小清水亜美:「私を形作るのに欠かせない存在」 「エウレカセブン」アネモネ演じて16年

「EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」の一場面(C)2021 BONES/Project EUREKA MOVIE
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「EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」の一場面(C)2021 BONES/Project EUREKA MOVIE

 人気アニメ「交響詩篇エウレカセブン」の劇場版アニメの完結編となる第3作「EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」が11月26日に公開される。テレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」がスタートしたのは、2005年で約16年前だ。約16年にわたり、人気キャラクターのアネモネの声優を務める小清水亜美さんは、同作、アネモネへの思いを「今の私を形作るのに欠かせない存在」と語る。

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 ◇がむしゃらだった16年前 皆さんに導いていただいた

 「エウレカセブン」は、英雄だった父・アドロックを失ったレントンが、LFO(巨大人型ロボット)を操る神秘的な少女エウレカとの出会いをきっかけに、“世界”を知るために旅をする……というストーリー。テレビアニメ「交響詩篇エウレカセブン」が2005~06年に放送された。

 小清水さんが演じるアネモネは、わがままで気が強く横暴。じゃじゃ馬ではあるが、切ないストーリー展開もあって、シリーズ屈指の人気キャラクターとなった。小清水さんにとってアネモネはどんな存在なのだろうか?

 「今の私を形作るのに欠かせない存在です。アネモネは、とてもとても変わったキャラクター。テレビシリーズの収録当時、19、20歳だった私は器用でもなく、声優の仕事に慣れていないですし、演じるのが大変でした。収録では、答えが出るまで、球を投げ続けました。『投げていいんだよ!』『間違ってもいいから、先に進もう!』とスタッフ、共演者の皆さんが支えてくださりました。チャレンジすることが怖くなくなったんです。リテークって怖いんです。プレッシャーもあります。どんどん萎縮しそうになる中で『投げろ!投げろ!』と背中を押していただけました。やりがい、楽しみを感じながら、勇気を持ち、前に進むことができるようにしていただけた作品です」

 アネモネはピーキーなキャラクターでもある。不安定な感情を表現するのにも苦労した。

 「当時は不器用で気持ちの切り替えがすぐにはできませんでした。気持ちを持っていくのに時間がかかり、現場に入る前からアネモネの気持ちを作らないと間に合わなくて。余裕がなかったですね。今はそんなことはないですよ。声優人生で初めて喉を壊したのも『エウレカセブン』でした。喉は強い方だったんですけど。壊れたことも分からなくて、頑張りすぎて、体が追いついていなかった。しんどかったですね」

 現場の雰囲気が小清水さんの意識を変えた。その経験が今も生きている。

 「『エウレカセブン』がなかったら、今の役者人生があるのだろうか?と思っています。がむしゃらに演じさせていただき、皆さんに導いていただいたから、生み出されたんです。今になって、私も立場が変わり、若い世代に返していこう!と思うようになりました。新人の頃の不安はデリケートなんですよね。まだまだおこがましいんですけど」


 ◇大人になったアネモネを演じ エウレカとの関係

 「ハイエボリューション」シリーズは、第1作「交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション1」が2017年9月、第2作「ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション」が2018年11月に公開された。第2作「ANEMONE」はタイトル通り、アネモネを中心としたストーリーで、テレビシリーズとは設定が変わり「石井・風花・アネモネ」として登場した。第3作「EUREKA」は、「ANEMONE」から10年後の世界が舞台となる。

 「『ハイエボリューション』が始まり、アネモネのピーキーなお芝居のために体作りをしよう!と思っていました。メンタル、体力的にも消耗するキャラクターなので、体力が追いつかないんです。テレビシリーズの収録当時は19、20歳だったので、ナチュラルなパワーで、ヘトヘトになっても踏ん張りが利きましたが、今は意識的に踏ん張れる自分を作らないといけません。加圧トレーニングに通いました。腹筋、背筋が支えきれなくなっているので」

 「ANEMONE」は「ハイエボリューション1」とは別の世界の東京が舞台になるなど新たな展開に驚かされたファンも多かったはず。「EUREKA」では、エウレカ、アネモネが大人になり、アネモネは、独立師団無任所部隊A.C.I.D.(アシッド)の機動部隊ブエナ・ビスタ隊隊長として活躍する。

 「『ANEMONE』の時も想像していなかった!?となりましたが、『EUREKA』もこんな未来になるなんて!?と驚きました。テレビシリーズの時には、想像もしていなかったですし、『ハイエボリューション』が始まった時も想像していませんでした。『ANEMONE』でアネモネは子供だったこともあり、パワフルさ、子供特有の無尽蔵な体力を表現するためにパワーが必要でした。『EUREKA』は、肉体的というよりも精神的なパワーが必要とされました。直情的ではなく、いろいろな経験を経て生まれた怒り、喜びを表現しないといけません。気持ちを作るための心の体力が必要でした。とても楽しかったです。テレビシリーズとは違ったやりがい、アネモネへの思いが生まれました」

 大人になったエウレカ、アネモネの関係も見どころの一つだ。10年の時を経て、2人に信頼関係が生まれたことも垣間見られる。

 「大人になって、幼なじみと接した時、当時の気持ちに戻るような感覚なのかもしれません。アネモネは、エウレカと10年も過ごしてきました。核心を突いた言葉は、発するのに勇気が必要だけど、それを考えないでいい関係になっています。最高の信頼関係ですよね。親友であり、家族でもある。アネモネが幸せな未来にたどり着いたんだ……と感じながら演じました。テレビシリーズでは、エウレカという存在を疑似的に作ろうとしたのがアネモネです。自分の存在理由を探して、エウレカに嫉妬もありました。テレビシリーズが終わった時、(エウレカ役の)名塚(佳織)と話したんですよ。『出会い方がこうじゃなかったら、一番の親友になれたんじゃいの?』と。同じように孤独で異質な存在。誰よりもエウレカを分かってあげられるのが、アネモネなのかもしれない。『ハイエボリューション』で『やっぱりそうだったんだよね!』と思うところもありました。環境、接する人が変われば、こうも変わる。アネモネは、エウレカにとって特別な存在になっている。もちろんレントンはいますが(笑い)」

 「EUREKA」では、世界中から憎まれるエウレカが、新たな“EUREKA”少女アイリスを命懸けで守ろうとする。レントンはどうなるのか?など気になる点も多く、小清水さんは「アネモネ目線で、うれしいけど、なんで!?という気持ちもあります(笑い)。複雑です。アネモネは大人になったのに散らかった感情を見せたり。そこにも注目してください!」と語る。約16年の思いをぶつけた小清水さんの演技が注目される。

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