北野日奈子:「こんな最短でアイドルに戻るとは」 ドラマ「少年のアビス」でヒロインも「他人事のよう」

ドラマ「少年のアビス」に出演する北野日奈子さん
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ドラマ「少年のアビス」に出演する北野日奈子さん

 アイドルグループ「乃木坂46」の元メンバーの北野日奈子さんがヒロインを演じている、「ドラマ特区」枠の連続ドラマ「少年のアビス」(MBS木曜深夜0時59分、tvk木曜午後11時ほか)。北野さんが演じた青江ナギは、荒木飛羽(とわ)さん演じる主人公の黒瀬令児が出会う人気アイドルという役どころ。撮影は「あっという間でした」という北野さんに、ヒロインやアイドル役を演じた心境、役作りや演技のこだわり、自身の今後の展望を聞いた。

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◇連ドラ初レギュラー出演&ヒロインへの思い明かす

 連ドラへの本格的な出演は初めてという北野さんは、「長い期間の撮影は初めてでしたし、全話を通して物語に参加するというのも初めてだったので、すごく楽しかったです。ナギちゃんとして生きている世界線の自分をちゃんと歩めたのではと思っています」と充実感たっぷりの笑顔を浮かべる。

 初めてづくしの中でヒロインを務めたことには、「すごいことですけど、その感覚がなくて。自分のことのように感じない」と複雑な心境を明かす。

 「もっと感激してもいいはずだし、そう思っているのですが、どこか人ごとのように感じて淡々としちゃう部分もあって。そこが良くないところなのですけど。演技経験も少ない中、グループを卒業して3~4カ月で選んでくださり(本作に)参加できたことは、幸せだなと思います」

◇役作りで生かされたアイドル活動

 北野さんが演じるナギは、アイドルグループ「アクリル」のメンバー。自身もアイドル活動をしていた北野さんは、劇中で歌唱シーンの撮影の際、「1分半くらいの尺でしか踊っていないのですが、当日の20分くらいで振りが入り、まだそこの能力は衰えていなかったって思いました(笑い)。9年間やってきただけはありますね」と話す。

 アイドル役を演じることについては、「こんな最短でアイドルに戻るとは思っていなかった」と照れ笑い。「期間が短かったからこそ恥ずかしさはなかったし、フリフリの衣装も受け入れられました。(卒業から)1年後だったら、もうちょっと頑張らないとできないような気がします」と語る。

 ナギはクールで感情をあまり表に出さないが、「眉毛を動かさないとか、人と話すときに相手の左右の目を交互に見ると人間味が出てしまうので片方の目だけ見るようにして、感情が声や顔に出ないように気をつけていました」と演技面でのこだわりを説明する。

 ◇自分を切り離すことを意識

 役作りでは、「ナギちゃんとして生きていくのに作るよりも、『自分はナギちゃんなんだ』と、その瞬間は自分のことを忘れるようにしていた。自分と離さないと恥ずかしくて何もできないです」という。

 「作品に参加している自分は知らない人というか。自分じゃない感覚でいたので、どう映っているかがまったく想像できなかった。アイドル時代は、カメラ割りに合わせて自分の表情が頭の中に浮かびながらできたのですが、今回はそれがまったくできなかったですね」と振り返る。

 劇中では喫煙シーンもあるが、「私はタバコを吸わないので、教えてもらっても全然火がつけられなかった」と苦笑い。「最後の撮影では、誰の手も借りずにつけられるぐらい上手になっていました。タバコに火をつける瞬間は、普段自分がやらないからこそ『役のためにやる』という実感がありました」と手応えを口にする。

 ◇「まだ“自分探し”」の日々

 今年の4月30日をもって乃木坂46を卒業。「自分にとって卒業は良いタイミングで、写真集を出して卒業コンサートもして先輩や後輩に見送られて卒業できたので、これ以上ないぐらいのベスト。一つも後悔がなく気持ちよく卒業ができました」という。

 その後、舞台「蒲田行進曲完結編 銀ちゃんが逝く」のヒロイン・小夏役に今作と女優業での大役が続いている状況を、「たまたまです」と恐縮しつつ、「経験したことないことを経験できていることに対しての感謝もありますが、女優になりたいと明確に決めているわけではなく、まだ“自分探し”をしているところ」と心境を明かす。

 「卒業して乃木坂の北野日奈子ではなくなり、代名詞というか肩書は、最近は演技の仕事が続いていることもあり女優と紹介してもらえてありがたいですが、まだ違和感があるというか。女優の仕事は好きですし楽しくやれているように、今は“好き”をいっぱい増やすためにいろんな経験をしていきたい」

 自身の“好き”を増やす中では、「女優の仕事も機会があればやっていきたいですし、モデルの仕事もすごく楽しい」とジャンルにこだわらず、「9年間歌って踊っていましたので、そういう機会があれば私のファンの方も喜んでくださるのかなとも思っています」と幅広い活動への思いも口にする。

 そこには「卒業から時間がたつほど、良い意味でも悪い意味でも『変わった』という印象を持たれやすい」という思いがあるが、「根本的な考えや自分の姿勢は変える気はないですし変わることもありません。私にとってファンの方や家族に喜んでもらえる仕事をすることが大切。そこは安心していただけたら」と呼びかける。

 ◇自分の時間と人生の楽しみ方

 7月に26歳となった北野さんに、20代のうちにやっておきたいことを聞くと、プライベートでは「海外旅行に行ってみたいのと富士山に登ってみたい」という答えが返ってきた。

 「アイドル時代は先の予定が立てにくいのが普通で海に行きたいなどの欲がなかったのですが、ツアーのような恒例だったことがなくなり、自分の時間が少しできるようになると、『海に行きたい!』『スイカ割りしたい!』など、人生の楽しみ方のようなものが気になるようになりました」

 仕事面では「動物が好きなので、動物に携わる仕事をしたい。動物番組もそうですけど、ボランティア活動に参加してそれが記事になって世の中に訴えられたらとか、動物と関わる仕事がしたいです」と思いをはせる。

 30代に向けては「自動車の免許を取る」と話し、「朝早かったり電車だと余計に時間かかっちゃうような場所へは、お父さんが送ってくれるんです。だから逆にお父さんを迎えに行ってあげたいと思っています」と意気込みを語る。

 本作の見どころを、「登場人物それぞれの心境の変化を見てほしい。原作が連載中なのでドラマの終わり方は、ドラマオリジナルになっているのですが、めちゃめちゃ良いので楽しみにしてほしい」とアピール。自身が演じるナギについては、「前半の空っぽな感じと後半にかけて人間味が出てくる変化を楽しんでほしい。自分なりにナギちゃんをくみ取って演じたので、ドラマ版のナギとして楽しんでいただけたら」とメッセージを送った。(取材・文・撮影:遠藤政樹)

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