俳優の杉良太郎さんが、2025年2月に全国公開される劇場版アニメ「親鸞 人生の目的」(⻘山弘監督)で主人公・親鸞聖人役で声優を務めることが9月4日、明らかになった。芸能活動歴60年の杉さんにとって、80歳にして声優初挑戦の作品となる。
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併せて、アニメ「⻤滅の刃」の冨岡義勇役や「呪術廻戦」の夏油傑役などを担当した声優の櫻井孝宏さんが親鸞聖人の⻘年期を、アニメ「ONE PIECE」のモンキー・D・ガープ役や「ダンジョン飯」のセンシ役などを務めた中博史さんが浄土宗の開祖・法然上人を演じることも発表された。
杉さんは「80歳になった私が、80代の親鸞聖人の声を演じることに不思議な縁を感じました。アフレコは初めてで、自分の引き出しにはない仕事でしたので、いつもにもなく不安に思っていました」と振り返りつつ、「人生の道標を、分かりやすくアニメで見せてくれます。納得するまで何度も見てもらって、皆さんにとっての“人生の一作”となったらうれしいです」と本作の完成に大きな期待を寄せている。
映画は、高森顕徹さんの著作「人生の目的」(1万年堂出版)と「歎異抄(たんにしょう)をひらく」(同)をもとに親鸞の青年時代を中心にその生涯を描く。劇場版アニメ「なぜ生きる ⎯蓮如上人と吉崎炎上⎯」(2016年公開)、「歎異抄をひらく」(2019年公開)に続いて歴史劇場版アニメシリーズの第3弾。
約850年前の平安末期から鎌倉時代の激動の時代を舞台に、人間としての親鸞の苦悩と葛藤に焦点を当て、「人はやがて死ぬのになぜ生きるのか」「人は何のために生きるのか」「幸せとは何か」という普遍的なテーマを探求する内容となっている。
ストーリーは……8歳で両親を失った親鸞は、「やがて死ぬのになぜ生きるのか」人生の目的の答えを仏教に求め、わずか9歳で比叡山に入り、修行に励んでいた。10年の仏道修行を経て19歳になった親鸞は、聖徳太子廟からの帰り道、関白・九条兼実の娘、玉日姫に出会う。以来、女性のことは思ってもならないと教える比叡山での厳しい修行に打ち込むも、玉日姫のことが忘れられない。
「煩悩にまみれた私はとても救われない」と絶望し、比叡山を下りた親鸞は、京都の町で、「煩悩あるがままで救われる」と説く人生の師・法然上人に出会い、その教えによって、ついに苦悩の解決の道を知ることに至る。そして、玉日姫とも感動の再会を遂げ、共に法然上人の教えを聞くようになった2は、ますます惹(ひ)かれ合うようになっていく。僧侶と関白の娘、決して結ばれないはずの2人だったが……。
映画のポスタービジュアルも公開された。京都の町並みを背景に、凛々(りり)しい⻘年期の親鸞聖人を大きく配置。さらに、親鸞聖人と関白の娘・玉日姫が橋の上で運命的な再会を果たすシーンも描かれている。
杉さん、櫻井さん、中さんのコメント全文は以下の通り。
今回のオファーをいただいて、偶然に収録時期が少し遅れ、ちょうど80歳になった私が、80代の親鸞聖人の声を演じることに不思議な縁を感じました。親鸞聖人ですから、どういう方だったのか想像できませんし、人間でありながら、神様に近い存在の方なので、私がその親鸞聖人の声を演じていいものか考えました。アニメのアフレコは初めてで、自分の引き出しにはない仕事でしたので、いつもにもなく不安に思っていました。
本作のテーマである「人はなぜ生きるのか」「どんな目的があって生きているのか」は、自分の経験の中から、自分も実際に悩み、苦しみながら生きてきたこととも重なりました。今まで、さまざまなところで福祉活動をしてまいりましたが、知的障害や重度身体障害者施設などを訪問することもあり、実際に会って触れて感じて、こちらが教えてもらうこともありました。バングラデシュ・ダッカの「愛の姉妹会」という孤児院に行った時、子供たちがロボットみたいに全然動かないし、まばたきさえしないことに驚いたことがあります。理由は、栄養失調。とっさにその時に持っていたあめ玉を一つあげたら、あめ玉をじっと持って、5、6秒かかってやっとペロッとなめる。施設内をまわって、帰りがけに「今すぐ食べるものを持って帰ってくるから」と言うと、その子たちがみんな手を振ったんです! まばたきもできない子があめ玉一つで手を振るエネルギーを得ることに考えさせられました。
別の施設では、両足の無い子が満面の笑みで、手だけで私の後をついてきてくれたり、手が全く使えない子は、口で割りばしをかんで、パソコンを使って「ありがとう。よく来てくれたね」と迎えてくれたこともあります。目は全然私の方を見られず、抱いたら全然違う方向を見ているのに、私の存在をわかってくれていて、後日、口でタイプして作ってくれた御礼の手紙が届いたこともあります。いくら体が不自由であっても、魂は死なない。そういった人たちに、一瞬でも笑顔でいてもらえることが、いかに貴重なことなのか。
おこがましいですが、これからも私はそのようなところにも行って、その人たちと触れ合って、そこで経験し学んだことを、皆さんに説得力を持ってお話ししたいと思っています。本作の「なぜ生きる」というテーマ。人生の道標を、分かりやすくアニメで見せてくれます。納得するまで何度も見てもらって、皆さんにとっての“人生の一作”となったらうれしいです。
歴史上の大人物なので自分と同じ次元で見られないと言いますか、そういう目つきで語れない役どころだと思っております。作品のテーマから難しい印象を持たれるかもしれませんが、とても見やすい物語だと思います。全部を理解する必要はなくて、見て感じたことを生きていくヒントにしていただけたらと思います。
私が演じた法然上人は、万人に愛される、普通に話をしていても万人の心に響くような人物だと思いました。お説教くさくならないようにと思いながら演じました。親鸞聖人に多大な影響を及ぼす人物なので、そういうお芝居ができていたらいいなあと。歴史小説を読むように、当時こういうことがあったんですよ、という一つの事実として楽しんでもらえればと思います。
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