4人はそれぞれウソをつく:原作は2巻 30分アニメなの!? 実は“仕掛け”も 星野真監督が明かす裏側

「4人はそれぞれウソをつく」の一場面(C)橿原まどか・講談社/製作委員会はウソをつく
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「4人はそれぞれウソをつく」の一場面(C)橿原まどか・講談社/製作委員会はウソをつく

 「別冊少年マガジン」(講談社)で連載中の橿原まどかさんのギャグマンガが原作のテレビアニメ「4人はそれぞれウソをつく」。原作のコミックスは、第2巻までしか発売されていない。アニメは、ショートアニメではなくいわゆる30分アニメで、全11話を予定している。放送が始まる前は、30分、1クールのアニメになるのか?と思った人もいたかもしれないが、切れ味鋭いギャグで見事にアニメ化している。アニメを手がける星野真監督に制作の裏側を聞いた。

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 ◇これは大変… “ピー”を使わず

 「4人はそれぞれウソをつく」は、同じ女子校に通う中学2年生で、宇宙人、抜け忍、超能力者、女装男子という秘密があるリッカ、千代、関根、翼のカオスな学園生活を描いている。ABCテレビ・テレビ朝日系の深夜アニメ枠「ANiMAZiNG!!!」で放送中。

 星野監督はこれまで「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレボリューションズ」「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました」などを手がけてきたことでも知られている。原作を読んで、「これはアニメにするのが大変だぞ……」と感じたという。

 「面白いですし、キャラクターの設定も申し分ないのですが、アニメでは使えないワードもあったんです。橿原先生の罵詈雑言(ばりぞうごん)のセンスが本当によいのですが、アニメでは使えないワードがあって……。それに、原作は、文字を画(え)の一部として使っています。この雰囲気をどうやって伝えればいいんだろう?と悩みました。“ピー”を使う案もあったのですが、本来の良さが消えてしまうので、違うワードを使う方向で落ち着きました。せりふの代替案を出すのに最後まで苦労しました」

 前述のように原作のコミックスは第2巻までしか発売されていないが、1クールの30分アニメとして制作することになった。

 「30分アニメと聞いて一番驚いたのは私です(笑い)。ほかの作品だと、オリジナルのエピソードを足すこともあるのですが、一話まるごとオリジナルエピソードは作らないという方針を最初に決めました。じゃあ、どうやって1クールの30分アニメとしてやり切るのか?を考え、行間を埋め、キャラクターたちの行動を膨らます方向にしました。原作の雰囲気を損なわないようにしながら、シナリオの密度を上げたら、せりふがかなり多くなりました」

 ◇視聴者を疲れさせる!? “仕掛け”のヒントも

 ギャグアニメはテンポが大切になってくる。「4人はそれぞれウソをつく」は、原作の雰囲気を損なうことなく、テンポのいい掛け合いで、キャラクターの個性を見事に表現している。

 「実はカット数が少ないんです。アクションものは結果としてカットが増えるのは分かるのですが、日常ものでも掛け合いのテンポを生もうとしたら、カットが増えてしまうことが多々あります。この作品は、カットでテンポを生んでいません。会話にならない尺感に気を使っています。通常の人間の会話の速度感で、やり取りさせていません。会話のキャッチボールになっていないこともあります。ずっと走っているとテンポが悪くなっていくので、急ブレーキをかけたり……とやってみたり。声優の4人には、苦労をかけています。編集の時に、通常は1秒の3分の1、6分の1くらい足すこともあるのですが、この作品は3秒くらい足すなど普通はあんまりやらないこともやっています。ライブ感を大切にしていて、視聴者を疲れさせてやろうと思っています(笑い)」

 ぶっ飛んだ設定ではあるが、それを受け入れることができる。独特のテンポ感によるところも大きいのだろう。

 「普通に考えたらおかしなことがいっぱい起きる作品です。設定としては、言い訳ができるように全部考えているのですが、説明しないで進めることもあります。アニメの記号として捉えられるようにして、考える暇もなく次に流れていく。原作のキャラクターに助けられているところも大きいですね。この4人だけで完結していて、動きがワンパターンじゃないんです。リッカが事件を起こして、千代がぐちゃぐちゃにして、関根が解決して、翼がオチの一言で締める…………とパターン化しているわけではなく、4人の絶妙なバランスで成り立っていて、懐も深い。そこに助けられています」

 アニメだからできた表現もあった。

 「マンガの場合、読者に進行を委ねるので、読者が考える余地があります。アニメーションは一方的に流すものなので、そこを最大限に生かそうとしています。見終わってから、もう1回見てみようかな……となっていただけるとうれしいですね。発見があるかもしれません。僕はそういう仕込みが結構好きなんです。きっと気が付かないだろうな……と思いながら入れています」

 実はいろいろな仕掛け、伏線もあるようだが……。

 「第3話でギャグかな?と思っていたものは、前振りです。意外なところで伏線を張っています。第7話まで見ると、ちょっとした秘密が明かされて、第1話から仕込んでいることに気付くかもしれません。エンディングも毎回見てほしいです。最終回まで見ると、見方が変わると思います。ただ、頭を空っぽにして見ていただきたいですね(笑い)」

 監督の発言は意味深長だが、最終回の後、第1話から見直すと、発見があるはず……。最後まで見るしかない! 

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