女優の多部未華子さんの主演ドラマ「私の家政夫ナギサさん(わたナギ)」(TBS系、火曜午後10時)。8月25日放送の第8話の平均視聴率(世帯)は16.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、4週連続右肩上がりで番組最高を更新するなど絶好調だ。9月1日放送の最終回を前に、ドラマを手がける岩崎愛奈プロデューサーと、編成の松本友香さんに好調の理由を直撃した。
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初回の平均視聴率(世帯)は14.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、好スタートを切った今作。松本さんは、「最初の視聴率が出たときは私たちも驚いたんですけど(笑い)、F1層の20~30代前半の女性にバチッとハマっているな」と初回から手応えを感じたと明かす。
多部さん演じるヒロイン・メイは、製薬会社の営業職(MR)としてバリバリ働くキャリアウーマンだが、家事が大の苦手で、部屋は物であふれ散らかり放題。そんなメイに、視聴者からは「メイちゃんが私にそっくり」「メイちゃんに共感しかない」といった声が続々と上がっている。松本さんは、「主人公のメイさんに、皆さん自分を重ね合わせて『わかるわかる』というお声をいただいた。視聴者の求めるものにハマったというのが強くあった」と振り返る。
第1話の放送後も、じわじわと人気を集める中、視聴者の共感を呼ぶ多部さんの演技が大きな話題となった。松本さんは、「いろいろな記事に取り上げていただいた中で、5話がやっぱり大きかった」と振り返る。
ドラマでは、メイの恋愛模様も描かれているが、それだけではなく、家族との関係性、仕事への向き合い方なども丁寧に描かれている。第5話では、メイの妹で、3年前に実家を飛び出したままの唯(趣里さん)と、2人の母・美登里(草刈民代さん)が和解する様子が描かれた。
美登里が、「どんなに成長して大人になっても、憎たらしいこと言ったり、言うこと聞かなくなっても、小さくて可愛いこの頃のイメージが重なるのよね。どこにいてもこの頃のままなのよ、親にとっては。だからかなぁ、あなたたちがいくつになっても、同じことばっかり言い続けて、ついつい厳しくなっちゃうのかしらね」と娘たちへの思いを話す場面も描かれ、話題となった。
松本さんは、「それまでは、頑張る女性の“あるある”を描いていた。5話で家族の話を描いたら、一気にF3(50歳以上の女性)、M3(50歳以上の男性)もついてきて、家族で見てくれるようになったんだなと感じた」と明かす。「子供と一緒に見ても平和なラブコメだし、大人もちょっと涙できる物語なんだっていうのを、5話ですごく感じてもらえたと思う。一気にF1以外の層も1ポイント、2ポイント上がったというデータが出ています」と明かす。
実は、ラブコメ作品では、主人公の恋愛から外れた展開を描くと、視聴率が下がってしまうケースもあるといい、「5話はちょっと怖いなって思っていた部分もあった」と明かす松本さんだが、結果的に今作にとって大きなポイントとなった。
第5話で妹と母の関係性が修復されたことにより、メイの心も軽くなった。協力してくれたナギサとの絆も深まった。「メイの心の荷物がどんどん降りていく感じが出た」ことにより、物語の次の展開への期待感にもつながったのではないかと分析している。
多部さん演じるメイについて「ずっと見ていたくなっちゃう」と話す岩崎プロデューサーは、「多部さんが魅力的な登場人物を作ってくれたので、それも大きいと思う」と分析。また、大きな事件が起こったりせず、嫌な人も出てこない今作について、「あまり小難しいことをストレートに問題提起するってことでもないですし、みんなリラックスして過ごせる時間になったんじゃないか。素直に楽しめる1時間にできたんじゃないか」と分析する。
次回へのつなげ方も工夫した。たとえば、第8話のエンディングでは、メイが突然プロポーズをする展開だった。松本さんは、「特に大きな事件がないドラマなので、最後には絶対あいみょんさんの曲が終わったら、『えーっ』って終わるような展開にしたい。毎回そこがちゃんと引っ張れたかな」と振り返る。
また、劇中ではたびたびマンガ「北斗の拳」ネタが登場。松本さんは、「脚本の徳尾浩司さん、坪井敏雄監督といった男性陣が、『おじさんでもわかるようなネタを入れないと女性しか見ない』と言っていて。(ネタが)わからない人にもなんとなく聞いていて面白いし、わかる人にはめちゃめちゃ面白い。男性陣が盛り上がっていました」と裏側を明かす。
視聴者からは、「共感」「癒やされる」などの意見が続出しているが、松本さんは「家事だってもっとアウトソーシングしてもいいし、頼れる人が近くにいるんだったら頼ってもいいしみたいな、なんとなくみんなが少しずつ抑制していたり、セーブしている部分を『解放していいんだよ』っていうのをテーマにした」と明かす。
「ちょうど世の中のみなさんが求めているモノとマッチしたのかな?」と手応えを語る岩崎プロデューサーに、高視聴率を受けて、撮影現場の雰囲気はどうなのか聞いてみた。「撮影休止期間という結構大きな事件を間に挟んでしまった。ものすごく大変な状況をキャスト、スタッフ一丸となって乗り越えて撮った作品なので、思い入れはすごく強いです」と話す。
また、「みんなで乗り越えた作品が好視聴率。多くの人に見てもらえているという結果。(キャストもスタッフも)みんなすごく喜んでいて、良い意味でいつも通りではあるんですけども、『見てもらえるってうれしいよね』っていう良い雰囲気がすごくあります」と続ける。
そんな「わたナギ」も、いよいよ9月1日の放送で最終回。岩崎プロデューサーは、「怒濤(どとう)の展開になってくるんですけど、メイちゃんとナギサさんがどんな幸せの形を見つけていくのかというところにご注目いただきたいかなと思います。登場人物たちがちゃんと前進して、すごく多幸感にあふれたラストになっていると思うので、一緒に最後まで見届けていただけたらうれしいです」と視聴者に呼びかけた。
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