水曜日のダウンタウン
「子供がまだ食ってる途中でしょうが」リアルに言わせることも可能説ほか…みんなの説SP
10月30日(水)放送分
ダウンタウンの浜田雅功さんがMCを務めるバラエティー番組「プレバト!!」(MBS・TBS系、毎週木曜午後7時)の「3時間スペシャル」が16日午後7時から放送される。楽器、マジック、油絵など芸能人がそれぞれの特技を1カ月間特訓して才能を査定するスピンオフ企画「ザ・1カ月」を放送。その中の「クラシック演奏の才能査定ランキング」で、落語家の立川志らくさんがハーモニカに挑戦する。「俳句査定」では特待生3級の志らくさんだが、ハーモニカとの意外な出会いと実力とは……。さらに、俳句での卓越した言葉のセンスの原点など聞いた。
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――音楽好きと聞いていますが、ハーモニカとの出会いは?
10年ほど前に、私が主催している劇団「下町ダニーローズ」にミッキー・カーチスさんが出演してくださって、劇中でブルースハープというハーモニカを披露してくれたのがきっかけです。ハーモニカってこんなにもカッコいいのかと感激していたら、ミッキーさんが使っていたハーモニカをプレゼントしてくれたんです。でも、ブルースハープは普通のハーモニカとは違って穴が10個しかないし、自分の口の中で音を作らなければいけない。ものすごく高度なテクニックが必要なんです。全然音が出なくて、ミッキーさんに相談したら「3000円で教えてあげるよ」って。3000円払って教えてもらいましたよ(笑い)。そうしたら音が出せるようになって、今では落語会や舞台でお客さんの前でも披露しています。お遊びの延長なんですけどね。
――1カ月の特訓の成果のほどは?
普段から吹いているから楽勝だと思っていたのですが、しんどかった(笑い)。クラシックは初めてでしたし、ジャズの楽器だから自分のリズムでやるものなので、人と合わせて演奏することなんてありませんから。オーケストラといっても3、4人くらいの楽団かと思ったら、まさかの東京フィルハーモニー。しかも指揮者は世界的に有名な三ツ橋敬子さん。ハードルが高すぎて、プチパニックを起こしました(笑い)。練習ではボロボロでしたけど、でも私は本番には強いんです。まあ見ていてくださいよ。
――今回のスピンオフ企画だけでなく、いつもの俳句査定も本当に大変そうですね。
そうなんですよ! ネットで「どうせマネジャーに俳句を考えてもらってるんだろ」とか言われると、ものすごく腹が立ちますね。誰も助けてくれませんから。そんなことを言うヤツのところに乗り込んで、この苦しみを教えてやりたくなります(笑い)。仕事の合間も何かいい言葉はないかと歳時記を見ていますし、夜中にパッと起きて思いつくことも。いつも締め切りまでずっと考えています。実は俳句はアマチュアでやっていて、10年くらい前から映画監督協会の仲間と月1回句会を開いているんです。でも、プロがいないから誰も教えたり、直したりできない会なんですけどね(笑い)。だから「プレバト!!」に出るようになって、夏井先生のアドバイスを聞いて、初めて俳句ってこういう作り方なんだと知りました。もともと好きだったのですが、のめり込んでいます。
――志らくさんの俳句は「ガンジーのような足」など発想が独創的です。
最初に出た時は「南無の空光に見えしチューリップ」(2017年4月13日放送回)で“凡人”でした。自分としてはきれいな句を詠んだつもりだったんですけどね。でも、ある人から「自分がいいと思っていてもしょうがない。夏井先生にいいと思わせる句を詠まないと」と指摘され、先生の句集を買って読んでみたら、かなりぶっ飛んでいたんです。じゃあ私ももっとぶっ飛んだ句を詠もうって。それが特待生に昇格した「ガンジーのような足が出る砂日傘」(18年7月19日放送回)あたりですね。それまでギリギリで才能アリに入ることもありましたが、変わったのはそこから。だから先生のせいです(笑い)。“夏井チルドレン”って言っていいくらい影響を受けています。
――これまでの句で会心の出来だったのは?
「婆やは蜜柑食べ続ける妖怪」(18年12月20日放送回)、「桜隠しキリストめける干したシャツ」(19年4月11日放送回)の二つですかね。「婆や~」はミカンを食べているおばあさんを思いついたのですが、五七五で詠むとなんか陳腐になってしまって。それで破調にしてみたら、これが一番いいんじゃないかなって。よく夏井先生が「破調は素人が手を出すと絶対に失敗する」とおっしゃっていたのでチャレンジでしたが、「破調が成功している」とお褒めの言葉をいただけました。「桜隠し~」は桜と西洋のキリストを思い切って合わせてみたのですが、うまくいきましたね。放送の翌日に季節外れの雪が降って、本当に桜隠しになったのもびっくりしました。
――大活躍の志らくさんを名人の梅沢富美男さんも警戒しています。
梅沢さんはコメンテーターとしての先輩でもあるんです。梅沢さんが“元祖炎上”ですから(笑い)。「プレバト!!」でも、やっぱり普通の人の発想じゃないところからワードが飛んでくる。特待生・名人の中でも梅沢さんの俳句が一番好きです。でも、たまに本人は自信満々なのに、ものすごく陳腐な句を詠まれることも(笑い)。それが人間らしくて面白いんですけどね。いつもやたらと「ミスタープレバト」「俺が出れば数字が上がる」とか言っているけど、そろそろ誰かが引導を渡さないといけない。この間の高校生との対決の時に「誰かが梅沢さんに代わるとしたら、それは私でしょう」と言ってやりました(笑い)。尊敬する大先輩ですが、番組では対決の図式でいるつもりです。早く名人になって、梅沢さんや東国原英夫さんと同じ立場で戦いたい。今も同じ土俵なんだけど、胸を借りるのではなく、同じポジションでがっぷり四つで戦える位置まで早く上がりたいです。
――そして鈴木光さんという“天敵”も現れました。
とっても邪魔されていますね(笑い)。彼女に言わせるとクイズ番組「東大王」で私にギャフンと言わされているから、俳句でやり返してるみたいですけど。やっぱり東大生は頭の仕組みが違う。論理立っているし、彼女にはセンスもある。でも、こっちは論理ができないから全部が感覚です。だから負けるとすごく悔しい。最後は自分の感覚やセンスが絶対に上回るはずだと確信しているけど、現時点では論理に負けてますね。正月SPでは彼女の明るい句に敗れてしまいましたが、それに対抗して自分もきれいな句を詠んでみたりと影響を受けています。それが「走馬灯に駆け込む書初めの午」(19年1月10日放送回)につながっているんです。走馬灯の中にウマが飛び込んだらきれいだろうなって。でも“走馬灯”が夏の季語だったから“現状維持”になっちゃいましたけど(笑い)。
――志らくさんにとって俳句の魅力とは何ですか?
俳句は言葉のセンスがものすごく問われるんです。17音という短い中に、誰もがいいと感じるドラマを描けるか。正解はないけど、自分がこれだと思う一番効果的なワードを選ぶんです。言葉のチョイスが大事ということでは、俳句も落語もコメンテーターでも同じです。落語ではきれいに語るところに重きを置かず、いかに観客の頭に映像を浮かべさせられるか。コメントも世間とのバランスを考えず、自分はこう思うんだとスタンスをはっきりさせて、強烈な言葉を選んでぶつけています。俳句も同じで、常に言葉選びです。芸人はセンスが命なので、プライドをかけています。だから俳句で“現状維持”や“降格”査定になると、ものすごく傷つく。全国の皆さんにセンスがないところを見られてしまうわけですから。
でも、「和紙ちぎり絵」とかの査定で“才能ナシ”になっても、私に出演を依頼する方が悪いって開き直っています(笑い)。落語会の打ち上げとかで、酷評された絵の写真を周りに見せると「こりゃあ、ひでえ!」ってゲラゲラ笑われますけど、まったく傷つかない。でも、俳句は違う。“現状維持”や“降格”したら、悔しいから放送は見ません。それでもつらくはないんです。好きでやっていることですから。夏井先生に教えていただいて1ステップ上がれましたし、世の中にアンテナを張っているセンスのいい芸能人と戦えるのはとても楽しい。だからプレバトの収録の日は、小学生が遊園地に行くみたいにワクワクするんです。
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