ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
2009年に第1作公開のアニメ「センコロール」。約10年ぶりの新作「センコロール2」を合わせて「センコロール コネクト」として新宿バルト9(東京都新宿区)ほかで公開中だ。新作の制作も発表された。「デジモンアドベンチャー tri.」のキャラクターデザインなどの宇木敦哉さんがほぼ一人で作り上げて伝説になったアニメ。その主人公の一人で謎の生き物・センコを操るテツを演じたのが、人気声優の下野紘(ひろ)さんだ。「センコロール」を「特別な作品の一つ」と話す下野さんに、作品への思いを聞いた。
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――「センコロール2」の制作が決まった際に感じたことは?
話を聞いたのは随分前ですが、それまでも「続きがあったらいいよね」という話をしていたんです。なので「やっと『2』ができるのか」と。「楽しみだね」という話をした記憶がありますね。個人的にも「センコロール」の世界観がすごく好きだったのもありますし、あとテツのようなあまり感情の起伏を表に出さないキャラクターを演じる機会が、それまでほとんどなかったんです。
――下野さんのキャリアの中でも、珍しいタイプのキャラクターだった?
どちらかというと、僕は前にガンガン出ていって暴れるタイプだったり、あるいはちょっとオドオドしている、そういうキャラクターが多かったんです。ただテツはずっと不機嫌な表情を崩さないキャラクターで、どうやればうまくこの感じを出せるのかな?と。アフレコの時には「もっと抑えて、表情を出さないように」みたいなディレクションを受けた記憶もありますし、気持ちを作っていけば作っていくほど、どんどん目つきが悪くなる(笑い)。そういう意味でも、自分の中で「こういうふうに演じることもできるんだな」と広がりみたいなものを持てたキャラクターだったのかなと思います。
――第1作からしばらく間が空いて、「2」の収録だったと聞いています。すぐに勘は取り戻せたんでしょうか?
勘を取り戻すというか、どんなキャラクターだったのか思い出すために、とりあえず一度、目つきを悪くしてみたり(笑い)。それこそ、演じながらだんだんと「そうだ、テツはこんなところにアドリブがついたりしないキャラだったな」とか、思い出していった感じでしたね。とはいえ、そんなに何十年も間が空いたわけではないので、比較的すぐに感覚は戻ってきたと思います。
――「センコロール コネクト」を見ると、テツは感情の起伏がないようで、実は自分の欲望にすごく正直だったりする。テツのセンコに対するこだわりを、強く感じました。
そうですね。1作目と比べると「2」の方が、テツの感情は豊かだなという印象を受けました。ユキに奪われたセンコのコントロールをなんとかして奪い返したい。その時には妙に切迫した表情を見せたり……。あと、カナメと初めて接触するシーンでも、テツ自身は何か特別な感情を抱いているわけじゃないんでしょうけど、ユキに見られて気まずそうな感じがあったり(笑い)。そういう意味では「2」のテツには、人間味があったかなと。それで言えば、どことなくシュウにも、少し子供っぽくなったような印象がありましたね。
――テツ、センコの変身能力を狙うシュウは自分のほしいものが明確で、それ以外のものが目に入らないようなところがあります。
そう考えると、ユキだけがちょっと大人になったような感じもあって(笑い)。まあ、「男子三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」ってことわざもあるくらいなので、思春期ってそういうもんかな、という気もしますけど。
――改めて「センコロール コネクト」を見て印象的だったシーンは?
うーん……。クリーチャーって呼び方はあんまりふさわしくないような気がして、「謎の生き物」って言ってしまうんですけど、とにかく彼らがモノを食べるところですね。1作目でも、センコがネジを食べる場面があったんですけど、まさか同族同士で、相手を殺して、食べたりするんだ……。
――「2」の冒頭のシーンですね。
ちょっと衝撃を受けました(笑い)。しかも彼らにはいろんな機能があって、空を飛ぶヤツもいれば透けるヤツもいて、レーザーを出すヤツもいれば、変身機能があるヤツもいる。そもそも、生き物なのか機械なのかもよく分からないんですけど(笑い)、でもそれが恐ろしいかといったら、決してそうではなくて。どこかちょっとコミカルにも見える。あと個人的には、「2」は1作目に比べても世界観自体がそれまでよりも広がった印象があるんです。1作目の時は一つの町で起きた出来事という感じだったのが、更に大きな広がりを持ち始めている。独特のテンポ感で繰り広げられる戦闘シーンもすごく面白いし、ぜひそのあたりに注目してもらえるといいですね。
――下野さんのキャリアにおいて「センコロール」はどんな作品になりましたか?
やっぱり、特別な作品の一つだなと思います。独特な世界観で魅力を持っている作品だし、声の出演とはいえ、その一員になれたというのは特別なことだったな、と。最初に少し話しましたけど、個人的には、テツをやるまでは落ち着いた抑えめの演技だったり、気だるげなお芝居をやったことがなかったんです。それゆえに大変な部分もあったんですけど、でも「自分にもそういうことができるんだな」と思わせてくれたのが「センコロール」で、そういう意味で、自分の中では結構大きな作品になっています。今だからこそ、改めてそう思いますね。
――3作目の制作も発表されました。
監督によれば、次は「テツとユキとセンコの関係を描く完結編」になるという話なんですけど……。個人的には、きっと終わらないんじゃないかな、って思ってます(笑い)。終わらないというか、テツとユキたちの話は完結するにしても、これだけ独特の世界観の作品はなかなかほかにはないし、もっと続けてほしいんですね。個人的には完結と言わず、また何か違う形で続きを作れるといいなって期待しています(笑い)。
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