ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
アニメのキャラクターがバーチャル空間でミュージカルを繰り広げる“バーチャルミュージカル(Vミュ)”。アニメやゲームなどが人気の「プリティーシリーズ 」などをプロデュースしたタカラトミーアーツの大庭晋一郎さんが提唱する新しいエンターテインメントで、バーチャル・エイベックスが手掛ける2本立ての「バーチャルミュージカル ハイスクール! キラッとプリ☆チャン」が2、3月に配信された。Vミュとは一体何なのか? 大庭さんとバーチャル・エイベックスのプロデューサーの原佳祐さんに聞いた。
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バーチャル・エイベックスは、VTuberなどの生配信、ライブ、イベントを企画、運営する企業で、VTuberのマネジメント、生配信やライブのシステム開発、音楽、映像、キャラクターデザイン、3DCGモデリング、モーションキャプチャーなども手掛ける。
「プリティーシリーズ」と「アイカツ!シリーズ」がコラボした「ドリコラFes.~アイカツ!シリーズ&プリティーシリーズ~」、「キラッとプリ☆チャン」の「バーチャルライブキラッとプリ☆チャン みんなのいいねで何かがうまれる!?キラッとバーチャルライブ!」、「アイドルランドプリパラ」の「ゆいのユメユメバーチャルライブ~アイドルだらけのビーチファイト延長戦!~」といったバーチャルライブも手掛けてきた。
大庭さんによると、「プリティーシリーズ」のバーチャルライブを開催する中で、可能性を感じ、Vミュに発展していったという。
「『アイカツ!』とのコラボの際、展覧会を開催したのですが、せっかくのコラボなので、歌と踊りでも表現したくてバーチャル・エイベックスさんにお願いして、バーチャルライブを開催したのが始まりで、バーチャルでどこまでキャラクターをイキイキと見せられるかと思い、『キラッとプリ☆チャン』の5周年ライブや『ゆいのユメユメバーチャルライブ』ではバラエティー番組のようなライブにチャレンジしました。アニメのキャラクターという作られた世界観でバラエティー番組風にするのは、難しいところもあるのですが、うまくいったんです。やっている中で見えてきたところもあるのですが、これまでにない新しいことができるのではないか?とさらなるチャレンジとして生まれたのがVミュです」
「プリティーシリーズ」のバーチャルライブでは、VTuberのバーチャルライブとは違う“手触り”も感じたという。
「テレビで見ていたキャラクターがバーチャルライブをやるとどうなるのか? VTuberのライブとはまた手触りが違うはずです。原さんたちがバーチャルライブの黎明(れいめい)期から培ってきたテクニック、テクノロジーと融合することで、『プリ☆チャン』のバーチャルライブでは、VTuberのような良い意味での生々しさ、設定を作りこまれたアニメのキャラクターが融合した世界を生み出すことができ、2次元だったものを拡張。それを発展させ、コンテを切って、きっちりカット割りしていくと3DCGアニメになります。でも、それとはまた違うライブならではの表現を考えました。そこでミュージカルをやろうとしたんです。ミュージカルという制限を設けることで、その制限の中で効果的な表現を探ろうとしました」
アニメの声優陣によるライブ、2.5次元という人間がキャラクターを演じる舞台、ミュージカルもあるが、Vミュはアニメのキャラクターが、仮想の舞台上でミュージカルを繰り広げる。仮想の舞台には、セットがあり、Vミュを見ると、セットが張りぼてであるということが明示されている。ライブ感があり、ミュージカルらしさもある。バーチャルライブとミュージカルが融合した新しい表現を目指した。
「ライブは、楽しい、うれしい、格好いい、可愛いなどの感情を積み重ねて見ます。Vミュは、楽しいだけではなく、ハラハラやドキドキ、悲しみ、怒りのような負の感情も提供できる。悲しみ、怒りのような負の感情も提供できる。 ドラマがあるんです。キャラクターショーやヒーローショーに近いのかもしれません」
新しい表現ではあるが、アニメの世界観と地続きにしようとした。アニメに続き、博史池畠監督が総監修を務め、兵頭一歩さんが脚本、満田一さんがキャラクターデザインを担当。大庭さんは「『プリ☆チャン』の第4シーズンを作るつもりでやっています。新しい物語を作っていて、新キャラ、新曲もあります。タツノコプロさんに協力してもらってアニメのように設定も作っていて、収録には音響監督の長崎行男さんに参加していただいています。スピンオフではないんです」と強調する。
アニメやゲームでは1コーラスしか振り付けがない楽曲にもフルコーラス分の振り付けを用意するなど、Vミュでしか見られない映像も用意した。さらに、2.5次元舞台も手掛ける演出家の宇治川まさなりさんが舞台演出を担当するなど本格的なミュージカルとして見せようとした。
大庭さんは「キャラクターに感情移入できるか?が重要になってきます」とも話す。バーチャル・エイベックスが培ってきた高い技術力と経験によって、リアルタイムで動く3DCGのキャラクターをよりアニメの表現に近付けようとした 。
原さんは「バーチャル・エイベックスはこれまで歌劇のようなライブも手掛けてきましたし、素地がありました。『プリティーシリーズ』は世界観がとてもバーチャル映えするので、ゲームともアニメとも違うものができるかもしれないと感じていました。3DCGアニメとも違う新たな文化を醸成していこうとしました」と話す。
「ゲームのキャラクターは、さまざまなコーデ(衣装)を着ることもあって身長差がないのですが、舞台だと横並びになることもあって、キャラクターによって身長だったり、髪や顔なども調整させていただいています。キャラクターにより没入できるように今回も我々ならではのテクニックでアレンジを加えさせてもらいました。例えば、瞳とかにはこだわりがあって、平面的ではなく、3D的にレイヤーを分けて表示して、瞳やハイライトの揺らぎを作ったりしています。ここに微細な変化が出ると、ぐっとキャラの生きてる感が強くなるんですよね」
今回のVミュでは、より感情移入してもらうために、キャラクターの表現を細部までこだわり抜いた。バーチャルならではのダイナミックなカメラワーク、Vミュ仕様に演技の幅を拡張したキャラクターによって、これまでの「プリティーシリーズ」を踏襲しながら、今まで見たことがないような映像表現を目指した。
Vミュには、ファンがゲームで作ったキャラクター“マイキャラ”も登場した。
大庭さんが「これまでも映画のエンドロールにマイキャラが登場したことはありましが、今回は作品の中にちゃんと登場させることができました。アニメではできなかったことです。バーチャルの中ではアニメのキャラとマイキャラは同等なんです。そもそもアニメのキャラと同じ文法で作られているものなので、モブキャラではない。この世界にいるキャラクターなんです。Vミュは、コメント欄もあったので、ならではの盛り上がりもありました。『プリティーシリーズ』のマイキャラは褒め合う文化です。それをバーチャル空間で表現できました」と話すように、「プリティーシリーズ」の世界観をこれまで以上に表現できたところもあった。
挑戦的なプロジェクトとなったが、原さんは「アニメを手掛けてきた皆さんと一緒に仕事をすることで発見があり、刺激を受けました。まだまだやりたいことがたくさんあります」、大庭さんは「Vミュという新しいジャンルを発見でき、『プリ☆チャン』の未来を見せることができました。次は、コントはどうでしょう? コントを面白くできたら本物です」とさらなる進化を目指しているようだ。
Vミュは一体どんな進化を遂げるのか? 今後の展開も注目される。
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