テセウスの船:犯人考察も大盛り上がり 家族の物語彩る音楽の力 菅野祐悟&Uruの魅力

ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」の第8話のワンシーン(C)TBS
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ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」の第8話のワンシーン(C)TBS

 竹内涼真さん演じる主人公・田村心が、タイムスリップした過去で無差別殺人事件の謎を追う姿を描く連続ドラマ「日曜劇場 テセウスの船」(TBS系、日曜午後9時)。回を重ねるごとに謎が謎を呼び、視聴者による犯人考察が盛り上がりを見せる中、視聴者からは「ドラマ面白いし、何よりサントラがいい!!」「主題歌めっちゃいいところで流れるからいつも泣いてしまう」など、音楽についての意見もあがっている。ドラマを手がけるプロデューサーの渡辺良介さんに、菅野祐悟さんによる劇伴、歌手のUruさんが歌う主題歌「あなたがいることで」について聞いた。

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 ◇ドラマを盛り上げる菅野祐悟の劇伴

 原作はマンガ誌「モーニング」(講談社)で連載された東元俊哉さんの同名マンガ。主人公の田村心(竹内さん)が31年前にタイムスリップし、父で警察官の佐野文吾(鈴木さん)が逮捕された「音臼小無差別殺人事件」の謎を追う……というストーリー。

 菅野さんによる音楽は、「『テセウスの船』オリジナル・サウンドトラック」として先日発売された。「俺の父親は、本当に殺人犯なのか?」「タイムスリップ」「試される家族の絆」など、全21曲収録されている。

 たとえば、低い音で「ジャーン……ッチャ」「ジャーン……ッチャ」と繰り返す楽曲「恐るべきワナ」。この楽曲が流れてくるだけで、この先に何かが起こりそうな不穏な空気を醸し出す。

 ドラマ「新参者」、「MOZU」(TBS系) や、アニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」「PSYCHO-PASS サイコパス」などで多岐にわたる活躍で知られる菅野さんについて、渡辺プロデューサーは、「キャリア抜群で、僕も好きなドラマの音楽がいっぱいある。(劇伴に)『菅野さんどうですか?』とご提案いただいたときに、ぜひお願いしたいと思って」と振り返る。

 その後、菅野さんにドラマの企画書と台本を渡し、制作に取りかかってもらった。「デモテープをいただいて、抜群にいいから、『お願いします』と。あんまり細かい発注はしていないです」と明かす。

 ◇時の流れ&雄大さを、音楽でフォロー

 「メインテーマがものすごい壮大で。最初、15分ぐらいのデモテープが届いたんです。15分のサントラってあります?(笑い)」と振り返った渡辺さん。「それこそ大河ドラマのメインテーマぐらいの壮大さがある曲をもらったんです。壮大すぎるんじゃないか、曲に負けるんじゃないかと思った」というが、映像とあわせて見ると、見事にハマった。

 「(心は)30年という時を行ったり来たりする。時の流れ、雄大さを、音楽でちゃんとフォローしてもらっているから、非常にありがたいです。やっぱり抜群にうまいですね」と感謝の思いを口にする。

 視聴者からも、「『テセウスの船』は菅野祐悟さんの曲も良い」「『テセウスの船』音楽良すぎると思ったら菅野祐悟さんだった」「映像の持つ力を音楽で何十倍、何百倍にも増幅してしまう手腕は、毎回本当にすごくて、感動する」という声があがるなど、狙い通りとなった形だ。

 ◇物語とリンクするUruの主題歌

 Uruさんの主題歌「あなたがいることで」は、ドラマのために書き下ろされた楽曲で、作詞・作曲をUruさんが担当。編曲を小林武史さんが担当している。過去と未来をつなぐ「今」というかけがえのない時間を描く、あたたかさの中に凛(りん)とした意思を感じるバラードだ。Uruさんは、2018年10月期に放送された同局の連続ドラマ「中学聖日記」の主題歌「プロローグ」でも知られている。

 Uruさんは、「お話をいただいた時、すぐに原作を読ませていただき、物語の展開の面白さに引き込まれ一気に読んでしまったのですが、それと同時に、この『テセウスの船』に似合う曲とはどんな曲なのだろうとすごく考えました」と明かしている。また、「誰かの家族や恋人、友人など、関係を問わず大切な人を幸せにしたい、守りたいという強い気持ちを代弁するような楽曲になってくれたらうれしいです」と話していた。

 竹内さんは、「初めて聴いた時に、今撮影している風景やシーンが目の前に浮かんでくるような感じがしました。そして出だしの歌詞が、心を演じる今の自分の気持ちにとてもリンクしました」とコメントしていた。

 上野樹里さん演じる由紀が、心に代わって事件の被害者に懸命に情報提供を訴える第4話のシーンをはじめ、各話の印象的な場面で流され、視聴者からは、「Uruさんの優しさあふれる声で泣いてしまう」「テセウスの船にリンクしてて泣いてしまう」といった声があがるなど、ドラマを盛り上げる大きな要素となっている。

 渡辺さんは、「初めてデモを聴いたとき、Uruさんの透明感にあふれたボーカルと歌詞に鳥肌が立ちました。ドラマのテーマにしっかりと向き合って書かれた歌詞は聴くほどにしみます」と振り返る。劇伴に主題歌と、魅力的な音楽の力で、さらに物語を楽しみたい。

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