注目映画紹介:「僕に、会いたかった」EXILE TAKAHIROが初の長編映画単独主演 記憶を失った元漁師と家族との絆

映画「僕に、会いたかった」のビジュアル (C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会
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映画「僕に、会いたかった」のビジュアル (C)2019「僕に、会いたかった」製作委員会

 「HiGH&LOW」シリーズなどに出演し俳優としても活躍するEXILE TAKAHIROさんが、初の長編映画単独主演した「僕に、会いたかった」(錦織良成監督)が、10日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。ある事故で記憶を失った元漁師と家族との絆と再生を描いたヒューマンドラマ。TAKAHIROさんが無精ひげを生やし、苦しい思いを胸に抱きながらも、今を懸命に生きる元漁師を演じ、新境地を開いている。隠岐諸島の美しい自然を舞台に、人との絆と温もりがじんわりと描き出されている。

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 池田徹(TAKAHIROさん)は、島で1,2を争うすご腕の漁師だったのだが、12年前の漁で嵐に遭い、記憶喪失になってからは漁に出られなくなった。過去を振り返ることも、未来へ動き出すこともできない息子を、母親の信子(松坂慶子さん)は見守ってきた。そんなある日、3人の高校生が島へ留学にやって来て、徹と交流を持ち始める……というストーリー。

 TAKAHIROさんと松坂さんが親子を演じ、食事風景の自然なやりとりが温かいシーンになっている。島留学にやって来る高校生役は、オーディションで選ばれたという。ある思いを持って島にやって来た高校生、木村めぐみ役には、「相棒-劇場版IV-」(2017年)などに出演した山口まゆさんが演じている。ボーカルダンスユニット「M!LK」の板垣瑞生さん、「くちびるに歌を」(15年)などの柴田杏花さんと、フレッシュな顔ぶれがそろった。また、出演している劇団EXILEの秋山真太郎さんは、錦織監督との共同脚本を執筆している。

 華やかなステージに立っているボーカリストのイメージから離れ、TAKAHIROさんが、荒々しい海で生きる男、過去を失って苦悩する姿を、目の色や風貌で表現する。アイデンティティーを失い、前へ進めずにいる男を、顔なじみの島の人々が見守る様子が温かい。

 その中心に、息子を思いやる母の姿があり、松坂さんが熟練の芝居で優しく深く包み込んでいる。高校生たちのドラマも丁寧に描出され、高校生が徹にどう絡んでいくのかにも興味をそそられる。停滞する男に対し、未来を夢見る高校生がキラキラと輝いて見え、人の幸せを、人と人のつながりの大切さへとつなげていく。

 「RAILWAYS-49歳で電車の運転士になった男の物語-」(10年)や、「たたら侍」(17年)などの監督し、本作のロケ地、隠岐がある島根県出身の錦織監督がTAKAHIROさんをイメージしながら脚本を書いた。エグゼクティブプロデューサーのEXILE HIROさんの提案で、TAKAHIROさんを漁師役に決めた。TAKAHIROさんは撮影前に漁協で仕事を手伝い、趣味の釣りのシーンもあり、島の風景に溶け込むことに成功した。ロケ地の隠岐諸島は絵画のように美しい。同じく島根県出身の浜田真理子さんの歌う主題歌のタイトルにもなっている、雲のすき間から太陽光線が放射状に地上へ降り注ぐ「天使のはしご」も絶景だ。(キョーコ/フリーライター)

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