和田庵:「茜色に焼かれる」で新人賞“3冠”の16歳 石井裕也監督から“忠告”「初心を忘れずに」

映画「茜色に焼かれる」での演技が評価され、三つの新人賞を受賞した和田庵さん
1 / 5
映画「茜色に焼かれる」での演技が評価され、三つの新人賞を受賞した和田庵さん

 昨年公開の映画「茜色に焼かれる」で、主演の尾野真千子さんの息子役に抜てきされた俳優の和田庵(わだ・いおり)さん。「舟を編む」(2013年)や「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」(2017年)で知られる石井裕也監督がメガホンをとった同作での演技が評価され、「第95回キネマ旬報ベスト・テン」で新人男優賞、「第76回毎日映画コンクール」でスポニチグランプリ新人賞、「第35回高崎映画祭」で最優秀新人俳優賞を受賞した16歳だ。授賞式という華やかな場も初めて体験し、「慣れないことも多いのですが、それ以上に喜びやありがたみを感じています」と明かす和田さんに話を聞いた。

あなたにオススメ

 ◇“恩師”石井裕也監督にかけられた言葉

 「茜色に焼かれる」は、石井監督が「愛と希望」をテーマに、時代に翻弄(ほんろう)される一組の母子を描いた。尾野さんが逆風を受けながらも前向きに歩もうとする母親・田中良子に扮(ふん)し、和田さんが良子の13歳の息子・純平を演じた。そのほか映画には、純平が憧れを抱く良子の同僚・ケイ役で片山友希さん、交通事故で命を落とす夫・陽一役でオダギリジョーさん、良子とケイを見守る風俗店の店長役で永瀬正敏さんが出演している。

 和田さんは2005年8月22日生まれ、東京都出身。8歳で芸能活動をスタートさせ、映画「ミックス。」(2017年)で俳優デビュー。連続ドラマ「隣の家族は青く見える」(フジテレビ系、2018年)などにも出演してきた。

 「茜色に焼かれる」は海外留学を挟んで、約2年ぶりの演技だったといい、以前のインタビューでは「(当時は)どこか演じることに、飢えていたのかもしれません」と話していた和田さんだが、その頃は新人賞“3冠”に輝くなど、思ってもみなかったという。

 「自分の演技を見てくださって、評価してくださった方がいて、作品で賞をいただけるという経験が今回、初めてだったので、すごく名誉なことだと思っています。ただ、役者としては、まだまだ未熟なので、これからもっと頑張らなくてはいけないなっていう気持ちも強くなりました」

 受賞について「両親や家族、事務所の方もすごく喜んでくれた」と明かす和田さん。一方、“恩師”石井監督からは「『2年後が危ない』って言われました」とも告白。「多分、『調子に乗るなよ』って戒めの言葉で、初心を忘れず、注意深く、これからもこのお仕事に励んでいけたらなって思いました」と振り返る。

 受賞うんぬんとは別に、間違いなく和田さんの俳優人生の転機となった「茜色に焼かれる」。

 「2カ月間、撮影期間があったのですが、本当に濃い2カ月間で。尾野さんや石井監督から受けた影響や刺激をこの先も忘れず、他の作品で生かしていけたらなって思っています。そういう意味でも、これから先もずっと自分の中に残り続ける作品になりました」

 ◇今後、挑戦してみたい役どころ

 WOWOW初のハリウッド共同制作ドラマシリーズとして、4月から配信・放送がスタートする「TOKYO VICE」にも出演する和田さん。今後、挑戦してみたい役どころを聞くと「具体的にあります」との答えが。

 「趣味でスケートボードをやっているのですが、毎日やっていた時期もあるくらい好きなので、スケーターの役が来たらうれしいです」

 スケートボードを始めたのは中学1年のとき。留学先のカナダではスケートボードがコミュニケーションツールの一つになっていた。

 「最初は一人で練習していたのですが、そのうち、現地の子から誘ってもらうようになって。当時は英語もほとんど話せなかったのですが、スケートボードをきっかけに仲良くなれたので、そういった役も機会があったらやってみたいです」

 また「スケートボードには技がたくさんあって、一つ成功してもすぐ次があって、スタイルとしては『これが正解』というものもない。そういったところはお芝居とも少し似ているのかな」と明かす和田さん。

 俳優という仕事について「今回の『茜色に焼かれる』をいろいろな方が見てくださって、評価してくださったことを、こうやって賞をいただくことで実感して、改めて素晴らしい仕事だと思ったので、僕自身もっともっと精進して、たくさんの方に感動を与えられるような、そんな俳優になりたいなって思っています」と思いを口にした。

写真を見る全 5 枚

映画 最新記事