「ヤンキー君とメガネちゃん」「山田くんと7人の魔女」などで知られる吉河美希さんのラブコメディーマンガ「カッコウの許嫁(いいなずけ)」(講談社)のコミックス第1巻が異例のヒットを記録している。「週刊少年マガジン」(同)で1月に連載がスタートした新作で、5月15日に発売されたコミックス第1巻が4週連続で重版された。講談社によると、新作の第1巻としては今世紀初の4週連続重版で、同社史上最速のペースで重版を重ねているという。同社の直近1カ月のコミックスでは受注数も1位で、異例づくしとなった。ヒットの裏側を探った。
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「カッコウの許嫁」は、赤ちゃんのころに取り違えられ、今は名門私立に通う高校2年の海野凪が、これから婚約者に会いにいくという超お嬢様女子高生・天野エリカと偶然出会い、恋人のフリをしてくれと強引に頼まれてしまう。実は、エリカは凪と取り違えられた子供で、凪はエリカの婚約者だった……という展開。コミックス第2巻が7月17日に発売される。
コミックス第1巻は、6月29日の5刷で累計発行部数が約10万部を記録。吉河さんの作品としては、ヒット作の「ヤンキー君とメガネちゃん」「山田くんと7人の魔女」を超えて最速の10万部到達となった。アニメ化、実写化などをきっかけに部数を伸ばす作品も多いが、連載が始まったばかりの作品としては異例のヒットを記録している。
同じく「週刊少年マガジン」に連載されたヒット作「五等分の花嫁」と比較すると、発売初日比で250%超の実売を記録。発売後1カ月の実績では、講談社のコミックスの中で1位を記録し、2位の「五等分の花嫁」の約4倍の売り上げとなった。
コミックスの購入者の男女比は85%が男性で、女性は15%。10~20代男性を中心に売れているが、少年誌のラブコメ作品としては、女性比率は高めという。講談社の販売担当は「(女性にも人気だった)『山田くんと7人の魔女』は、最終巻で男女比が8:2だったことからも、さらに女性比率が高まる可能性もあります」と話す。
販売担当は同作の魅力を「王道ながら新鮮なストーリー、みずみずしいキャラクターたちが魅力です。本誌連載で最新話掲載のたびに、SNSで共感の声多数でございます」と分析。
編集担当は「好きな子がいるのに許嫁ができてしまうという王道ラブコメをしっかりと描きながらも“取り違え子”を作品の中でうまく活用することによって、血のつながっていない妹との恋愛ルートや2家族が徐々に打ち解けていくという家族を題材とした部分も読者から好評をいただいています」と話す。
第1巻刊行からわずか1カ月で「次にくる」と思うマンガをユーザーからの投票で選ぶ「次にくるマンガ大賞2020」(主催:ダ・ヴィンチ、niconico)にもノミネートされ、販売担当は「“もう、きはじめている”本作ですが、まだまだ“くる”作品ですのでご注目ください」と期待を寄せる。
今後の展開も気になるところで、担当編集は「妹の幸が許嫁のエリカとの同棲宅に住みはじめ、ずっと片思いしていたひろとの初デートが決行されるなどまさに“取り違え子”から始まる人生交錯×四角関係ラブコメならではのドキドキとワクワクが止まらない展開が待っています!」と語る。
まだまだ“くる”「カッコウの許嫁」。今後のさらなる展開が注目される。
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