こうの史代さんのマンガが原作の劇場版アニメ「この世界の片隅に」(片渕須直監督)の特集番組「# あちこちのすずさん~教えてください あなたの戦争~」で、視聴者から寄せられたエピソードをアニメ化して紹介することになり、周作役の細谷佳正さんがアニメのナレーションを担当することが分かった。細谷さんのほか、主人公のすず役ののんさん、すずの義理の姉・径子役の尾身美詞さんもナレーションを務める。8月13日午後10時~11時13分にNHK総合で放送。
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特集番組では「お弁当の思い出」「空襲の下の青春」といったテーマでエピソードを募集する。番組は、すずのような人たちを探して、SNSの「#(ハッシュタグ)」でつなげていくキャンペーン「# あちこちのすずさん」の一環として放送。特集番組に先駆け、8月9日午後3時50分から「この世界の片隅に」をNHK総合で放送する。
「この世界の片隅に」の原作は、マンガ誌「漫画アクション」(双葉社)で連載され、2009年に「文化庁メディア芸術祭」のマンガ部門優秀賞を受賞したこうの史代さんのマンガ。戦時中、広島市から呉市へ嫁いだ18歳のすずの生活が、戦争の激化で崩れていく様子が描かれた。アニメは2016年11月に公開され、単館系の作品だったが、異例のヒットを記録。日本アカデミー賞で最優秀アニメーション作品賞に選ばれたほか、アヌシー国際アニメーション映画祭で長編部門審査員賞を受賞した。2019年12月には、新規カットを加えた「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」が公開された。
私は、すずさんを演じさせていただくまで戦時下にあった日本の状況を、違う世界のお話のように感じていました。映画やドラマなどでは触れたことはある。頭では本当にあったことだと分かっていながら、実感が湧かなかった。けれど、このあちこちのすずさんでは、当時を生きていた方たちのうれしい日常やおちゃめな風景をのぞかせてくれる。おしゃれをしたり恋をしたりロマンチックな思い出を見せてくれる。そういう、日常を楽しくさせる気持ちは今を生きる私たちと同じ。その気持ちに共感して、私の中であちこちのすずさんがリアルに動き出しました。
直接会ったことはないけれど、私たちとあちこちのすずさんはつながっている。途端に愛情が湧いて思い入れができると、戦争があったことが心の奥深くにズシンと重く落ちてきました。自分の今いる日本で起きたことなのだと心で感じられたことで、やっと目を背けずに考えられるようになりました。あちこちのすずさんたちの思い出を、大切に読ませていただきたいと思います。
私が担当したのは、75年前にも私と同じように宝塚歌劇団という夢に向かい、人生への希望を持っていた女の子がいたけれど、空襲の1日で全て変わってしまったお話です。何かを失って、何かを得る。苦しい出来事でも、言葉では表現できないような巡り合わせにつながっていく姿に人生の不思議さを感じました。戦争で犠牲になった人たちの後ろには、一つ一つの人生があったことを感じながら、8月を過ごしていただければうれしいです。自分たちと何ら変わらない一人の人間が歩んでこられた75年の日々を想像してみてください。
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