薬屋のひとりごと
第13話 外廷勤務
12月27日(金)放送分
「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載中の戸塚慶文さんのマンガが原作のテレビアニメ「アンデッドアンラック」が、MBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズム」で10月6日から連続2クールで放送される。「次にくるマンガ大賞 2020」のコミックス部門で1位になった話題作で、不運(アンラック)の能力を持つ少女・出雲風子と、不死(アンデッド)の能力を持つ男・アンディの異色のバディーが、数々の敵と世界の謎に対峙(たいじ)する姿を描いている。アンディを演じる声優の中村悠一さん、風子を演じる佳原萌枝さんに作品の魅力や収録の裏側、自身の不運なエピソードについて聞いた。
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中村さん すごくパワフルな作品で、テンポよく進みますし、キャラクターたちが生き生きした作品だなというのが最初に読んだ時の印象ですね。アンディの「不死(アンデッド)」という能力は、手足を切っても再生できて、その再生の勢いを使って攻撃するという戦い方をするのですが、話数が進めば進むほど、能力がSF的になってきて。ストーリーも相当練られていて、「皆さんもちょっと考えてみてください」という読者が考察するようなところが入ってきてからは、作品IQが上がるというか。序盤ではかなり強引に力で戦っているところが、また変わってくるのかなという感じはありますね。
佳原さん まず、テンポがすごくいいなと感じました。アニメ化にあたって、最初から読み返していくと、気付くことが多い作品で、ものすごく伏線が張ってありますし、設定が綿密で、読めば読むほどキャラクターたちの魅力が深まってくる。何回読んでも楽しい作品だなと思います。
中村さん アンディは、冒頭から作品のパワフルさ、テンポ感を牽引(けんいん)している印象があります。ストーリーが進んでいくと、一辺倒なキャラクターじゃないというか。最初に感じる荒々しいだけじゃない、繊細な一面も見えてくる。そうなると、よりキャラクターが面白くなるなというのは、演じていても感じます。
中村さん アンデッドの解釈っていろいろあると思うんですよね。それは作品の個性だと思うんですけど、「アンデッドアンラック」においてのアンデッドは不老不死。作品によっては、アンデッドがゾンビを指すじゃないですか。そうではなくて、「アンデッドアンラック」のアンデッドは再生していくので若々しいわけですよね。だから、そういう点での個性が、この作品ならではなんだなと感じています。
佳原さん 初期の頃は、アンディに引っ張ってもらうヒロインぽい雰囲気が強いのかなと思っていたんですけど、やっぱり主人公らしい芯の強さ、心の強さがあって、周りに与える影響も大きいキャラクターだなと思っています。風子と関わることで、一歩踏み出せたり、変われたりするキャラクターがすごくたくさん出てくる。そこが風子の魅力の一つだなと思っています。
佳原さん 風子は、私が今まで出会った中で一番と言っていいほど優しい子で、そんな子がよりにもよって、相手を好きになればなるほど、大きな不運を与えてしまうという能力を持っているのが残酷だなと。でも、それを感じさせないぐらい強くて格好いい女の子だなとも思います。
中村さん アンディは、第一印象の部分と、彼の中身がクリアになってきてから見えるキャラクター性との差を後々表現していかなければと思っていました。ただ、最初の数話で特に気をつけたのは、アンディの特徴でもある豪快さ。あとは、シナリオで印象的に差し込まれる「ニヤリとした笑い」。そういう表現に気をつけて、一声でキャラクターがつかめるように意識しました。アンディは、本当はすごく多面的なキャラクターなんですけど、最初の頃は平面的に見えるようにあえて作らなきゃいけない。これはミスリードで、アンディが底が浅いキャラクターに見えるように仕掛けられている。それを掘り下げることによって、キャラクターをより魅力的に感じられるような構造になっているので、そうしたことをあえてやらなければと考えていました。
中村さん 大変です。僕もアンデッドだったらと思いました。そしたら、喉がはじけ飛んでもすぐ治る(笑い)。はじけ飛びっぱなしなので。そういう意味では、なかなか体力を使う、大変なキャラクターをやらせていただくことになったなとは思っております。
佳原さん 私は正直、風子を演じる上ですごく意識していることがあるかというと、ないというか。声を作ることもなく、素直にやらせていただいています。ただ、すごくいろいろな表情を見せてくれるキャラクターではあるので、後々好きになっていくアンディに対して、普段の風子ちゃんの格好いいところとは違う顔が見せられたらいいなと。風子ちゃんが持っているいろいろな面を、しっかりそれぞれ見せられるように意識しました。
佳原さん 叫びますね。1回の収録でこんなに何回も「イヤー!」と言ったのは初めてです(笑い)。アンディのように戦いの叫びではないので、楽しく叫んでいます(笑い)。
佳原さん すごく緊張するし、香盤表を見て「ここに私が入っているんだ」とドキドキもしました。でも、やっぱり現場に行くと、皆さんが優しくて。収録自体もトラブルもなくスムーズに進んでいきました。収録している時は、掛け合いをしている相手が大先輩だとか、そういう意識はやっぱりないので、そうこうしているうちに忘れちゃって。皆さん、マイクの位置とかも気遣ってくださって、優しいです。
中村さん 原作を読んだ時、僕は風子というキャラクターをイメージしづらかったんです。キャラクター自体はイメージできるんですけど、どんなテンションで、どんな声でしゃべるのかというイメージがしづらかった。でも、佳原さんが演じることによって、それが形になって、入ってきやすくなった。僕としては、佳原さんが演じる風子との掛け合いがやりやすいですし、ご本人も非常に真面目に、真摯(しんし)に、風子という人物と向き合って演じているのではないかと。どんどんキャラクターの解釈を広げて「ここまでオーバーに表現してもいけるかな」「こう表現するとキャラクターの面白さが出るかな」と試行錯誤している部分もすごく見えるので、それもあって風子の魅力が増しているんじゃないかと感じています。
佳原さん たしかに、今まで演じたことのないタイプのキャラクターではあるので、ヒロインだけど、どこまで汚くしていいんだろう?みたいな(笑い)。どこまでコミカルにいっていいんだろうとか、探りつつやっていました。話数が進んで、アンディとの空気感もつかめてきて「これぐらいはいけるかな」と試してみたり。それでやり過ぎと言われることもなかったので、思いっ切りやっています。
佳原さん 最初の頃の収録はとにかく緊張していたんです。中村さんとブースは別ですが同じ時間に録(と)るので、沈黙の間とかどうしようかな? 集中されていたら、しゃべりかけたら迷惑かな? かといって無言でやっているのも感じ悪いかな?とかいろいろ余計なことを考えていたんですけど(笑い)、イベントでご一緒するうちに中村さんご本人の優しさを感じる場面があって。そう思うと、収録でも、中村さんを、アンディを信用して思いっ切りできたなと思います。例えば、私がワチャワチャとやったとしても、中村さんが収めてくれるんじゃないかなという期待や信頼があって。本当にやりやすい空気を作っていただいていますし、頼れる先輩であり、相棒でありという感じです。
佳原さん 最初にご一緒したイベントが、去年の12月の「ジャンプフェスタ2023」だったんですけど、私はコロナ禍で声優デビューをしているので、有観客のイベントがほとんどなくて。モニター越しにたくさんのお客さんがいるのを見て、すごく緊張していたんです。すると、中村さんが「緊張してる? 人が多いよね。大丈夫だよ」とお声掛けいただいて。いざステージに上がってからも、私が緊張してうまく伝えられなかったところも、さりげなくフォローしてくださいました。その次のイベントは、3月の「AnimeJapan(アニメジャパン) 2023」だったのですが、最初より緊張せずにできたのは、中村さんが最初に声を掛けてくれたからだなと思って。
中村さん 特別「俺がやらなきゃ」とは思っていなかったんですけど、今はコロナ禍もあってアフレコの現場で関係性を築くのが難しかったりもして。でも、イベントや宣伝回りでは、この二人で一緒に出演することが多い。そういう点では、新人の佳原さんがイベントで収録のエピソードを話したりするのは、すごく大変だろうなと思うんですよ。僕ぐらいの年齢で、いろいろ経験させてもらっていれば、この作品で経験したことじゃないものを引っ張ってきて、お客さんに楽しんでもらうことができるんですけど、まだまだ経験していないんだったら、当たり前ですけど、分からないものなので。それでいきなりぶっつけ本番というのは難しいから、少しでも……と。とはいえ、佳原さんもそうですけど、今の新人の皆さんは、初ステージなのかなと思うぐらい堂々とされてらっしゃるので、驚きますよね(笑い)。
中村さん 第1話で風子が読んでいるマンガがあるんですけど、それをしっかりと膨らませてアニメで表現されているんです。「アンデッドアンラック」の本編とは別作品に見せないといけないから、絵のタッチを変えるだけじゃなくて、演出から何から本編とは違う手法で描かれていて、お得感ありますよ。違うアニメを見ているみたいな。あそこは、アニメならではだなと感じました。
佳原さん やはり音がついたことによって、迫力があるなと改めて思いました。あと、風子の目が丁寧に描かれるカットが多くて、そこがすごいなと。ほかのキャラクターも目の描き方が印象的で、そこに息遣いが入っていたりして。お話が面白いのはもう大前提として、アニメならではの表現にぜひ注目して見ていただきたいです。
中村さん 原作から見てくださっている方たちには、すごくいい形でのアニメーションをお届けできるんじゃないかと感じています。収録をしていても、それは感じています。演出的に順番を変えている部分もあるので、原作そのままというわけではないのですが、大事なせりふを削らずに、できるだけそのまま生かすことをちゃんとやってくれていますから、とにかく監督たちの原作へのリスペクトをすごく感じる作品になっています。アニメからこの作品に入るという方は、アニメを見て感じたノリやテンションが原作のままですので、ぜひ原作も見てもらって、違いを楽しんでもらえたらと。アニメはこちらが作ったテンポで見せていくんですけど、マンガはそれぞれの方が読むテンポがあると思うので、また見え方が変わるのかなと。ぜひ両方とも楽しんでもらいたいなと思っています。
佳原さん 原作を元々読んでらっしゃった方は、アニメ化の発表から放送までずっと楽しみにして待ってくださっていた方が多いんじゃないかなと思います。その期待した気持ちのまま、第1話を集中して見ていただけたらすごく満足いただけるのかなと。アニメから作品に触れる方たちも、「アンデッドアンラック」の世界にぜひハマってほしいなと思います。独特な設定や、キャラクターの雰囲気など、ほかにはない魅力が詰まった作品なので、アニメもマンガもまとめて、たくさんの人に好きになってもらえたらうれしいです。
中村さん 最近あった出来事だと、歯の詰め物がとれたことですかね。ご飯を食べていて、ふとした時に「俺、なんか歯が折れかけてない?」と思って。「何が起きたんだろう」と思ったら詰め物が取れていて。でも、取れたヤツが口の中にいないわけですよ。だから、多分飲み込んでいるんです。そう思った瞬間から、体の調子が悪くなって、おなかの調子が悪い気がするなと。歯医者さんで治療をしなきゃいけないんですけど、なかなかスケジュールが合わなくて、次はいついけるんだろう?と。
中村さん そうですね。早く終わらせたいと思っています。
佳原さん 私、あまり不運だったことがなくて、基本的にすごいラッキーガールだなってずっと思っていて。直近でラッキーだなと思ったのが、人生で初めてレンタカーを借りてドライブに行った時です。今までは教習車と実家の車しか運転したことがなくて、レンタカーも実家の車と同じメーカーがいい!と思っていたら、たまたまそうなったんです。ボタンの位置とかも分かりやすくてラッキーだったな!と。
中村さん それは、ラッキーガールじゃないですね(笑い)。多分ラッキーと感じるところがすごく豊富で、ハードル低めだと思います。
佳原さん えっ! 本当ですか?
中村さん いや、いいですよ、幸せなら。幸せならいいんです(笑い)。
佳原さん はい! ハッピーです(笑い)。
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