ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。(あの花)」「心が叫びたがってるんだ。(ここさけ)」「空の青さを知る人よ(空青)」。秩父を舞台にした青春3部作を手掛けたクリエーター3人の最新作となるオリジナル劇場版アニメ「ふれる。」が公開中だ。青春3部作と同じく長井龍雪さんが監督、岡田麿里さんが脚本、田中将賀さんがキャラクターデザイン・総作画監督を務め、チームが再結集した。東京・高田馬場を舞台に、不思議な生き物“ふれる”と暮らす青年3人の友情が描かれる本作は、秩父を舞台に思春期の少年、少女たちを描いてきた青春3部作を経た「チャレンジングな作品」だという。長井監督、田中さんに制作の裏側について聞いた。
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長井監督 青春3部作が一区切りついたので、そこから一歩進めた話にしようというところから企画が始まりました。早い段階で「上京」というキーワードが出てきて、上京と言ったら東京だよね、と。青年3人を主人公にしたのも、これまで女の子が主軸のお話が多かったので、新しいチャレンジとして、今回は男の子メインでやってみようと。前作までとの対比でどんどん決まっていきました。
長井監督 秩父は山がちな景色が多かったので、海を出すかという。これまでは、作画カロリー的な問題と、表現方法がなかなか難しいということで海を避けてきた部分もあったのですが、近年はCG技術の発展もあり、遠慮なくできそうだなと。
田中さん 昔、作画アニメで波をやっていた頃は、いかに波打ち際をうまく描くかに苦心していたんです。今回は、3Dとしてサブリメイションさんに入っていただいて、すごくいい波を作っていただいたので、遠慮なく海岸線で芝居ができました。
長井監督 この作品は、“環境によって変わっていく関係性”がストーリーの軸にあったので、3人の関係性をバラそうと。文字設定を詰めていく中で、田中さんにその場で絵を描いていただいて、その絵を脚本のほうにもフィードバックしたりしながら進めていきました。
田中さん 一番最初に描いたのが、幼少期の3人プラス“お兄さん”的存在。実は、最初の企画段階では“ふれる”が人型でお兄さんだったんです。僕の中では、同世代プラスお兄さんがいる「スタンド・バイ・ミー」のイメージでした。秋くんの口下手で手が先に出ちゃうという雰囲気は最初に決まっていて、そんなキャラをすごくきれいな顔の美青年にした。秋くんが決まってからは、僕のキャラクターを作る時のパターンとして、秋が持っていない要素をそれぞれ諒と優太に振り分けてキャラの見た目をバラしていきました。
長井監督 今回はあくまで男性メインで、女性陣は今までのようなヒロイン的な立ち位置ではないというのが前提にありました。意志の強い樹里と、女の子らしい奈南という性格設定を岡田さんに考えていただいて、田中さんにラフを描いていただきました。
田中さん 女性キャラに関しては、ステレオタイプでどう分かりやすくするか?と。だから、僕の中では樹里は都会の女!という感じにしたかったんです(笑)。最初に僕がイメージしたのは、バブル期のワンレンボディコン感。なので、ロングのストレートというすごく象徴的な髪形にしました。そういうふうにまず樹里を作って、そのカウンターとして、対比する要素を全部奈南に割り当てるという。
田中さん 一度シャチの形になったり、いろいろなクリーチャーになって、最終的にここに落ち着いた最終進化形なんです。ハリネズミ的なものにしようとなった時に、その場のイメージでハリネズミを描いたのが、ほぼ一発採用されて。僕はその後、ハリネズミをググってびっくりしましたけど。ハリネズミってこんなんだった、全然違うわみたいな。
長井監督 そこがよかったです。
田中さん 僕自身、こういうマスコットキャラにそこまでしっくり来ていない部分があったんです。しかも、こういうキャラクターを今までのキャリアでほぼ描いてこなかったので、結構手に余るというか。登場させる意味というか、画面でどう見えるのかが、制作中もあまり分かっていなくて。ただ、試写を見た時に「こいつになんだか救われているかもしれない」という気になって、いい読後感をもらったなと。「ふれる。」というタイトルも何ていいんだろうと思いました。
インタビュー(2)に続く。
対談(2)へ続く
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