名探偵コナン
#1147「張り込み4」
12月28日(土)放送分
日向理恵子さんの長編ファンタジー小説シリーズが原作のテレビアニメ「火狩りの王」の第2シーズンが、1月14日午後11時からWOWOWで放送・配信される。同作は“火”をテーマにしたファンタジーで、人類最終戦争後の世界を舞台に、子供たちが多くの困難に直面しながらも懸命に生きる姿が描かれる。「SAMURAI DEEPER KYO」などの西村純二さんが監督を務め、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」「機動警察パトレイバー」などの押井守さんが構成、脚本を担当し、第1シーズンが2023年1~3月にWOWOWで放送・配信された。同作に火狩りの明楽(あきら)役として出演し、エンディング(ED)主題歌「抱きしめて」を担当する坂本真綾さんに楽曲への思い、第2シーズンについて聞いた。
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静かに始まって、後半はガラッと変わって盛り上がっていく曲でしたので、歌をレコーディングした時は、どんな絵がつくのかな、と思っていたんですけど、いい意味で想像とはまた全然違っていましたね。和のテイストと、灯子とかなたのシルエットがサビで駆け出すといった演出が、すごい躍動感があって曲にピッタリ合っていて。何度も見たくなるような、きれいで繊細な絵巻物のようなエンディング映像だな、と思いました。
西村純二監督から、第2シーズンのエンディングは「可愛い」「ホッとする」「優しい」といったイメージで作ってほしいと言われたんです。物語の展開がどんどん佳境に入っていき、殺伐とした雰囲気になるからこそ、エンディングでちょっと一息ついてほしいというのが、監督の思いだと私なりに解釈して、彼女たちの旅の合間に安心できるような場所にたどり着いて、ぐっすり眠ったり、食べ物をちゃんと食べることができた時の生命力みたいなものが描かれる場面が、第1シーズンから結構あったと思うんですけど、そういう過酷な旅の中でも、彼らが優しい気持ちや人とのつながりを感じる瞬間はあっただろうなと思って、そういうところを抽出してエンディングにできたらいいのかなと思いました。それを楽曲制作をお願いした大江千里さんにお話しして、上がってきたのがこの曲で、本当に優しい温もりで包んでもらえる楽曲になっていながら、明るく優しいだけじゃない、ちょっと胸をギュッと切なくさせるような展開やコードが含まれていて。歌詞も「抱きしめて」という優しい言葉なんだけども、ちょっとだけ憂いのある響きになっていて、そのあんばいが絶妙だなと思いながら聞きました。
母も私も好きで、幼い頃からよく聴いていたアーティストさんでした。まだ家族でCDをあまり買ったことがないような頃に、大江さんの「ラジオが呼んでいる」を買って聴いていた、というのが最初の大江千里さん体験でした。あと、兄の影響もあって、渡辺美里さんが大好きで。当時は子どもだったので、渡辺美里さんのアルバムを聴きながらどの曲を誰が作曲しているかまで把握して聴いていたわけではなかったんですけど、後に改めてクレジットを確認すると、好きな楽曲の多くが大江さんの作品なんですよね。中でも「すき」が大好きでした。母には、まだ大江さんに楽曲提供していただいたことを話していないのですが、聞いたらびっくりするだろうな、と思っています(笑い)。
大江さんは今、ニューヨークにお住まいなので、リモート会議でお話しをしました。実は、お話しをさせていただいたのが、ウクウライナとロシアの戦争が起きて、毎日のように子供たちが傷ついているような映像がニュースで流れてくるのを見て、心が痛いなと思っていた時期だったんです。灯子たちにとっても、荒廃した最終戦争の後の世界で、誰のせいか分からないけどいろいろな恐ろしい体験をしたり、いつ終わるか分からない暗い夜の中にいて不安な気持ちになっているとしたら、物語の彼らや、この同じ地球上にいるどこかの子供たちが不安な思いで過ごした夜の明け方に、「それでもきっと良い未来はあるよ」というメッセージを届けてあげられるような、そういう希望の持てる曲にしたいと、お伝えしました。灯子やクンは、幼い子供なので、本当は守られるべき存在なんですよね。彼らが戦っている状況の中でも、子供に戻れる瞬間というか、本当に優しいものに包まれて、子供らしくいられるような、そういう瞬間を描ける曲になれば、とお伝えしました。
美しい色彩と絵巻の感じは、第1シーズンにも通じるものがあるんですけど、よりゆるやかな動きの中で、煌四と緋名子という兄妹が、とても穏やかな表情を浮かべているんですね。優しいこの曲に合わせて、本来の彼らの姿を描いてくださったのかな、と思いました。
大江さんから「目には見えない大事なものをテーマに作った」とお聞きしたんですが、まさにそんな感じで、目には見えない何かが、「まぶたを開けて通りをごらん」と話しかけているような、不思議な視点からの歌詞なんですよね。歌う時も、身近なところにいる、姿は見えないけれど優しい何かが語りかけているような、そういう身近な距離感で聴く人に歌っているような、そんなイメージで歌いました。
明楽は途中から登場するキャラクターだったので、私の体感的にはあっという間に第1シーズンが終わってしまったのですが、「第2シーズンには、まだまだいろいろな場面が待っているぞ」と思いながら、始まるのを楽しみにしていました。最初は灯子と知り合って、大変なこの世界の中でお互いに足りない部分を補いながら、行きがかり上、目的のために一緒に行動し始めたんですけど、どんどん灯子たちが特別な存在になっていて。その上、クンのように慕ってくれる小さな幼い者たちとの関わりの中で、明楽自身にもすごく責任感や、ある種の母性じゃないですけど「自分が守ってやらなきゃ」というような気持ちも増していくのかなっていう感じでしたね。私自身、原作小説を読んでいて、ずっと「明楽、死にそうだな」と思っていて(笑い)。死亡フラグが立ちまくっているので、ハラハラしながら第2シーズンを待っていらっしゃる方も多いのかな、と思います。共演者の方でも、先々の展開の情報をあえて入れていない方からは「明楽。絶対死にますよね」「明楽、死ぬんですか?」と言われてしまうぐらい、危うい場面は多々あるんですけど、めちゃくちゃ驚く展開が最後に待ち受けています。一番意外な結末に向かっていく、登場した時には想像もしないようなことになるのが、明楽なのかなと個人的には思いますね。
新キャラクターの揺るる火役で、石見舞菜香ちゃんが参加してくれているのですが、はかなさや透明感があって、神聖な雰囲気をまとっている声の持ち主なんですよね。そんな彼女と同じ神聖な声を持つ、綺羅役の早見沙織ちゃんが絡むシーンがあるのですが、本当にすごくて。ぜひ注目していただければと思います。
私自身、「火狩りの王」の一ファンと言えるくらい、お話が面白くて、1話を見たら絶対に最後まで見届けたくなる作品だなと思っています。第1シーズンをご覧になった方は、じりじりと待ってらっしゃると思うんですが、それの期待を裏切らない丁寧な作品作りになっていると感じました。第2シーズンの放送を機に、また一から見直していただいたり、もちろん新しい方にもぜひ見ていただきたいです。歌の方としては、第1シーズンのエンディング曲「まだ遠くにいる」とは、まるで180度違う世界観の曲が今回のエンディングになったんですけど、一つのお話からこれだけ真逆の曲が生まれるっていうのは、それだけこの作品の中にいろいろな表情があって、いろいろなテーマを切り取ることができる、奥行きのある作品なんだな、と改めて感じました。ぜひ、灯子と煌四の行く末を見届けてください。
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