松下洸平:「#リモラブ」で初のラブコメ オリジナリティー模索の日々に「毎日が挑戦」 監督からは「上手にやらないで」

連続ドラマ「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」に出演する松下洸平さん
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連続ドラマ「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」に出演する松下洸平さん

 今年3月まで放送されたNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」で、戸田恵梨香さん演じる主人公・喜美子の夫・十代田(そよだ)八郎を演じて話題となった、俳優でシンガー・ソングライターの松下洸平さん。10月14日スタートの連続ドラマ「#リモラブ ~普通の恋は邪道~」(日本テレビ系、水曜午後10時)では、弱気だが誠実な33歳の独身・青林風一役でラブコメディーに初挑戦する。そんな松下さんは、撮影現場での日々について「毎日が挑戦」だと語る。監督から「上手にやらないで」と指摘を受ける表現の仕方や、オリジナリティーを模索中だという現場での在り方、俳優としてさまざまな役を演じることへの率直な今の思いなどを明かした。

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 ◇青林は「鈍感でピュア」 役へのアプローチは“出身地決め”から

 ドラマは、波瑠さん扮(ふん)する恋をサボってきた“おひとり様”産業医・大桜美々の久しぶりの恋を描く物語。美々が恋をしたのはSNSで知り合った顔も名前も分からない相手だが、どうやらその人物は同じ社内にいるらしい……という展開で、松下さん演じる青林は美々の“恋の容疑者”の一人として登場する。

 松下さんは、台本を読んで「青林はとても弱気だけど、根はしっかりしていて、自分の世界をちゃんと持っている青年」だと感じたといい、「悪く言えば鈍感、良く言えばピュアで愛らしい」と印象を語る。

 青林を演じるにあたっては、「台本に書かれていないバックボーンの部分を作っていくことが大切だと思い、まず出身をどこにするかという話を監督とさせていただきました」と明かす。話し合いの中で「東北の方だよね」という互いの意見から出身地は岩手県に決定し、「きっと彼は幼少期から山や海に囲まれた環境で、のびのびと生活してきたと思うんです。それが東京に来たあともブレることなくそのまま。ある意味、人と違う時間軸を生きているような“マイウエー”さがありますね」と、役に対しての細やかなアプローチを見せた。

 ◇監督からは「上手にやらないで」 “不器用”の表現に苦戦

 青林を「ピュア」だと語る松下さんに、どことなく自身とも共通する点がありそうだが……と伝えると、「僕のはるか上を行くピュアさですよ(笑い)」とはにかみながら、「こんな人いないだろう、というくらい真っすぐ。決してコミュニケーションができないわけではないけど、台本を読んでいて『何でこんなに不器用なんだ』と思ってしまうこともあります」と答えた。

 そういった青林の不器用さを表現するうえで、松下さんはあることに苦戦しているのだという。それは「役者として不器用さをうまく表現しようとしてしまう」こと。「僕は舞台でのお芝居を長くやっていたので、いかにきれいに言葉を届けられるか、というのをついつい意識してしまう。でも、不器用な人は不器用に演じないといけないし、不器用をうまく見せようとすると、ただの上手な人になってしまうんですよね」と話す。

 美々との会話においても「少しスラスラ話しすぎている」など、監督からは「上手にやらないで」と指摘されることも多いといい、「不器用さの表現は、今回、僕が青林をやっていく上での課題の一つです」と向き合った。

 ◇濃いキャラたちの中で「どう個性を放てるか」 オリジナリティーを模索

 本作には、青林以外にも社内一の甘え上手・五文字順太郎(間宮祥太朗さん)、キラキラ新人看護師の八木原大輝(高橋優斗さん)、トラブルを起こしがちな営業部の岬恒雄(渡辺大さん)、ラテンな昭和のオヤジ・朝鳴肇(及川光博さん)と、個性豊かな“恋の容疑者”たちが登場する。松下さんは特に、五文字役の間宮さん、朝鳴役の及川さんとの共演シーンが多いといい、劇中では3人による軽快な会話劇も繰り広げられる。

 出演発表時のコメントでも、松下さんは2人との掛け合いについて「台本でもすごく面白い」と話していたが、実際の演技を通して「想像以上に皆さんキャラが濃くて……(笑い)。役柄を通して一人一人の個性が出ていらっしゃるなと思いました」と感想を語る。

 続けて、「だからこそ、一見何の変哲もない青林が3人の中でどう個性を放つことができるのか……。役柄としてアピールしていかなきゃいけない部分もあるので、今は、お二人にないもの、自分にしかできないことを見つけていかなければと、日々考えています」とオリジナリティーを模索する。「僕はラブコメも初めてですし、本当に毎日が挑戦で……。皆さんこんなに振り切って演じていらっしゃるのかと驚かされますが、僕も負けずにいかなきゃと思います」と力を込めた。

 ◇“誰か”の人生を歩むのは「すごく楽しい」 役者としての醍醐味は…

 新しい役どころに挑戦するうえでは苦労や葛藤もあるが、さまざまな役柄を演じることについて、松下さんは今、どのように感じているのだろうか。そう尋ねると、松下さんはまっすぐな瞳で「すごく楽しい」と思いを口にした。

 「僕らの仕事は、自分以外の人間になって、その人の人生を歩むこと。時にすごく難しいけれども、俳優としての仕事の醍醐味(だいごみ)はやっぱりそこだと思うんです。自分ではない誰かを生きることで、僕自身に返ってくることもあるし、学びの場だなと思います」と語る。

 今回の青林というキャラクターに対しても、「台本を読みながら、『この人は何でこんなことを言ってしまうんだろう』『何でこう動かないんだろう』と疑問に思うところを、僕の頭の中でひもときながら、ウソをつかずに演じていく。すごく役者冥利につきるなと感じます」と充実感を見せた。

 最後に、クランクアップまでどのような気持ちで撮影に臨みたいか尋ねると、「とにかく新しいことに挑戦してきたい」と、どこまでも貪欲な一言が返ってきた。「いろいろな課題はありますが、現場でも楽しみながら、初のラブコメを存分に味わいたいと思います」と笑顔で締めくくった。

 ※高橋優斗さんの「高」は「はしごだか」。

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