杉咲花さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おちょやん」(総合、月~土曜午前8時ほか)に出演する俳優の前田旺志郎さん。演じる松島寛治は、新派の劇団の座長の子で、早くに父を亡くし、千代(杉咲さん)と一平(成田凌さん)のもとで生活することになるが……という役どころだ。「朝ドラの出演は今回で2回目になりますが、ここまでしっかりと作品に関わるのは初めてなのでうれしいですし、緊張もしています」と話す前田さんがドラマについて語った。
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どこか屈折した心の持ち主の寛治。前田さんは「寛治は、自分が本当に思っていることを言葉や表情になかなか出さない複雑な子です。なので、台本を何度も丁寧に読みながら、このせりふは本当はどういう思いで言ったのだろうと、書かれているすべての言葉の真意を自分なりに探しながら大切に演じています」と明かす。
一方で、「あまり理詰めに考えすぎないようにもしています」という前田さんは、「寛治は、千代と一平と暮らしている中で、ある事件を起こしてしまいます。それは、千代と一平は、これまで寛治が出会った人たちとは違い、この二人だけは信用してもいいと思い始めた矢先の出来事だったので、僕の中ではなぜ二人を裏切るような行為をしたのか分かりませんでした」とも告白。
「でも、寛治自身も分かっていなかったんじゃないかな」と推測していて、「寛治自身でさえも理解できない部分もあって、若さゆえの素直さと同時に、もろく危うい部分もあるということに気がつき、そのバランスを大切にして演じています」と語った。
収録現場の様子については「杉咲さんは、撮影中はもちろんのこと、撮影以外でも千代そのもので、すべて包み込んでくれています!」と声を弾ませる前田さんは、「僕は途中からの参加で、当初はガチガチに緊張していました(笑い)。でも、まるで千代が寛治の面倒を見るように杉咲さんが常に気遣ってくれて、出演者やスタッフの皆さんに紹介してくれてだいぶ緊張が和らぎました。きっと寛治も、千代にこういう思いを抱いたのだろうなと思い、すんなりと演技に反映できました」と周囲にも感謝する。
最後に「毎日15分の中でストーリーの起承転結がちゃんとあり、悲しいだけでなく笑いもあり、優しい気持ちになれるドラマは朝ドラならではです。今後、物語は戦争に突入していき、寛治自身も千代との関係性が変化していくことになります。人間の良い部分だけでなく汚い部分や悪い部分も、すべて包み込んでくれるような作品になっていますので、全人類にご覧になっていただきたいです」と視聴者に呼びかけた。
「おちょやん」は、上方女優の代名詞といえる存在で、「大阪のお母さん」として親しまれてきた女優の浪花千栄子さんの人生をモデルにしながらも、物語を大胆に再構築し、フィクションとして描く、103作目の朝ドラ。明治の末に大阪・南河内の貧しい家に生まれた千代が、華やかな芝居の世界に魅せられ、自らも女優を目指すようになる。
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