女優の杉咲花さんが、2020年度後期のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」のヒロインを務めることが10月30日、明らかになった。オーディションではなくキャスティングによる起用で、同日、東京・渋谷のNHK放送センターで行われた会見に出席した制作統括の櫻井壮一さんは「この年代(20代前半)で一番、実力のある方にやっていただきたかった」といい、杉咲さんの「突出した演技力」と「チャーミングさ」と起用の理由に挙げた。
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2018年度後期の「まんぷく」の安藤サクラさん以降、「なつぞら」(2019年度前期)の広瀬すずさん、「スカーレット」(同後期)の戸田恵梨香さん、「エール」(2020年度前期)の窪田正孝さん、「おちょやん」の杉咲さんと、朝ドラでは実力のある女優・俳優のキャスティングによる起用が5作連続で続いているが、櫻井さんはキャスティング偏重については「各番組に委ねられているので」と明確な理由があるわけではないとの見解を示した。
103作目の連続テレビ小説となる「おちょやん」は、上方女優の代名詞といえる存在で、「大阪のお母さん」として親しまれてきた女優の浪花千栄子さんの人生をモデルにしている。浪花さんは戦前、「松竹新喜劇」の前身である「松竹家庭劇」に参加し、二代目の渋谷天外さんと結婚。喜劇女優としての道を歩んだ人物。戦後、「松竹新喜劇」に参加。離婚後、一時女優をやめるが、NHK大阪のラジオドラマで復活。その後、「大阪のお母さん」として映画やテレビで活躍した。今回のドラマでは実在の人物をモデルにするが、物語を大胆に再構築し、フィクションとして描く。
杉咲さん扮(ふん)する主人公の千代は、明治の末に大阪・南河内の貧しい家に生まれ、9歳で道頓堀の芝居茶屋に女中奉公に出される。多くの芝居小屋が立ち並ぶ街で、華やかな芝居の世界に魅せられた千代は、自らも女優を目指すようになる。そして喜劇界のプリンス、天海天海(あまみ・てんかい)と出会い、妻になるとともに喜劇女優としても花開いていくが、戦争などの不幸が重なって女優を一時引退。しかしあるラジオドラマをきっかけに奇跡の復活を遂げる……というストーリー。2020年秋から放送。クランクインは同年4月を予定している。
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