薬屋のひとりごと
第33話 先帝
3月7日(金)放送分
「第26回手塚治虫文化賞」のマンガ大賞に選ばれたことも話題の魚豊さんのマンガが原作のテレビアニメ「チ。 ―地球の運動について―」。15世紀のヨーロッパを舞台に地動説を命がけで研究する人々の姿が描かれ、第1章のラファウ、フベルト、第2章のオクジー、バデーニ、ヨレンタ、第3章のドゥラカ、シュミット、そして第1~3章に登場したノヴァクの物語を経て、最終章に突入した。最終章のメインキャラクターとなるパン屋の青年アルベルトを演じるのが声優の石毛翔弥さんだ。「同じ作品を生きる者としてのバトンをすごく感じました」と語る石毛さんに収録の裏側、「チ。」の魅力を聞いた。
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同作は、「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で2020~22年に連載された魚豊さんのマンガが原作。アニメは、2024年10月にNHK総合で放送をスタートし、地動説を巡る人々の生き様、死を描き、話題を集めている。石毛さんは原作を読み、「何かに情熱を傾けたり、命を懸けてでも何かをする美しさ、幸福」を感じたという。
「もちろん、命を懸けるものがないことが幸せじゃないとは思いませんが、僕自身が生きている中で、命を懸けたり、情熱を燃やして何かをやっている人の姿に感動したり、感銘を受けたりすることが多くあるので、『チ。』もそういう部分に魅力を感じます」
中でも、それぞれの章の「出会い」に心ひかれたと語る。
「ラファウもフベルトとのあの一件がなかったらきっと死ぬこともなかっただろうし、地動説にあそこまで命をかけることもなかったと思うんですよね。オクジーも、後半はバデーニと一緒ですが、そもそもグラスさんがいなかったら成り立たなかったというか。グラスさんがオクジーに託して、オクジーがグラスさんの想(おも)いをくみ取った結果、バデーニに会いに行って、そこからヨレンタさんと、どんどんつながっていった。ドゥラカも、おじさんとのやり取りも含めて、シュミットさんと出会わなかったら、ああいうふうにはなっていなかった。そう考えると、非常に出会いの縁を感じます。出会い自体も偶然なのだけど必然という感じもします」
石毛さんは、オーディションを経て、アルベルトを演じることになった。実は、それ以前に別の役でオーディションを受けており、その時から「この作品に関わりたいとずっと思っていた」という。
「一度オーディションで落選して『もうこの先、関わることはできないんだな』と思っていた中で、アルベルトのオーディションのお話をいただいて、『絶対に受かりたい』と思いながら受けさせていただきました。アルベルトは、ネガティブな特性があるというか。僕自身、すごくネガティブなので、アルベルトが感じているような気持ち、想いが自分と非常に似ている部分があって、生きたせりふをしゃべることができるという思いがありました。実感を伴ってせりふをしゃべることができるというか、アルベルトを演じるというより、役が自分になじむような感覚でした」
アルベルトは、パン屋の手伝いをする青年で、かつては学問が好きだったが、あるきっかけによって学問的好奇心を失ってしまう。石毛さんが演じる上で大切にしたのは「温度感」だった。「小泉紀介音響監督からも、アニメ的な表現ではなく、生身の人間の血の通ったせりふにしたいから劇的なせりふ回しにしなくていい、自然にしゃべってくれれば大丈夫、というお話をいただいていたので、表現しすぎないことを意識して演じさせていただきました」と語る。
「表現しすぎない」ことは、石毛さんにとって勇気のいることでもあったという。
「アルベルトが長く話すシーンでは、変化を入れたくなっちゃうんです。とつとつとずっとしゃべるシーンなので、心情を入れすぎてしまう。大きく盛り上がるようなせりふではないのですが、そこに感情の機微は絶対あるはずなので、語感に乗せないと『見てくださる方が飽きてしまわないかな?』などと不安になってしまうんです。だから、テストの段階で少し気持ちを入れると、『もっとうつうつとしていていい』『もっと表現しなくていい』と言われて。その僕の不安は、必要ないものなので、いかに自信を持って引くか?という作業でした。そういった意味では、挑戦的というか、勇気を持たないといけない役でもあったかもしれないです。引く勇気を持つという」
「チ。」は、章ごとにメインキャラクターが変わり、第1~3章では舞台設定が「15世紀(前期) P王国」とされてきたが、最終章では「1468年 ポーランド王国都市部」と具体的な年号、国が明示された。
「最終章は、物語の終着点として、ラファウから始まってドゥラカまでを含めて1~3章の全てをギュッとまとめた感じがしています。第3章でアントニがノヴァクに『君らは歴史の登場人物じゃない』と告げるシーンがありますが、そうしたものも内包された最後の章なのかなと感じます」
石毛さんはアルベルトを演じ、「同じ作品を生きる者としてのバトンというものをすごく感じました」と語る。収録現場では、「アルベルトの登場が最後の最後なので、もちろん緊張していたのですが、ほかの現場で感じる緊張感ではない心地のよい緊張感で、落ち着いてしゃべることができました」と、不思議な感覚もあった。
また、「チ。」という作品を通して「いろいろな経験や知識というものは無駄にはならない」と改めて実感したという。
「10年以上前に舞台でアルベルトに近い役を演じたことがあったんです。自分の責任でお父さんを殺してしまったんだと思い込み、前に進むのが怖くなっているという役でした。それ以来、そうした役を演じていなかったんですが、今回アルベルトを演じている時に、その当時のナイーブさをすごく感じたので、日々使わなくなった感情とか、感じることが薄くなってしまった感情も含めて、無意味じゃないというか」
地動説に信念を懸けるキャラクターたちのように、「演じるという意味において、役者は0から1を生み出す仕事じゃないからこそ、0から1を生み出した方の作品に適当な思いで向き合ってはいけない。真剣に情熱を傾けなきゃいけない」と芝居に真摯(しんし)に向き合う石毛さん。
最終章については「急に登場したアルベルトがどんな思いを持って、『チ。』の物語を進んでいくのか、楽しんでいただければと思います。最終章は、見た人の数だけ違う思いが生まれるというか。解釈、思い、考察も含めて、『チ。』という作品を楽しんでもらえたらと思います」と語っていた。
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