NHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「らんまん」で、田邊教授(要潤さん)の若妻・聡子を演じている中田青渚さんが話題だ。今年は朝ドラ以外にも、1月期の「しょうもない僕らの恋愛論」(読売テレビ・日本テレビ系)、4月期の「だが、情熱はある」(日本テレビ系)とドラマに連続出演。8月1日深夜にスタートした「僕たちの校内放送」(フジテレビ、関東ローカル)では、クールな女子高生に扮(ふん)するなど、活躍が続いている。作品が続く現状への思いと、今後について話を聞いた。
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中田さんは2000年1月6日生まれの23歳。2014年、少女マンガ誌「Sho-Comi」(小学館)主催のオーディション「第5回Sho-comiプリンセスオーディション2014」でグランプリを獲得し、芸能界デビュー。俳優としては、おととし公開の映画「街の上で」「あの頃。」「うみべの女の子」の演技が評価され、「第43回ヨコハマ映画祭」で最優秀新人賞を受賞し、昨年7~8月に放送されたNHKのBS時代劇「善人長屋」で、連ドラ初主演を果たすなど、着実にステップアップしてきた。
「らんまん」で演じている聡子は、田邊教授の年の離れた後妻。おとなしく控え目な性格からか、当初は自分から意見することはなかったが、“勝ち気なヒロイン”寿恵子(浜辺美波さん)と交流を深める中で、田邊教授を支え、その背中を押せるところまで成長を遂げた。
中田さんの好演も相まって、視聴者の間でも人気を集めている“聡子さん”。「最初の頃の聡子は田邊家に来て、時がたっていない状態からのスタートでした。でも、そこから月日を経て、夫婦関係が少しずつ対等になっていき、妻として母として強くなっていく、そういう成長を描けたのかなと思います」と手応えをのぞかせる。
一方「僕たちの校内放送」では、聡子とは全く異なるタイプのクールな女子高生・藤原瑞輝(ふじわら・みずき)役に挑戦。中田さんは「こういったキャラクターを演じることが今までなかったので、プロデューサーさんにも『新しい中田さんを見てみたいです』と言われて、ちょっと緊張しました。監督から言われたのが『声を少し低くして話してほしい』ということで、私の声が、柔らかい感じがあるので演じるときは低くして。芯のある話し方ではないですが、ゆっくりしゃべるよりかはテキパキ、という部分も意識しました」と振り返る。
ドラマは、とある高校を舞台に、主人公たちがラジオを意識した番組で校内放送を盛り上げていく“校内放送青春群像劇”だ。クールキャラでありながら、中身は“等身大の高校生”の瑞輝役を通して、青春時代を追体験したという中田さん。
「自分が高校のときは上京してきて、この仕事を始めようとしていたときで、部活動での青春とかが私自身、全然なかったので、作品で体験している感じもあり、すごく楽しかったです」とほほ笑んだ。
「しょうもない僕らの恋愛論」に始まり、「僕たちの校内放送」まで、ドラマ出演が続く現状について、中田さんは「いろいろな作品に出られてうれしいですし、反響があることで『見てくださっているんだな』といううれしさと、『もっと頑張らなくては』というプレッシャーにもなっている。それがすごく自分の中で糧にもなっている気がします」と話す。
今後に向けては、「高校生役をできる年齢ってやっぱり限られてくるので、できるうちにたくさん制服を着てみたいというのはあります。キラキラ恋愛系とか経験がないので、ちょっと憧れがありますし、ほかにも高校生活でできなかったこと、いっぱい経験したいです」と願望を明かす。
そんな中田さんが最近ハマっているものがテレビアニメ「スキップとローファー」。「月刊アフタヌーン」(講談社)で連載中の高松美咲さんのマンガが原作の青春ストーリーだ。
「絵のタッチがすごく可愛いのですが、心理描写もしっかりとしているし、主人公がピュアすぎて。周りが自分のピュアじゃない部分をうしろめたく感じてしまう気持ちも分かる。そういったところがリアルだなと思いますし、決してきれいな青春、友情だけじゃないというところも面白いです。早く続きが見たいなと思っています」と魅力を語ってみせた。
現在23歳で、役者としては伸び盛りであり、各作品で評価を得ながらも、「特徴となる部分が自分にはない」というのが、ちょっとした悩みだとか。
「自分が何かに特化していたらいいのになって思うときもありますし、この仕事を始めた頃は、よくオーディションを受けていて、『特技は何ですか』と聞かれるたび、『私は何が特技なんだろう』と自問自答することもあったので、この先も、もっといろいろなものを目にして、吸収して、自分の特徴や強みや見つけられたらと思います」と前向きな思いを口にしていた。