マンガ大賞2017:異色の文芸マンガ「響~小説家になる方法~」が大賞 「東京タラレバ娘」は受賞ならず

「マンガ大賞2017」を受賞した「響~小説家になる方法~」の作者・柳本光晴さんの直筆イラスト
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「マンガ大賞2017」を受賞した「響~小説家になる方法~」の作者・柳本光晴さんの直筆イラスト

 マンガに精通する書店員らが「その年一番の面白いマンガ」を選ぶ「マンガ大賞2017」(実行委員会主催)の授賞式が28日、ニッポン放送本社ビル(東京都千代田区)で開かれ、柳本光晴さんのマンガ「響~小説家になる方法~」が大賞に選ばれた。2015年に「かくかくしかじか」で大賞を受賞している東村アキコさんは、前回に続き「東京タラレバ娘」で史上初の2度目の大賞受賞を狙ったが、届かなかった。

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 「響~小説家になる方法~」は、小学館のマンガ誌「ビッグコミック スペリオール」で連載中のマンガ。ある文芸編集部に革新的な内容の投稿原稿が送られてきて、編集者の花井は「世界を変えられる」と確信し作者探しに乗り出す。そして見つけた15歳の少女・鮎喰響は強烈な個性で周囲を振り回しながらも、デビュー作品で芥川賞と直木賞のダブルノミネートを果たし、世間を騒然とさせる……というストーリー。

 同日の授賞式に出席した柳本さんは、大賞の連絡時に大喜びした後で「アシスタントから『先生、マンガは絵じゃないことが証明されましたね』と言われました」と絵が下手だと自覚していることを自虐的に話して、笑わせた。また「響」を執筆した理由について「圧倒的な才能を書きたかった」と話しながら、公の場で相手に暴力を振るう強烈なヒロインについて「自分では強烈な子ではなく、可愛い子を書いているつもり」と明かした。
 マンガ大賞は、マンガに詳しいニッポン放送の吉田尚記アナウンサーと業界の目利きの書店員らを中心に2008年に創設された。過去の大賞作を除く、昨年(16年1月1日~同年12月31日)にコミックスが出版された通巻8巻以内のマンガが対象となり、107人の選考員が推薦した253作品の中から上位10作品(今回は同率のため13作品)をノミネート。さらに89人がノミネート作品に目を通して再度、1位を3ポイント、2位を2ポイント、3位を1ポイントとして投票した。今回は接戦で、1位と2位の差はわずか4ポイント差だった。
 これまでの大賞作はいずれも受賞後にマンガの売れ行きが急増するため、出版社が最もほしがる賞としても知られている。

 ◇ノミネート作品は以下の通り。(作品名五十音順・敬称略)

 「アオアシ」小林有吾▽「からかい上手の高木さん」山本崇一朗▽「金の国 水の国」岩本ナオ▽「空挺ドラゴンズ」桑原太矩▽「ゴールデンゴールド」堀尾省太▽「ダンジョン飯」九井諒子▽「東京タラレバ娘」東村アキコ▽「波よ聞いてくれ」沙村広明▽「ハイスコアガール」押切蓮介▽「響 小説家になる方法」柳本光晴▽「ファイアパンチ」藤本タツキ▽「約束のネバーランド」原作・白井カイウ、作画・出水ぽすか▽「私の少年」高野ひと深

 ◇過去の受賞作。(敬称略)

08年:石塚真一「岳」(小学館)▽09年:末次由紀「ちはやふる」(講談社)▽10年:ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」(KADOKAWA)▽11年:海野チカ「3月のライオン」(白泉社)▽12年:荒川弘「銀の匙 Silver Spoon」(小学館)▽13年:吉田秋生「海街diary」(小学館)▽14年:森薫「乙嫁語り」(KADOKAWA)▽15年:東村アキコ「かくかくしかじか」(集英社)▽16年:野田サトル「ゴールデンカムイ」(集英社)

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