コミックスの世界累計発行部数が1億部を突破したことも話題の人気マンガ「進撃の巨人」の連載誌として知られる「別冊少年マガジン(別マガ)」(講談社)。「進撃の巨人」の担当編集としても知られる川窪慎太郎さんがチーフを務めてきたが、10月に乙黒和彦さんが新チーフに就任し、大きく生まれ変わるという。「別マガ」の新時代を引っ張る乙黒さんに、これからのチャレンジについて聞いた。
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「別マガ」は、「一番新しい冒険の書!!」をキャッチコピーに2009年9月に創刊。創刊タイトルである「進撃の巨人」が大ヒットしたほか、「惡の華」「じょしらく」「さんかれあ」「荒ぶる季節の乙女どもよ。」など映像化作品も多い。「進撃の巨人」をはじめダークファンタジーの印象も強いが、それだけではない。田中芳樹さんの小説を荒川弘さんがマンガ化した「アルスラーン戦記」、「魔法先生ネギま!」の続編「UQ HOLDER!」、テレビアニメが放送中の「100万の命の上に俺は立っている」などさまざまな人気連載を抱える。
同じく「マガジン」の名を冠する少年マンガ誌「週刊少年マガジン」と比較すると、表現の幅が広く、対象年齢も幅広く見える。一方で「神さまの言うとおり」「リアルアカウント」「寄宿学校のジュリエット」など「週刊少年マガジン」に移籍した作品もあるなど、さまざまなマンガを世に送り出してきた。乙黒さんは、その魅力を「チャレンジができるマンガ誌」と語る。
「別マガ」はチャレンジを続けてきたマンガ誌だが、10年以上続くマンガ誌ということもあり、ブランドが確立したところもある。乙黒さんは「これまでチャレンジしてきましたが『別マガ』という枠、『別マガ』っぽさを意識しているところもあります。“っぽさ”がないのが『別マガ』の魅力なのかもしれない」と「一番新しい冒険の書!!」という初心に立ち戻るとしている。
まずは新連載攻勢をかける。第1弾として人気ライトノベル「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」の大森藤ノさんが原作を手がける「杖と剣のウィストリア」が12月9日発売の2021年1月号でスタートする。さらに、同誌で連載された「将来的に死んでくれ」の長門知大さんが「ダイロクセンス」で“帰還”。コトバノリアキさんの「姫騎士は蛮族の嫁」、 稲妻桂さんの「金の糸」、片山あやかさんの「ボーイミーツディストピア(仮)」といった新人の新連載を用意した。
「コトバノリアキさんはpixivでも大人気の作家。稲妻桂さんもこれまで読み切りなどで注目を集めてきました。片山あやかさんは、編集部でも天才!!とずっと言われてきた作家さんです」といい期待が高まる。
「進撃の巨人」のフルカラー版のほか、“超人気作家”の連載もラインアップに加え、これまでの読者、これからの読者の両方に楽しんでもらえるように“生まれ変わる”ことになる。ウェブマンガサービス「マガポケ」との連携も強化するなどさまざまな施策でチャレンジを続ける。
「個人的な話にはなりますが、僕が2年目で立ち上げ担当をして初めて重版のかかった作品が『リアルアカウント』でした。そして作家さん自身も初めての連載であったり、初めての重版であったりしました。作品が少しずつ大きくなる過程で、僕と作家さんにとって“はじめの一歩”の現場が『別マガ』だと実感しました。読者の方にもそんな“はじめの一歩”を応援していただけるような雑誌にしたいと思っております」と語る乙黒さん。「別マガ」の“新時代”が期待される。
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