岡田健史:つい“親目線”で見てしまう… 新井Pに聞く「中学聖日記」からの成長ぶり

ドラマ「MIU404」に出演する俳優の岡田健史さん(C)TBS
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ドラマ「MIU404」に出演する俳優の岡田健史さん(C)TBS

 綾野剛さんと星野源さんダブル主演の連続ドラマ「MIU404(ミュウ ヨンマルヨン)」(TBS系、金曜午後10時)で、第4機動捜査隊の隊員、九重世人を演じているのは俳優の岡田健史さんだ。第5話では、犯人逮捕につながる発見をした九重が「やったばい」と博多弁を話す場面が登場し話題を集めた。ドラマを手がける新井順子プロデューサーは、岡田さんのデビュー作である、2018年放送のドラマ「中学聖日記」(同局系)も手がけており、「(岡田さんの)親のような気持ち(笑い)」と話す。そんな新井さんに、「中学聖日記」当時からの岡田さんの成長ぶりや、撮影現場での岡田さんの様子を聞いた。

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 ◇オーディションを勝ち抜き、有村架純の相手役に

 岡田さんは、1999年5月12日生まれ、福岡県出身で、地元ではスカウトされ続けてきたという。「中学聖日記」は、片田舎の中学校を舞台に、女性教師の末永聖(有村架純さん)とその教え子の男子生徒・黒岩晶(岡田さん)との、9年にわたる純愛を描いた物語。岡田さんは、1年がかりのオーディションを勝ち抜いて、有村さんの相手という大役を射止めた。

 当時、新井さんは「純粋で、良い意味で洗練されていない、今どきの子にはなかなかない魅力があった」という理由で岡田さんをキャスティングしたと明かしていた。また、岡田さんの魅力に「真っすぐさ」を挙げ、「真っすぐで、すれていないんです。もちろん人間ですから喜怒哀楽が顔に出ることもあります。でも本当に真面目で。野球部出身ということもあるのでしょうが、こちらが話していても『はい』と返事をして、ちゃんと人の話を聞いているなという感じがする」と語っていた。

 岡田さんの演技については、「インした当初は、お芝居をやっていないからこそ出るリアクションがたくさんあった。監督も『そう来たか』みたいなことが結構あった」と驚かされることが多かったと明かしていた。

 聖への思いを貫き続ける晶の姿には、当時、多くの反響が上がった。とくに、「黒岩君の真っすぐな瞳が頭から離れません」「健史君の瞳のキレイさが半端ない」など、岡田さんの瞳に魅力を感じている視聴者が多かった。演技初挑戦となった岡田さんの、粗削りの“まっすぐな魅力”があったからこそ、聖へのいちずな思いを表現できたのではないだろうか。

 ◇「中学聖日記」以降、ドラマ主演続く 大河ドラマ初出演も決定

 2019年に行われたインタビューで、「『中学聖日記』では本当にたくさんのことを学ばせていただきました。すてきなキャスト、スタッフの皆さんのもと、黒岩晶という一人の少年の人生を生きられたことは自分にとって財産です」と話していた岡田さん。

 「中学聖日記」以降は、2019年放送のFBS福岡放送のスぺシャルドラマ「博多弁の女の子はかわいいと思いませんか?」で初主演。「AbemaTV(アベマティーヴィー)」(現・ABEMA)で配信された連続ドラマ「フォローされたら終わり」でも主演を務めたほか、10月期放送の「ドクターX~外科医・大門未知子~」第6シリーズ(テレビ朝日系)にゲスト出演した。

 2020年は、3月公開の映画「弥生、三月 -君を愛した30年-」(遊川和彦監督)で銀幕デビューを果たした。現在は、「MIU404」のほか、時代劇初挑戦となったNHK・BSプレミアムの主演ドラマ「大江戸もののけ物語」、フジテレビの動画配信サービス「FOD(エフオーディー)」の主演ドラマ「いとしのニーナ」と、3本のドラマが放送されており、その活躍ぶりがわかる。さらに、岡田さんにとって初の大河ドラマとなる「青天を衝(つ)け」(2021年放送)への出演も決定した。

 映画でも、「奥様は、取り扱い注意」(佐藤東弥監督)、「望み」(堤幸彦監督)、「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」(深川栄洋監督)、映画「新解釈・三國志」(福田雄一監督)と、公開予定の作品が続々と控えている。

 ◇「MIU404」九重の成長ぶりも話題に 起用の理由は?

 「MIU404」は、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」「アンナチュラル」(共にTBS系)などで知られる野木亜紀子さんが脚本を手がけるオリジナルドラマ。架空の設定の臨時部隊「第4機動捜査隊」を舞台に、事件解決を目指す1話完結の刑事ドラマだ。

 岡田さん演じる九重は、父親が警察庁刑事局長で、自身もキャリアの新米。今まで何事もうまくこなしてきたという自信から、どこか上から目線になりがちだが、意外に可愛いところもある……というキャラクターだ。

 ドラマの放送前に、岡田さんは「主役の綾野さん、星野さんをはじめとした錚々(そうそう)たるキャストの皆様のもとでお芝居ができること、大変うれしく思います。TBSの刑事ドラマといえば『MIU404』と言われる未来が見えるようで、心躍る気持ちで撮影に挑んでいます。その中のパーツの一部としてしっかり機能できるように全身全霊、九重を生き抜きたいと思っています」とコメントしていた。

 第5話では、橋本さん演じる陣馬との会話の中で、犯人逮捕につながる発見をした九重が、喜びのあまり思わず「……やったばい」とつぶやく……というシーンが登場。視聴者からは、「岡田健史の「『やったばい!』可愛すぎ」「いつもは冷静でクールな彼が熱くなってふと出た博多弁が可愛かった」などの声があがるなど、話題となった。

 また、九重の相棒である橋本じゅんさん演じる陣馬をはじめ、綾野さん演じる伊吹、星野さん演じる志摩、麻生久美子さん演じる桔梗(ききょう)といった4機捜のメンバーと接することで、さまざまなことを学び成長する姿も描かれている。SNSでは、「九重君が順調に機捜の天然癒やし要員として成長」「岡田健史くんの演技がほんと成長しててうれしい」「岡田健史くんの成長を見守るおばちゃん気分」という声もあがっている。

 そんな九重に岡田さんを起用した理由について、新井さんは「(中学聖日記、MIU404を手がけている)塚原(あゆ子)監督もよく言うんですけど、芸能界に入らないという選択もあった中で、(岡田さんを)晶に抜てきしたことでデビューすることになった。俳優として立派に成長してほしい……という思いもあるし、晶ではない、岡田健史とまた一緒にお仕事をしてみたいっていうのもある」と明かす。

 また、4機捜のメンバーとの「バランス」を考えたといい、「綾野さんも星野さんもどっちかっていうと“塩顔”。今ドキ流行の“塩顔”ではなくて、濃い方がいいな。そうなると岡田健史が必然的にあがってくる(笑い)」と明かす。

 ◇「不安な感じの顔つきだった」

 「中学聖日記」では、聖にアタックして、一方的に話す場面が多かったことから、“掛け合う”芝居がそれほどなかったという岡田さん。しかし、「MIU404」では、綾野さんらとの会話のセッションが数多く登場する。

 新井さんは、「タイミングやテンポが狂うと全部ダメになってしまう。そこは『中学聖日記』とはちがうし、みんながいる中で、どうやってキャラクターを残していくかというのは考えながらやらないといけないし、いろいろ難しいところあるよね、と(岡田さんと)始まる前に話していました」と振り返る。

 そんな撮影現場での岡田さんは「日々考えているという感じ」と様子を明かし、「ときには、『はぁ、失敗しましたー!』って言って帰っていくときもある。たぶん自分の中で『監督の要望に応えられなかった』って思っているときがある。でも、回を重ねるにつれて、良い表情やお芝居が生まれている」と話す。

 「中学聖日記」当時からの成長ぶりを聞いてみると、「1年もたてば業界のルールはわかってきて、『次はこういうことをしなければいけないんだ』というのはもちろんわかっていて。時間がたてば、みんなそうはなるんですけど、(岡田さんは)顔がしっかりしてきましたよね」と話した新井さん。

 「東京というところに住み始めて、方言も抜けず、『全然わからない』みたいな、不安な感じの顔つきだった『中学聖日記』。それが、だいぶ大人になったなぁ~という親のような気持ち(笑い)」と岡田さんの成長ぶりを明かす。

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 放送中のドラマ「MIU404」では、回を重ねるにつれて九重の成長ぶりを発見でき、視聴者からは「岡田健史の今まさに力をつけて成長している感じがいい」という意見もあがっている。

 そんな九重という役はまさに、役者としての岡田さんの今のキャリアに近い部分もあるのではないだろうか。綾野さん、星野さんら演技派な役者陣とセッションすることで、役者としての岡田さんのさらなる成長が見られて、視聴者は、新井さんと同じように“親目線”で岡田さんのことを見ている部分があるのではないか。

 今後、“親目線”がなくなって、先入観なしの見方ができるようになったときには、さらなる活躍をしているにちがいない。これからも岡田さんの進化と成長に注目していきたい。

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