海に眠るダイヤモンド
最終話後編(10話)記憶は眠る
12月22日(日)放送分
伊藤沙莉さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」(総合、月~土曜午前8時ほか)に出演する川床明日香さん。第24週「女三人あれば身代が潰れる?」(9月9~13日)から、主人公・寅子(伊藤さん)の娘・佐田優未を演じている。子役の金井晶ちゃんや竹澤咲子ちゃん、毎田暖乃さんらによって引き継がれてきた人気の優未役で、終盤から登場することへの思いと共に、「自信になった」という舞台裏エピソードを語ってもらった。
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川床さんは、2019年度前期の連続テレビ小説「なつぞら」のスピンオフに出演したことはあるものの、本編は「虎に翼」が初となった。芸能キャリアのスタートこそ、ファッション雑誌「nicola(ニコラ)」(新潮社)のモデルだったが、元来はテレビっ子。朝ドラへの出演は以前からの目標で、優未役に決まったときのことを「ちょっと夢心地な感じでした」と振り返る。
「『虎に翼』は、4月から毎話欠かさず家で見て、『明日も頑張ろう』と思えるような作品でしたし、そう思える作品に出会えるよう『自分も頑張っていきたい』と思っていたところだったので、そんな『虎に翼』に出られるなんて、と夢心地な気分でした」
演じる優未は、第24週の時点で寅子、航一(岡田将生さん)、のどか(尾碕真花さん)と共に星家で暮らし、大学院で寄生虫の研究をしていたが……。落ち着いて物事をとらえて考え、寅子に率直に意見を伝えることもある優未だが、いち視聴者として優未の成長を「ずっと見てきた」という川床さんは、どうやって役を作り上げていったのか。
「ほかの作品では自分の役の幼少期ってどうだったんだろう、と考えて演じたりもしてきたのですが、今回は映像という膨大な資料がすでにあったので、そこはすごく心強い部分ではありましたし、このときの優未はこうだった、と明確化されているのは、新しい経験でした。あと優未は、矢印がつねにお母さんへと向いている感じだったので、映像を見返して自分の役にも取り入れるようにしました。本当に優未は軸がぶれない、というか、ちょっと達観してる、と感じてましたし、私も昔から『大人っぽいね』と言われがちで、それが優未に当てはまるのかどうか、自信を持っては言えないのですが、『何か分かる』と作り込まずに演じることができたのかなと思っています」
では、優未から見た母・寅子とはどんな存在なのだろうか。「無償の愛をもらっている意識はあって」と話す川床さん。
「どんどんと年齢を重ねてきて、お母さんであることは間違いないけど、立場が変わる瞬間はあるのかなと思いました。優未はしっかりしていて、達観もしているから、もはや優未が寅子のお母さんみたいになる瞬間、というか。子供の頃にもあったとは思うのですが、だから変に大人っぽく振る舞うわけではなく、自分の意見が浅くない、揺るがないものがあるという部分が、結果として年齢以上に大人っぽく見えればいいなとも思ったので、大人っぽさをあまり意識せずに演じていました」
そんな川床さんだが、注目度の高い連続テレビ小説「虎に翼」に、主人公の娘という大きな役で終盤から参加することに対して「本当に不安はありました」と告白する。
「でも衣装合わせのときに伊藤さんから『母です』とあいさつしていただけて、そこでほっとしましたし、(伊藤さんと)『似ているよね』と言ってくださった方もいて、それも自信になりました。役衣装でいるときにNHKの廊下で佐藤二朗さんとすれ違ったのですが、伊藤さんと間違われて、あいさつをされたことがあって。このときは佐藤さんが間違いに気づいて『沙莉ちゃんかと思ったごめん!』って(笑い)。でも自分としてはうれしかったというか、自信になったというか、『大丈夫だ』って思える安心材料にもなりました」
ドラマは残り2週となったが 川床さんは「お母さんはもちろん、お母さんだけじゃなく、たとえば花江ちゃんとか、いろいろな人に育ててもらって家族がたくさんいることが、優未という人間を作っているんだってところを改めて感じてもらえたら」と思いを明かす。
「以前は自分も外から今作を見て、そのときから面白いと思ってきたのですが、撮影に参加して、この作品が多くの人に愛されるゆえんが分かったというか。本当に温かい現場で、キャストさん、スタッフさん一人一人の作品に対する熱量が本当に詰まっていると思ったので、それが最終回に向けてより一層、感じられると思っています」