織田裕二:自身が考える“出戻り頭取”像とは? 「本来持っている明るい部分が出るように」 頭取の先には…

WOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 頭取 野崎修平」に主演した織田裕二さん
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WOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 頭取 野崎修平」に主演した織田裕二さん

 俳優の織田裕二さん主演のドラマ「連続ドラマW 頭取 野崎修平」が、1月19日からWOWOWでスタートする。2018年に放送された「連続ドラマW 監査役 野崎修平」の続編となる今作。おおぞら銀行に頭取として戻ってきた野崎が、前作以上の“強敵”を相手に銀行の立て直しに奮闘する。野崎を2年ぶりに演じた織田さんに、役作りや共演者について聞いた。

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 ◇リアルとフィクション「いいさじ加減のドラマ」

 今回のオファーが来たとき、「頭取の地位にまで行った人が出戻りなんて……。どういうふうに戻って来るのだろう」と首を傾げたという織田さん。台本を読んだところ、「意外にも一言で済ませていた(笑い)。でもそれでいいのかなと納得しました」と話す。

 前作「監査役 野崎修平」で、紆余(うよ)曲折ののち、おおぞら銀行の頭取にまで上り詰めた野崎。しかしその直後、おおぞら銀行の国有化に伴い、頭取を辞任。銀行を去るところでドラマは終わった。今回はそれから3年がたち、その間、産業再生機構で多くの企業の再生に携わってきた野崎がその才覚を買われ、おおぞら銀行の頭取に返り咲くこととなる。

 原作は、周良貨さん作、能田茂さん画による同名の経済マンガ。周さんは元銀行マンだ。それだけに、「実際にあった出来事のエキスが残っていて、すごくリアルな部分がベースにある。その一方で、実話にとらわれ過ぎない自由さがあって、そこがいいさじ加減のドラマだと思っています」と織田さんは胸を張る。頭取への復帰を一言で済ませたことに納得できた理由も、その「自由さ」にある。

 ◇原点回帰した野崎

 原作がある場合、演じる上で困ったときは「原作に戻る」のが織田さんのスタイルだという。ところが今回は戻れなかった。なぜなら原作の「野崎の人間性が変わり過ぎていて、僕の中でつながらなかった」からだ。そのため、「あえてそこは脇に置いて、スムーズにつなげていこうという思いがどこかにあった」と明かす。

 前作の支店長時代の野崎は、正義感に強く人間味にあふれる銀行マンだった。ところが、「(監査役という)役職についたことでこれほど人は変わるんだ」というほど性格が変わり、笑顔は鳴りを潜め、「しかめ面ばかり」を見せていた。

 しかし今回は「3年間、産業再生機構で働いて、そこで得た自信を見せる必要がある。しかも今回は(部下を)引っ張る役なので、険しい顔ばかりしていてはいけない。野崎が本来持っている明るい部分、支店長時代に持っていたものが出るように意識しました」と語り、「ある意味原点に戻っています」と頭取・野崎像を説明する。

 ◇小澤征悦の食べっぷりに驚嘆

 前作に続き、松嶋菜々子さん、岸谷五朗さん、宇梶剛士さん、古谷一行さんらが出演。今回はそこに小澤征悦さん、風間俊介さんが加わった。2人とも織田さんとは初共演だ。

 小澤さんが演じる京極春樹は、前作で古谷さんが演じていた京極元頭取の息子。今作では、おおぞら銀行に役員として入り、野崎を追い出し頭取の座を狙う、いわば敵役だ。織田さんの言葉を借りれば「仕事だけをやってきた強力な父親がいて、その父親からの愛を十分に与えられなかった。そうすると息子はこういう曲がった育ち方をするという典型」というキャラクターだ。

 春樹を小澤さんが演じると聞いたとき、織田さんは「面白い」と思ったというが、春樹は「陰で暗躍する」ため、織田さんと絡む機会がほとんどなかった。そのことを、「一緒のシーンが少ないから彼の芝居を一部しか見られていないんです」と残念がる。ただ、春樹が元首相と会食するシーンの撮影を、たまたま目にする機会があった。「いい料亭の素晴らしい料理を、元首相の前だというのに(春樹は)パクパク食べながら話しているんです。その演技が抜群で、それを見ただけで素晴らしいと思いました。その場面のオンエアがすごく楽しみです」と心待ちにしている。

 ◇風間俊介は「理想的」な俳優

 かたや風間さんは、おおぞら銀行融資部に勤務する石原俊之役。当初、頭取として戻ってきた野崎を快く思っていなかったが、野崎から託された仕事を遂行する中で次第に野崎を信頼していくという役どころだ。

 風間さんに対して、「今放送中のドラマ(テレビ朝日系『やすらぎの刻~道』)では10代の役をやっていたので20代後半くらいかなと思っていたら36歳だと聞いてびっくりしました。でも、若く見えて、経験や知識、テクニックを持っているから理想的です。今回、彼が演じる役も30代の、ちょうど仕事を分かってきた頃で、頭取が目をかけるにはちょうどいい。今回の役にぴったりです」と太鼓判を押す。

 ◇「役の一つの路線が見つかった」

 撮影は、2019年10月下旬から12月上旬に行われた。この取材をした12月下旬には、第1話だけを見ることができ、その感想を「まだ冷静に見られていない」としながら、「この作品に出合えてよかった」と言い切る織田さん。銀行ものは、2014年に、やはりWOWOWで放送された「連続ドラマW 株価暴落」、前作「監査役 野崎修平」に続いて3本目だ。

 「『株価暴落』は真面目なキャラクターに真面目な内容というダブルで真面目でした。対して、今回の『野崎修平』はエンターテインメント。難しい話だからこそ軟らかく、見てくださる方々を楽しませるというベースの上で真面目なキャラクターを演じていて、『ああ、ここね』という、僕にとって、一つの役の路線が見つかった気がしています。この作品は、ちょっとマンガチックな、と言っては変ですけど、そういう表現が、ありえるというぎりぎりのレベルで差し込んでくる。演じていて楽しいです」とやりがいを感じた様子。

 となれば、今回の5話で「野崎修平」というキャラクターを終わりにしてはもったいない。織田さんは、「頭取まで行ったら、次は何でしょう。いくらでも問題は起きますけどね」と興味を示しつつ、「そういえば権野(元)監督は、『区議会議員 野崎修平』とむちゃなことを言っていたな」と思い出し笑い。そこでこちらから、「首相はどうですか?」と提案すると、驚きながらもまんざらでもない様子だった。

 ドラマは1月19日からWOWOWプライムで毎週日曜午後10時に放送。全5話で第1話は無料放送。

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