伊藤健太郎:映画「惡の華」春日役は「挑戦」だった ブレークの実感は…

映画「惡の華」で主人公・春日高男役を演じる伊藤健太郎さん
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映画「惡の華」で主人公・春日高男役を演じる伊藤健太郎さん

 映画「惡の華」(井口昇監督、9月27日公開)で主演を務めている伊藤健太郎さん。映画は鬱屈とした思春期を過ごす少年少女の暗黒面を描いた作品で、伊藤さんはクラスの問題児、仲村佐和(玉城ティナさん)と主従関係を結び、支配されていく主人公・春日高男を演じている。春日役は「挑戦だなと思った」という伊藤さんに、役作りや仲村役・玉城さんとの共演について聞くと共に、活躍中の現状についての実感などを聞いた。

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 ◇春日役は「挑戦」 “ブルマ嗅ぎ”は「どういう感覚なんだ?」

 映画は、押見修造さんの人気マンガを実写化。ボードレールの詩集「惡の華」を心のよりどころに息苦しい毎日を過ごす春日(伊藤さん)は、放課後の教室で憧れのクラスメートの佐伯奈々子(秋田汐梨さん)の体操着を見つけ、つかみ取ったままその場を離れる。やがて春日は、その一部始終を見ていた仲村から、それを秘密にする代わりにある“契約”を持ちかけられる……というストーリー。

 ボードレールを愛する文学少年だったが、仲村に支配されていく中で徐々にアイデンティティーが崩壊していく春日を演じる伊藤さん。原作や台本を読み、「春日は、今まで僕が演じてきた役とはまったく違った人間だったので、これは挑戦だな、と思いました。ワクワクもしましたし、シンプルにうれしかったです」と喜びを語る。

 劇中では、憧れのクラスメートの体操着を嗅ぎ、仲村には罵倒、翻弄(ほんろう)される春日を熱演。伊藤さんは台本を読んで「一発目に思ったのは、『ブルマの匂い嗅ぐんだ』と(笑い)。経験がないので、どうやって嗅ぐんだ……とか、いろいろ想像しました。ブルマを嗅ぐってどういう感覚なんだ? と」と笑う。ただ、「抵抗はなかった」といい、「やったことがないことだし、面白いだろうな、と。映像になったとき、どういうふうに受け取られるのかと考えて、面白かったです」と楽しんでいたという。

 春日になりきるため、撮影では動きや姿勢を大事にした。「監督からもリクエストがあったので、ちょっと猫背にしてみたり、歩幅を狭くしてみたり、走り方を変にしてみたり……そういうのが今回は特に大事だと思ったので、意識していました」と伊藤さん。撮影前は、春日と同年代の後輩と会い、動作などを観察したといい「ちょっと春日っぽい子だったので、しゃべっている感じとか、歩いている感じとかを見て、なるほどな、と。あと、街を歩いている学生を見てみたりしました」と役作りについて明かす。撮影中は食事やアルコールも制限し、中学生の春日に近づけたという。

 共演経験がある玉城さんが仲村役と知り、「これは間違いないと思いました」と伊藤さん。「仲村はめちゃくちゃ重要な人物なので、誰がやるんだろうと思っていて。玉城ティナさんです、と聞いて、僕の中では『来たな』と。本読みでは完全に仲村で。仲村(役)に対する不安要素は、玉城さんが演じることを知って、消えました」と絶大な信頼を寄せる。「現場に入っていてもどんどん仲村になっていって、すてきでした。ビンタ(される)シーンも、お互いに知っているので、なんの躊躇(ちゅうちょ)もなく思いっきりぶん殴ってきて(笑い)。僕としてもありがたかったです」と語る。

 ◇今後は「新しいことをやってみたい」

 連続ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系)の伊藤真司役で話題を集め、今作で主演、「紅茶花伝 ロイヤルミルクティー」などCMにも多数出演しているなど、現在活躍中の伊藤さん。ただ、自身では活躍しているという実感は「あまりないですね」という。「たとえば、出演しているCMが流れていても、自分と思ってみていない、というか……。街で声をかけられても、違和感がすごい。『なんで僕にこんなに声をかけてくれるんだろう』と。実感はあまりないですが、うれしいなとかありがたいなと思います」と心境を明かす。

 声をかけられる機会は増えたが、「でも、やっぱり実感は湧かない。これから先がどうなろうと、たぶん実感は湧かないと思うんです。こういう仕事をしているからと言っても、別に(いつもと)同じだしなと思っちゃうし。その感覚がこれから変わることはないと思います。(周囲の声も)完全に気にならないと言ったらうそになりますが、あまり気にはならないですね」と率直な思いを明かす。

 今後の“野望”について聞くと「いろいろやりたいです。役もそうですし、面白い人でありたい」と伊藤さん。「芝居がベースで軸ですけど、そこから派生する何か……たとえば、今はラジオをやったり、映画の紹介番組のMCをやったり、いろいろなことをやらせていただいているんです。やってみないと分からないし、いろいろやってみたいと最近、すごく感じています。『新しいことをやってみたい』という気持ちがあります」と意欲的だ。
 
 「役者って、脚本があって、製作の方々がいて……と、一をどれだけ大きくできるか、一からどれだけ数を増やせるか、という仕事なんです。でも、ゼロから一、という作業にもすごく興味がある。何か、新しいことがやれたら面白いかなと興味があります」と語る伊藤さん。今後も伊藤さんの“挑戦”は注目を集めそうだ。

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