薬屋のひとりごと
第13話 外廷勤務
12月27日(金)放送分
人気マンガ「五等分の花嫁」で知られる春場ねぎさんのマンガが原作のテレビアニメ「戦隊大失格」が、TBS系で4月7日から毎週日曜午後4時半に放送される。ヒーローと戦う悪の怪人軍団の末端戦闘員である戦闘員Dを主人公とした異色のアニメで、人気声優の小林裕介さんが戦闘員Dを演じる。小林さんは、主人公であり、モブでもある戦闘員Dをどのように演じたのだろうか?
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「戦隊大失格」は、2021年2月に「週刊少年マガジン」(講談社)で連載を開始。悪の怪人軍団の末端戦闘員である戦闘員Dが、正義の味方だと思われていた竜神戦隊ドラゴンキーパーと戦う異色のアンチヒーローマンガ。怪人たちの侵攻を食い止める竜神戦隊ドラゴンキーパーは、全人類から羨望(せんぼう)のまなざしを向けられていたが、実は怪人側が必ず負けることを義務付けられた茶番劇だった。戦闘員Dがやりたい放題の“とんでもスーパー戦隊”をぶっ潰すため、立ち上がることになる。
アニメは、「TIGER & BUNNY」「いぬやしき」などで知られ、スーパー戦隊シリーズなどにも参加してきたさとうけいいちさんが監督を務める。「五等分の花嫁」などの大知慶一郎さんがシリーズ構成を手掛け、Yostar Picturesが制作する。
ヒーローでも特殊な能力があるわけでもない戦闘員が主人公という設定が斬新だ。小林さんも「主人公がモブ戦闘員ですし、最初は正直、即倒されて終わりでは?と思いました。D自身にすごい能力があるわけでもないですしね。でも、実際は、モブ戦闘員だから許されるコミカルさがふんだんに盛り込まれている面白い作品です」と驚いたという。
小林さん自身も子供の頃、戦隊ヒーローに憧れていた。
「レッドが好きでしたね。僕は、声優になってからずっと『主人公をやりたい』と言っていたのですが、子供の頃にレッドが好きだった影響もあると思います。やっぱり主人公、レッドに目がいってしまうんです。子供の頃は戦闘員に注目することはまずなかったですね。戦闘員は、記号的に扱われていることが多いので、『戦隊大失格』でも最初はどういうふうにすればいいのか?と考えました」
確かに戦闘員に注目する子供はあまりいないだろう。小林さんは力強さ、繊細さ、コミカル……とさまざまなキャラクターを演じてきたが、戦闘員Dをどのように演じようとしたのだろうか?
「彼らがいかに苦しく生きているのかが描かれていいますし、何くそ根性というのは自分に通じるところもあります。一番気を付けたことは、絶対に格好よくしないことです。ヒーロー然とはせず、決めのシーンでも、え!?と思わせるような、あくまで悪役、戦闘員であることを外さないお芝居にしたいと考えていました。監督は面白いと思ったら、OKを出してくださる方でしたし、僕はそれを貫こうとしました。もっと格好よくできるだろうに、それができないのがDですし、アニメを見てそう感じると思うかもしれませんが、僕の中ではそれが正解だと思っていました」
最初から格好良くない主人公を演じようとしていたわけではなかった。
「アフレコの前に台本の読み合わせをする機会をいただきました。僕ははじめ、Dは、怪人幹部の世界征服という信念を強く引き継いでいて、絶対にやってやるぜ!という強い意志を持っていると思っていたのですが、監督から『そうではなくて、斜に構えた中学生みたいなノリで』というお話があり、そこから考え方を変えました。あの読み合わせがなかったら、役作りにもっと時間が掛かっていたでしょうし、中途半端に演じていたかもしれません。すごく貴重な時間でした。Dは、モノローグがすごく多く、それが大体ネガティブなことだったり、ひがみだったりするのですが、等身大の中学生みたいに演じることで、いい味になると信じて演じていました」
小林さんの出演が発表された際、「今回はとあるキャストさんと二人三脚で一つの役を作り上げていく特殊なもので、難しくもやりがいを感じながら収録しています!」とコメントしていた。ネタバレになるので、詳細は書けないが“とあるキャスト”との二人三脚が重要になる。
「“とあるキャスト”の方には、僕からは何も言わなかったです。正解は彼にしかないものなので、僕はそれを見守っていました。流れで彼のお芝居に合わせる時もあれば、そこから全く外しても、成立する台本ですしね。お互いのわがままを通したところもあります。ただ、第2話の収録が終わって、一緒に食事に行く機会があったので、僕が思うDについては伝えました。彼は、僕が演じるDをものすごく研究してくれていますし、『最終的に君がやることが正解だと思うから、変に合わせようとしなくてもいいと思うよ』という話もしました。二人三脚のようで、ちょっと違うところが面白いんですよね」
桜間日々輝役の梶田大嗣さん、錫切夢子役の矢野優美華さん、レッドキーパー役の中村悠一さんら豪華キャストが出演する。
「コロナ禍で、みんなで収録できない期間もありましたが、今回は、掛け合う相手と一緒に収録できました。僕はモノローグが多いので、掛け合いが少ない。ちょっと疎外感があったかな(笑い)。みんなで収録できることがうれしかったです」
Dは、中村さんが演じる竜神戦隊ドラゴンキーパーのリーダーにして、レッド部隊を率いるレッドキーパーと対峙(たいじ)することになる。レッドキーパーは、独特の圧、不気味さ、残虐性を持ち合わせた“強キャラ”だ。
「中村さんは、すごく尊敬している先輩の一人です。声の格好よさだけでもレッドとして成立していて、なおかつ何を考えているのか分からない。ヒーローと感じるからっとした明るさの中に不気味さを感じます。怖い面を見せる時もありますが、最低限しか怖さを出さないところに、ゾクゾクしました。音圧にもシビれました。今回は、圧で負けたとしても、それが正解で、Dの三下感が出ても許されるんです」
“三下感”があり、負けてもいい主人公を演じることは、「すごく思い切ったことをさせていただきました」と小林さんにとって挑戦となった。
「演じている時は、本当にこれでいいのかな?と迷うこともあったのですが、映像を見ると、こういう演出だったのか、お芝居がこう料理されるのか……と気付くこともあって、そこが面白いところでした。さとう監督の感性は本当にすごい。音楽もすごく好きで、決めのシーンで、ヴィランが登場するような音楽が流れたり、違和感があるのですが、その違和感が面白いんです。極上です」
「戦隊大失格」は、画(え)、芝居、音楽などを調理することによって“極上の料理”に仕上がっているようだ。
「テンポのよい会話もあれば、間を重視したコメディー、コントみたいなところもあります。毎話毎話、見え方が変わり、いい意味で期待を裏切ってくれるはずです。Dはああいうキャラクターなので、見ていてフラストレーションもあるかもしれませんが、しっかり伏線が回収されるので、楽しめることは間違いないです。子供も大人も一緒になって見ていただきたいです。子供が見たら、どう思うのかな? 『Dがかわいそう』と思ってもらえたら、僕たちのやってきたことは正解になります。Dは不服でしょうが(笑い)」
“格好よくない”主人公・戦闘員Dの活躍に注目してほしい。
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