アニメ質問状:「無職転生」 ファンタジー世界の大河ドラマ 新スタジオ設立の裏側

「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」の一場面(C)理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会
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「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」の一場面(C)理不尽な孫の手/MFブックス/「無職転生」製作委員会

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は、小説投稿サイト「小説家になろう」で人気のライトノベルが原作のテレビアニメ「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」です。EGG FIRMの代表取締役でチーフプロデューサー大澤信博に、作品の魅力などを語ってもらいました。

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 --作品の概要と魅力は?

 原作は元々“なろう”に掲載されていた理不尽な孫の手先生執筆による小説で、KADOKAWAのMFブックスより刊行されています。ざっくりと言ってしまうと、34歳、童貞、無職の引きこもりのクズ男が異世界に転生し、少年・ルーデウスとして新しい人生を生き直すお話です。

 4年ほど前にMFブックス編集長の金田一(健)さんから原作のご案内をいただいたのですが、それまで私は不勉強で読んでいませんでした。第12巻青少年期編まで一気に読みました。いや、面白かったです。これはファンタジー世界の大河ドラマだと思いました。これはアニメ化したいと即座に思いまして、すぐに編集長に連絡しました。これまでに「ソードアート・オンライン」「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」とラノベ原作のアニメ化を手掛けてきましたが、この「無職転生」も長くアニメ化したいと思った原作の一つです。

 --アニメにするときに心がけたことは?

 原作がとてもしっかりしたお話で、しかも大河ドラマに匹敵する長さがありましたので、プロデューサーとしては、まずこれをしっかりとアニメとして映像化できる制作体制を作ることから始めました。いろいろ検討した結果、結局、この作品のために新しい制作スタジオを作ることになってしまいました(笑い)。いばらの道と分かっていましたが、いや実際、大変です……。現場はスタジオバインドの大友(寿也)プロデューサーと岡本(学)監督がしっかりしたスタッフを集めてくれて、演出、作画、美術、撮影の出来栄えは、各セクションのスタッフのこだわりのたまものです。

 --作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 新スタジオの設立のドタバタやコロナの影響など立ち上げがとても大変な作品だったので、第1話が無事出来上がった時は、感慨ひとしおでした。途中で、もうこれは第1話も完成しないんじゃないか……と思っていたので(笑い)。でも、現場から上がっているキャラクター設定、美術設定、絵コンテや音楽、ダビング時の映像など一つ一つが私にとってはテンションが上がる瞬間で、キャラクターや背景に生命が吹き込まれていく様子を見ているようでした。

 --今後の見どころを教えてください。

 主人公の少年ルーデウスはちょっとゲスでエッチです。なぜなら前世の男は引きこもりのクズニートだからです。魔術の家庭教師はロリっ子魔術師で、エルフ耳の友達はボクっ子で、お嬢様は凶暴でツンデレです。そして、この作品は魔法の水球やら涙やら雨やら、いろんな水分が多めに出てきます(笑い)。その描写にもぜひ注目してもてほしいです。

 --ファンへ一言お願いします。

 「よい作品を作りたい」というスタッフの意気とこだわりを感じてもらえればと思います。私が気づかない細部までこだわりにこだわって作っています。せりふ一つ、線一本、色一つ一つにスタッフのこだわりが詰まっています。細部を見てほしいと思いつつ……とはいえ、作品はとにかく視聴者の方に見ていただいて楽しんでもらうことしかないのです。特別にものすごいアクションや仕掛けやケレンがあるわけでもありませんが、先に言った通り、これはファンタジー世界の大河ドラマです。クズな前世の男とちょっとませた感じの少年ルーデウスを中心に彼ら彼女たちがファンタジー世界で冒険しながらどのように成長していくかぜひ楽しんでほしいと思います。

 大澤信博 「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」​チーフプロデューサー EGG FIRM 代表取締役 

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