや実写を見て、行きたいところが増えましたし」と真山さんは「やくも」をきっかけに多治見の魅力を再発見した様子。多治見に行ってみれば「やくも」の魅力をさらに感じることができるはずだ。
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