田中みな実:「ボク恋」“あざとい”役がハマってる 演技の裏にあるリアルさ

連続ドラマ「ボクの殺意が恋をした」で水瀬千景を演じている田中みな実さん=読売テレビ提供
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連続ドラマ「ボクの殺意が恋をした」で水瀬千景を演じている田中みな実さん=読売テレビ提供

 俳優の中川大志さん主演の連続ドラマ「ボクの殺意が恋をした(ボク恋)」(読売テレビ・日本テレビ系、日曜午後10時半)で、人気マンガ家のチーフアシスタント・水瀬千景を好演している田中みな実さん。体を密着させたりとあざとい仕草で男性に色目を使い、その裏で主人公・男虎柊(中川さん)の周囲を調べたりと怪しい動きを見せる千景を演じる田中さんに、SNSで「ハマってる!」「小悪魔キャラ似合う」「田中みな実っぽい役」という声が上がっている。その理由を探ってみる……。

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 ◇ぶりっ子&闇キャラを使い分け “あざと女子”に精通

 田中さんは、2014年10月にフリーアナウンサーに転身。局アナ時代から数々のバラエティー番組でアシスタントでもある進行役を務め、過去の「ぶりっ子キャラ」「闇キャラ」を上手にトークに織り交ぜるなど頭の回転の速さを証明しながら、サービス精神旺盛な一面も見せて、視聴者を楽しませてきた。一方で、初写真集「Sincerely yours…」(宝島社)を発売。多数の女性誌の表紙も飾り、女性人気を高めて人気者の仲間入りを果たした。

 田中さんと、“あざと女子”というワードが一番結びつくのが、テレビ朝日のバラエティー番組「あざとくて何が悪いの?」だ。同番組では、田中さんが共演者とともに、視聴者投稿をもとにした世にはびこる“あざと女子”のエピソードを実写化したVTRに、歯に衣(きぬ)着せぬ発言で突っ込んで、視聴者の共感を誘っている。“あざと女子”の生態を分かりやすく解する一幕もあったりと、意図的に男性心理をくすぐる“あざと女子”の心理をよく理解していることがうかがえる。

 ◇「奪い愛、夏」で狂気の演技、「M 愛すべき人がいて」の怪演も

 バラエティー番組で頭の回転の速さや的確なコメント力を見せる田中さんだが、女優業でもその魅力を放ってきた。2019年に放送された連続ドラマ「絶対正義」(東海テレビ)で、本格的な演技に初挑戦。妻子がいる男と不倫関係にある女優・石森麗香を熱演し、キス&ラブシーンといった体当たりの演技も披露。また、連続ドラマ「ルパンの娘」(フジテレビ)シリーズには、女泥棒・双葉美羽役でゲスト出演し、肌を大胆に露出した衣装に身を包み、ムチによるアクションを見せ、視聴者を沸かせた。

 2019年に「AbemaTV」で配信された連続ドラマ「奪い愛、夏」では、悪女の顔を見せる井川瞳を好演。キュートな笑顔を見せた直後に、低い声で登場人物をののしったり、スタンガンで人に襲いかかったりと、狂気の演技を見せた。2020年放送の「M 愛すべき人がいて」で演じたのは眼帯の秘書・姫野礼香。愛する男性音楽プロデューサーが主人公の新人女性歌手に肩入れすることに激しく嫉妬し、姑息(こそく)な手段で主人公に嫌がらせを繰り返す役で、目を見開きながら「許さなーーーーい」と発言したり、うつろな表情でシンバルをたたいたりといった“怪演”を見せ、視聴者に強烈なインパクトを与えた。

 一方、「生きるとか死ぬとか父親とか」(テレビ東京)で演じたのは、劇中に登場するラジオ番組で進行を務める東七海。田中さんのアナウンサーとしてのキャリアを最も生かした役どころで、落ち着いた演技を披露し、視聴者から好評を得た。“怪演”だけではない女優としての奥行きをうかがわせる役どころだったといえるだろう。

 ◇千景役の裏にあるリアルさとは…

 バラエティー、ドラマで類いまれなる才能を見せつけてきた田中さんが、「ボクの殺意が恋をした」で演じているのが、人気マンガ家・鳴宮美月(新木優子さん)のチーフアシスタント・千景だ。千景は、アシスタントとして極めて優秀な能力を持っており、婚活中で、頻繁にマッチングアプリを駆使して男あさりをしているという設定だ。柊と出会うシーンでは“指ハート”でアピール。さらに、美月の秘書となった柊に、必要以上に体を密着させて仕事を教えるなど、あざとい仕草を見せた。その演技は、“あざと女子”の行動を熟知した田中さんならではの説得力があった。

 その一方で、千景は“大きな秘密”を隠しているというキャラクターでもある。第2話のラストでは、千景が美月のパソコンで、男虎柊の育ての親・丈一郎(藤木直人さん)が殺害された事件の記事を発見。それを機に、柊の身辺を調査し、何者かと連絡を取り合うシーンが描かれた。

 役どころとしての“二面性”があるとはいえ、千景が登場すると「何かたくらんでいるのでは?」と、つい目を引かれてしまうのは、田中さんが演じているからだろう。そこには、胸の内にさまざまな思惑を秘めたぶりっ子&闇キャラという一面で楽しませ、“あざと女子”を熟知したイメージを見せてきた田中さんが、腹の底が見えない“あざと女子”の千景を体現しているからこそ、リアリティーを増幅させていると言えるのではないだろうか。

 8月8日放送の第5話から「秘密編」がスタートする。千景について「明るく、感情表現が豊かであるようで、どこか本心が見えない、謎に包まれた人物だと感じました。そこをうまく表現していきたい」と意気込んでいた田中さんが、今後のストーリーにどう関わっていくのか、注目だ。 

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