高畑充希さん主演のNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」で、阿部純子さんが演じるヒロイン小橋常子の親友・村野綾が、4日から放送されている第14週「常子、出版社を起こす」で再登場した。女学校を卒業して、医師と結婚し、何不自由ない生活を送っていた綾だが、夫が戦死し、母と息子を女手一つで養うことになっていた。大人になった綾を演じる阿部さんに、朝ドラへの思いを聞いた。
ウナギノボリ
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戦後再登場する綾について「家柄がすごく良くて、上品で浮世離れしている女の子だった綾は、とと姉ちゃんのような責任感はなくて、少し抜けたところもあったけど、戦争という時代に振り回されて、ぼやっとしていた輪郭がはっきりしてくる」という。再登場は「ぼろぼろ、ぼさぼさの頭で出てきます」と笑う。常子との再会では「学生からの友情があって、戦争の空白があるけど、それを乗り越えて強いきずなへと変わっていく」といい、「本当の女性の力強さが出てきて、芯が強くなっていくことを演じられて、やりがいを感じます」と語る。演じるに当たっては「綾は品のある女性なので、その品の良さを一貫して持ち続けていられるように、表情だけではなく、背中で品の良さを出せれば」と意気込んでいる。
阿部さんは1993年生まれ、大阪育ちで、モデルとして活動する中、2010年に吉永淳の名前で映画「リアル鬼ごっこ2」のヒロインに抜てきされ女優デビューを果たした。ドラマなどで活躍し、14年には河瀬直美監督の「2つ目の窓」に主演、同作はカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、サハリン国際映画祭では主演女優賞を受賞し、大注目の若手女優となった。しかし、休業し、単身ニューヨーク大演劇学科に留学。帰国後、改名して女優復帰作となったのが「とと姉ちゃん」だった。
留学した成果について「それまでは『自分を表現したい』とばかり考えていたけど、留学で『作品を通じて何を伝えるか』を考えられるようになった。朝ドラでは、『朝を元気にする』ということを作品を通じて、いろいろな人に伝えていきたい」と話す。現在、慶応大生でもある阿部さんだが、友人からは「留学して“キラキラするようになった”と言われました」と笑顔を見せる。
常子役の高畑さんや鞠子役の相楽樹さん、美子役の杉咲花さんら近い世代の共演者が多い。現場では「高畑さんは力が抜けた感じ。鞠子ちゃんや美子ちゃんとはかき氷を食べたり、常に楽しい時間を過ごしています」といい、「常子はお転婆で、おちゃめで、私自身は頑張ろうと思いすぎてつま先がピリピリすることがあるけど、前向きでいていいと思わせてくれる。いいパートナーです」と話す。
目標の女優として竹内結子さんや山口智子さんを挙げる阿部さんは、現場では、常子の母君子役の木村多江さんをリスペクトする。「立ち居振る舞いが素晴らしい。リハーサルの時から着物をきちんと着て、演技もそうですが、本当のお母さんのよう。あんなすてきな女性になりたいと思う」と語った。また、花山伊左次役の唐沢寿明さんは「本当に面白い。どこからがせりふで、どこまでがアドリブなのか分からない。いかに面白く返せるか必死です」と明かす。
成長した綾の見どころは「時代に振り回されて、つらいこともたくさんあったけど、自分の足で踏みしめて歩いて行く。表情を見てほしい」という。阿部さんは自身について「とと姉ちゃんは太陽のような存在。私は太陽でいられないけど、あこがれがある。人から『月っぽい』と言われる。他人のいいところを反射するからいいんだと。『月でいいんだよ』と言ってもらえて、ありのままでいていいんだと思えた」と語る。とと姉ちゃんの光を受けて、美しく輝く綾。阿部さんの演技に注目だ。
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