高森奈津美:「キミとアイドルプリキュア♪」インタビュー 「こころは侍」の真意 努力、根性のキュアキュンキュン

「キミとアイドルプリキュア♪」の一場面(c)ABC-A・東映アニメーション
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「キミとアイドルプリキュア♪」の一場面(c)ABC-A・東映アニメーション

 人気アニメ「プリキュア」シリーズの第22弾「キミとアイドルプリキュア♪」で、キュアキュンキュン/紫雨こころを演じる高森奈津美さん。高森さんは、2022~23年放送のシリーズ第19弾「デリシャスパーティ プリキュア」で妖精のコメコメを演じた経験もある。「キミとアイドルプリキュア♪」の放送前に開かれた会見で、「こころは侍です」と発言したことも話題になった。高森さんに、「プリキュア」への思い、“侍発言”の真意を聞いた。

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 ◇コメコメが集大成だと…

 「キミとアイドルプリキュア♪」のモチーフは「アイドル」で、テーマは「“キミ”がいるから輝ける、強くなれる!」。伝説の救世主・アイドルプリキュアが歌って踊ってファンサして、ダイスキな人、大切な人、応援してくれる人、隣にいる人、目の前にいる人など“キミ” をキラッキランランにする。そして“キミ”の存在がアイドルプリキュアをキラキラ強く輝かせる。キュアアイドル/咲良うた役の松岡美里さん、キュアウインク/蒼風なな役の高橋ミナミさん、キュアキュンキュン/紫雨こころ役の高森さんが出演する。ABCテレビ・テレビ朝日系で毎週日曜午前8時半に放送中。

 高森さんには「デリシャスパーティ プリキュア」で約1年にわたってコメコメを演じたこともあり、特別な思いがあった。

 「コメコメ役が決まる前から、何度かプリキュアのオーディションを受けさせていただいてきました。だから、私はコメコメのためにこれまでオーディションを受けてきたんだ!と思ったんです。だからコメコメを演じている時は、集大成という気持ちがありました。コメコメは赤ちゃんから成長していきますし、妖精の中では一人だけ人間の姿にもなります。劇場版でも焦点が当たったキャラクターで、プリキュアと一緒に戦えましたし、プリキュアになりたい夢、妖精になりたい夢を一緒にかなえさせていただいた気持ちでした。だから集大成だと感じていたんです。これ以上何かあるのかな?という思いがありました」

 「キミとアイドルプリキュア♪」でオーディションを受け、今度はプリキュア役として出演することになった。「そんなことが本当にあるの!?という気持ちでした。収録が始まってしばらくたちますが、いまだにその気持ちが心のどこかにあります」と思いを明かす。

 ◇可愛い全振りと思いきや

 中学1年生の紫雨こころは、ダンスが得意で、熱さを内に秘めている。口癖は「心キュンキュンしてます!」。可愛らしいキャラクターではあるが、それだけではない魅力があるようだ。

 「最初のテープオーディションでは絵がない状態で、キャラクターの説明のみでした。『しっかりもの』と説明されていましたが、キュンキュンという名前ですし、やっぱりキュンキュンしている可愛い子なんだろうなと臨みました。スタジオオーディションで初めてビジュアルを見て、(シリーズディレクターの)今千秋さんから掘り下げた説明がありました。ビジュアルもやっぱりすごく可愛いじゃないですか。でも、『こころは侍です』という説明を聞き、可愛いに全振りではないんだ……と方向性を変えました。『心キュンキュンしてます!』は奥行きのある言葉だと感じています。キャピキャピしている声を想像するかもしれませんが、たぎっているんです。声の方向性だけで言うと、私が男の子を演じる時の声の出し方に近いところもあります」

 こころが本格登場した第6話「心キュンキュンしてます!?」では“侍”の片りんが見えたところもあるが、侍とは!?と気になる。

 「皆さんも侍とは?と思っているかもしれませんね(笑)。私はストイックさだと思っています。アスリートのようなストイックさだと私の中で噛み砕いています。第6話は、ストイックなところがよく出ているエピソードだと思います。プリキュアの中では後輩ポジションですが、家に帰ったら大家族の長女のようなしっかりしたところもあると勝手に想像していたのですが、一人っ子でした(笑)。ただ、家庭環境を知ってからは、お母さんに迷惑もかけちゃいけない!という思いのあるしっかり者なんだと感じるようになりました。根っこは侍なのですが、年相応なところもあって、推しへの思いがあって、2人(キュアアイドルとキュアウインク)にファンサしてもらえると、うれしかったりしますし、その辺りの差が出たらいいなと思いながら演じています。2人の背中を追いかけている状態なので、きっとこれから成長していくでしょうし、自分の方ができないという自覚もあるはずです。2人へのリスペクトが強すぎて、推しと同じ舞台に立っている!?という気持ちなんだと思います」

 第6話では、こころはプリキュアに変身できなかったが、第7話 「心おどる♪キュアキュンキュンデビュー!」で、ついに初めて変身した。これまでプリキュアの声優に取材してきた中で「初変身はとにかく緊張した」という声も多く聞いてきた。

 「2話かけてですし、すごく贅沢な変身になりました。第6話はとにかく緊張しました。こころが初めてたくさんしゃべるエピソードなので緊張してしまい、キーが高くなってしまい、自分でも驚きました。第7話の初変身は割と落ち着いてできました。第7話の収録に向けて、変身の口上を何度も練習していました。プリキュアは初めての変身でも自然に変身します。言い慣れていないのがよくないと思って、暇あればちょっと変身の口上を言っていたんです。初変身じゃないかのように聞こえれば、自分の中では成功だと思っています」

 ◇松岡美里が引っ張る現場

 松岡さん、高橋さんとの3人のプリキュア声優のコンビネーションも気になるところだ。

 「キュアアイドル役の美里ちゃんが、声で引っ張ってくれるんです。今回、初めてご一緒させていただいたのですが、初めてキュアアイドルがしゃべっているのを聞いた時、圧倒的な光を感じて、感動しました。キュアアイドルが引っ張ってくれて、キュアウインクが支えてくれる。すごくバランスのいい3人です」

 キャリアは松岡さんが後輩にはあるが、それを感じさせないパワーがあるようだ。

 「現場に入る前は、私たちがキュアアイドルを支えるのかな?とも考えていました。でも、違ったんです。美里ちゃんは、自分のお芝居をすごく信じられる人だと感じています。不安そうではなく、すごく頼もしい。楽しそうに全力で演じているので、私たちが引っ張ってもらって、テンションも一段上がるような現場なんです。美里ちゃんがキュアアイドルのようなんです。ポジティブな言葉を常に発しているので、キュアアイドルになるべくしてなった子なんだなと思っていて、感動しています」

 2004年に第1弾「ふたりはプリキュア」がスタートしてから20年以上がたち、「プリキュア」は長く愛される長寿シリーズとなった。高森さんは「プリキュア」の魅力をどのように感じているのだろうか?

 「『デパプリ』の時はコロナ禍ということもあり、みんなで一緒に収録できなかったのですが、今回はみんなで収録しています。みんなで演じるプリキュアってこんなに一体感があるんだ!と感動しています。私の世代は、七夕に短冊で、将来なりたいものとしてセーラームーンを書く子が多かったのですが、今はプリキュアなんですよね。知り合いのダンスの先生から『子供がキュアキュンキュンになりたい!』と言っていると聞いたりして、プリキュアは憧れられる存在なんだ、すごい作品に関わらせていただいているんだと実感しています。コメコメはみんなに可愛がられる存在でしたが、今度は憧れられる存在を演じるているんだと」

 子供たちをはじめ応援してくれる人の笑顔や声が、高森さんのパワーの源になっている。

 「これまでも感謝祭や20周年記念ライブ、『キミプリ』のおひろめデビューライブなどを見させていただいてきましたが、子供たちが思い思いに体を動かしている姿に、感動しています。ショーでも声を出して、応援してくれるんです。子供たちは、ショーではなくて、そこにプリキュアがいると感じています。感動して泣きそうになっちゃいます」

 高森さんは、キュアキュンキュンを演じる中で「こころちゃんは努力!根性!の人です。挫折もします。こころちゃんが努力の人だから、私が努力しないと追いつけない!」と感じているという。挫折しても努力、根性で乗り越えていくキュアキュンキュンから目が離せなくなりそうだ。

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