現在放送中のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「スカーレット」で、戸田恵梨香さん演じる主人公・喜美子の恋人となった陶工・十代田(そよだ)八郎を演じている松下洸平さん。12月14日に「あいこうか市民ホール」(滋賀県甲賀市)で行われた「スカーレットトークショー in 甲賀」終了後に、単独インタビューで話を聞いた。
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俳優デビューから10年間、主に舞台で活躍してきた松下さん。その中でも数々の演劇賞を受賞した「母と暮せば」(2018年)が、今に大きくつながったという。「俳優にとって『想像する力』が大切だということを、改めてあの作品で考えました。僕は長崎の原爆で亡くなった息子の役でしたが、幽霊の気持ちは誰にも分からないし、人間が焼かれるときの様子を5分間語るとか、ハードなシーンもあって。それを演じるには想像し続ければならないし、そのことが俳優にはどれだけ必要かを教えてもらった舞台でした。その経験は『スカーレット』でも、すごく生きてます」と熱く語った。
その「母と暮せば」は、喜美子の母マツ役の富田靖子さんとの二人芝居。そのため富田さんとの初共演では“僕のお母さん”のイメージが、なかなか抜けなくて大変だったという。「(マツと初共演する)川原家を初めて訪ねるシーンで現場に入ったら(『母と暮せば』と似た)着物で、結わえたような髪の形で『お母さんやん!』と思って。それで『はじめまして、十代田と申します』というせりふを言うのが、めっちゃ気持ち悪かったんです(笑い)。だから申し訳ないですが、しばらく富田さんとは距離を置いてました。今は楽しく、現場でもお話しさせてもらってます」と出演した舞台からの思わぬ影響があったことを明かした。
八郎のキャラクター作りは、実は本番直前まで試行錯誤した。特に引っかかったのが、公式の紹介文にある「謎めいたところのある青年」の一言だったという。「その“謎”をどこまで出すか、いろいろ考えたんです。でも台本を読んでいたら、抜けている部分があるなあと。思い込んだら突き進むから、はたから見ると『この人、何考えているか分からない』ってなるのかもしれない。謎な感じよりも、本人はいたって真面目というところを重要視しなきゃいけないな、とシフトチェンジしました。それをフカ先生(イッセー尾形さん)の絵を卵とお米に替えたというシーンで、『八郎、こういう感じで行きます』と(キャストとスタッフの)皆さんに見てもらって、それを受け入れられたのはうれしかったです」と、今の「十代田八郎」を確立できた喜びをかみしめた。
『スカーレット』には、喜美子をはじめ魅力的な女性キャラクターが数多くいるが、もし松下洸平自身として、誰かとお付き合いできるとしたら、誰を選ぶか? と聞いてみると、「うわー、ムズッ(難しい)……! (大阪・荒木荘の元女中の)大久保(のぶ子)さんのツンデレ感がたまらないですね。一回あの”ツンデレ”に振り回されて、キュンキュンしたいです(笑い)」と、意外な好みを明かした。
「スカーレット」は101作目の朝ドラで、焼き物の里・滋賀県信楽で、初の女性陶芸家となった川原喜美子の、波乱万丈の半生を描く。脚本を人気ドラマ「ホタルノヒカリ」シリーズなどで知られる水橋文美江さんが手がけ、語り(ナレーション)をNHKの中條誠子アナウンサーが担当。主題歌は、ボーカリスト越智志帆さんのソロユニット「Superfly」のオリジナルソング「フレア」。12月28日までレギュラー放送し、年明けは1月6日から再開する予定。NHK総合で月~土曜午前8時ほかで放送。
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