富野由悠季監督:「ガンダム Gのレコンギスタ」を子供向けに作った理由 「現在解決ができない問題」描いた

「ガンダム Gのレコンギスタ」の劇場版の第1部「行け!コア・ファイター」の日本国内最速試写会の様子(C)創通・サンライズ
1 / 9
「ガンダム Gのレコンギスタ」の劇場版の第1部「行け!コア・ファイター」の日本国内最速試写会の様子(C)創通・サンライズ

 アニメ「ガンダム Gのレコンギスタ」の劇場版の第1部「行け!コア・ファイター」(11月29日公開)の日本国内最速となる試写会が8月24日、「富野由悠季の世界」展が催されている福岡市美術館(福岡市中央区)で開催され、富野由悠季総監督が登場した。

あなたにオススメ

 富野総監督はこれまで「Gのレコンギスタ」について「子供に向けて作った」と発言してきた。今回の試写会では「自分の手だと昔からの富野流に染まってしまっていますので、“児童向け”という言葉を使いますが、そういうふうにしておきたかったというのがあります。今の『Gレコ』の中で描かれている問題というのは全部、現在解決ができない問題というものを画にしています。そういうことを考えてもらうためには、これからおそらく150年くらいかかるんじゃないかと思っています。なので、今子供たちにその問題意識を分からせておいて、解決策を考えてもらいたいと思い、子供たちに向けて分かりやすい物語にしておきたかったということで、こういう直しになっています」とコメント。

 「マンガとかアニメというものは画を使って“物語る”ことができる性能がものすごく高いものだと思っています。ヘイトスピーチを言うのは簡単で、固有名詞を使った瞬間に全部ヘイトスピーチになるんですよ。それを絶対にしないでそういうことを描くということができるのがアニメの持っている性能の高さ。今10歳になるかならないかの子供たちが引っ掛かるような物語を作っておくということがとても大事なことで、アニメだからそれができるのかもしれないということで挑戦しているという意味では、今までのモビルスーツものとは違うものになっているというふうには自負しています」と持論を展開した。

 また、来場者から「劇場版第1部を製作していて楽しかったところは?」と聞かれ「『Gレコ』は全体的に楽しかったんです。キャラクターをこういう設定にしたおかげで、キャラクターっていうのはこういうふうにあっけらかんとしているほうが、やはり楽しいなということがあったわけです。ですから、やはり深刻なものはあまり作りたくないなということを改めて感じました。また、その質問を受けていてふと思ったのは、今回の展覧会(『富野由悠季の世界』展)のことがありましたので、パッと思い出したのは『ザブングル』でした。やっぱり楽しかったですよね」と語った。

 「ガンダム Gのレコンギスタ」は、「ガンダム」シリーズの35周年記念作品の一つとして2014年10月~2015年3月に放送。地球のエネルギー源を宇宙よりもたらすキャピタル・タワーを守るキャピタル・ガードの候補生ベルリ・ゼナムの冒険を描いた。劇場版はテレビアニメ全26話に新たなカットを追加。全5部作として公開される。

写真を見る全 9 枚

アニメ 最新記事