吉瀬美智子:女優デビュー14年目 「常に新しい自分を見せられたら」

WOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 黒鳥の湖」に出演する吉瀬美智子さん
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WOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 黒鳥の湖」に出演する吉瀬美智子さん

 女優の吉瀬美智子さんが、7月24日からWOWOWプライム、WOWOW 4Kで放送、WOWOWオンデマンドで配信される連続ドラマ「連続ドラマW 黒鳥の湖」(岩田和行監督、全5話・第1話は無料放送)に出演する。因果応報がテーマになったミステリーで、吉瀬さんは藤木直人さん演じる主人公の妻を演じる。今年、女優デビュー14年目を迎え「常に新しい自分を見せられたら」と話す吉瀬さんに、ドラマの見どころや、女優業について聞いた。

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 吉瀬さんがWOWOWのドラマに出演するのは10年ぶり2度目。「WOWOWのドラマはすごく重厚で、しっかりともの作りをしているイメージ。モデルから女優として少しずつステップアップして、10年後にこうして再びキャスティングしていただけたということは、その間の成長過程もちゃんと見た上で、地道にやってきたことを評価してもらえたということ。うれしかったですね」と笑顔を見せる。

 ドラマは、宇佐美まことさんの同名小説(祥伝社)が原作。会社経営者で、美しい妻、可愛い娘と幸せな生活を送る財前彰太(藤木さん)は、興信所の調査員をしていた18年前、若い女性の行方不明事件の調査を依頼された過去があった。その事件で大きな“細工”をした彰太は、その18年後、似たような事件が起き、動揺する。そんな中、愛娘が行方不明になり、調べを進めるうちに妻・由布子(吉瀬さん)の過去を知り……と展開する。

 物語は、18年前の事件と酷似した事件の発生をきっかけに、過去と現在が複雑に絡み合い、人々の心の闇や傷が次第に明らかになっていく。

 「謎解きがすごく複雑で、『あれ、犯人はもしかして……?』と翻弄(ほんろう)される場面もたくさんあるんです。私が演じた由布子は、ちょっと行き過ぎてしまうところもある母親なんですが、芯の強さと弱さのバランスを大切にしながら、品の良さも意識しました」と見どころを明かした吉瀬さん。「ドラマで描かれている因果応報は、決してドラマの世界に限った話ではなく、誰にでも普通に起こりうること。ドラマを見ながら、日ごろの自身の立ち居振る舞いを見つめ直してみるのもいいのかなと思います」と語る。

 藤木さんと夫婦役を演じるのは今回が初めてで、「18年前、まだ興信所の調査員だった頃の彰太さんに助けてもらうシーンでもキュンキュンしましたし、『俺が幸せにするから!』という感じのせりふには、私自身、グッときてしまいました(笑い)。『女子なら一度はこんなせりふ言われたいよね』って女性陣で盛り上がってしまったくらいです」とちゃめっ気たっぷりに撮影を振り返る。また「長年抱えていた秘密をお互いに明かすシーンでは、本番で私の感情がブワッとあふれたときも、彰太さんがギュッと手を握ってくれて。藤木さんに自然に導かれていった感じがありましたね」と2人の信頼関係も芝居の一助になったようだ。

 彰太と由布子の娘・財前美華を演じるのは、演技未経験ながら、映画「ミッドナイトスワン」のオーディションで数百人の中からヒロインの座を射止め、同作で「第44回日本アカデミー賞」の新人俳優賞など数々の新人賞に輝いた服部樹咲さん。吉瀬さんと服部さんは同じ事務所に所属しているが「会うのは今回の現場が初めて」だったという。

 「すごく背も高くて、コンクールで優勝するくらいバレエが上手なので、(今回の作品の撮影で)踊っている姿を『すてきだなあ』と思って見入っていました。役の上では母親に対してちょっと反抗的なキャラクターですが、実際には控え目で、すごく可愛らしい印象の子でしたね」と目を細める。

 また、悩んだ由布子を精神的に支える「瞑想の会」の主催者の一人、大黒を演じる財前直見さんについては「少し怖かったです(笑い)」と率直な思いを告白。「白髪ボブのウイッグを着けた財前さんが振り向いた瞬間に、私が『うわあ!』って本気で怖がってしまった場面があって。監督から『由布子さんがちょっとおびえていますので、もう少し普通にやりましょうか』という演出が入ったくらい“大黒様”になりきっていらっしゃいました。本当は“大黒様”に心を委ねなきゃいけないんだけど、なかなか委ねられなくて……。でも実際の財前さんは、とてもフランクな方で、現場は楽しかったですよ」と振り返った。

 女優デビュー14年目で、日頃から「セルフプロデュースに務めている」と話す吉瀬さん。「常に新しい違う自分を見せられたらいいなと考えながら、お芝居に取り組んでいます。視聴者や観客の方が、次はどんな吉瀬美智子が見たいのかをあれこれ想像して、客観的な視点を大切にしています。『演じる役の振り幅はできるだけ大きくしておきたい』という気持ちもありますね」と話し、「最近、お母さん役も増えてきました。さらに年齢を重ねて、いつかおばあちゃん役をやるときに、一つ一つのしわに深みがある女優になりたいですね」と展望を明かした。(取材・文/渡邊玲子)

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