アニソン年間ランキング:「アイマス」作品が5作ランクイン 「けもフレ」はトップ10入りならず

タワーレコード新宿店2017年アニソンランキングで1位になった「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 01 Brand New Theater!」のジャケット
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タワーレコード新宿店2017年アニソンランキングで1位になった「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 01 Brand New Theater!」のジャケット

 アニソンが充実していることで知られるタワーレコード新宿店。このほど2017年のアニソン年間ランキング(16年12月8日~17年12月17日集計)が発表され、スマートフォン向けゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ(ミリシタ)」のテーマソングCD「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 01 Brand New Theater!」が1位となりました。担当バイヤー・樋口翔さんに、本チャートを基に今年のアニソンシーンを振り返ってもらいました。

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 ◇「アイマス」人気の理由は“拡散力”と飽きさせない楽曲

 昨年に引き続き人気の「アイドルマスター(アイマス)」シリーズや、男性アイドルを題材とした「あんさんぶるスターズ!(あんスタ)」など、ソーシャルゲームやスマートフォン向けゲーム発の二次元アイドルのキャラクターソングが人気を集めた1年になりました。

 その中で、当店年間1位を獲得した「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 01 Brand New Theater!」は、「アイドルマスター ミリオンライブ!」から派生したリズムゲーム「ミリシタ」と連動したシリーズ作「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION」の第1弾。今年は、「ミリシタ」の前身であるGREE版のソーシャルゲーム「ミリオンライブ!」のサービス終了が発表され、新たなコンテンツとして「ミリシタ」が始動するという、同シリーズにとって節目となる年でした。そうした背景も含めると、ドラマチックな1位となりました。

 年間ランキングのトップ10の中には「アイマス」シリーズが5作ランクインしており、圧倒的な人気がうかがえる結果となっています。その人気の理由の一つは、スマホ向けゲームゆえの“拡散力”。これまでアニソン関連の楽曲は、テレビアニメがスタートして楽曲が知られ、CDを購入するという流れでしたが、スマホ向けゲームの場合は、ゲーム内で楽曲が発表されるため、地域差などもなく早く認知されます。「アイマス」ではユーザーは「プロデューサー」と呼ばれており、一人一人のプロデューサーが広告塔となって、コンテンツの認知度を広げています。1年を通してファン活動を行っているので、3カ月で終わってしまうテレビアニメと比べると、継続力もあります。

 「アイマス」シリーズ自体は10年を超えたコンテンツですが、それでも飽きさせない楽曲作りをしていることも人気の理由です。年月を重ねるにつれ、ゲームのキャラクターや運営のノウハウ、楽曲が、聴き手であるファンと共に“成長”しています。例えば、当初は「可愛いキャラは可愛らしい曲」というようにイメージに合った楽曲がリリースされていたのが、年月を重ねるにつれ、「このキャラがこんな曲を歌えるようになったんだ」と思わせるような意外性のある楽曲がリリースされたり、新たなアイドルユニットによる楽曲が生まれたりと、ファンの期待を超えていく展開が魅力となっています。

 また、「アイドルマスター シンデレラガールズ劇場」のテレビアニメがスタートしたり、Jポップの第一線で活躍しているようなコンポーザーが新たに楽曲提供をしたりと、新規ファンを獲得する話題性にも事欠かないコンテンツとなっています。

 ◇1クールのテレビアニメ主題歌は「けもフレ」がトップに

 2017年のアニソンを語る上では、年間ランキングにはランクインしなかったものの、話題となったテレビアニメ「けものフレンズ(けもフレ)」の主題歌シングル「ようこそジャパリパークへ」のヒットは見逃せません。当店のランキングでも、CD発売から2カ月以上もトップ10内にとどまり続け、今年最大ともいえるロングランヒットに。1クールのテレビアニメの主題歌では、今年トップの売り上げとなりました。

 たつき監督が作る「けものフレンズ」の一言では言い表せないような奥行きのある世界観と、大石昌良さんが作るどの年代に届くポップな主題歌は、奇跡的なつながりでもあったと思います。「けもフレ」はキャラクターソングアルバムやサントラ盤も高い売り上げを記録しています。作品が良い意味で“とがっていた”がゆえにターゲットが限定され、年間ランキングではトップ10入りはしませんでしたが、原作がない1クールのオリジナルアニメで、ここまでの認知度を誇る作品はなかなかありません。

 ◇今年は劇伴ブームも 非日常の“カンフル剤”的な魅力

 日常的にログインするスマホゲーム系の楽曲が多くランクインする中、2位は人気ゲーム「NieR:Automata(ニーア オートマタ)」のサントラ盤、5位はゲームサントラ「『ペルソナ5』オリジナル・サウンドトラック」と、家庭用ゲーム機でプレーするタイトルのサントラが入りました。また、ランクイン外ではありますが、テレビアニメでは「メイドインアビス」「プリンセス・プリンシパル」のサントラ盤も人気でした。

 「メイドインアビス」をはじめ、サントラ盤が売れている作品は壮大な世界観をベースにしています。「アイマス」などのスマホゲームが毎日ログインして得られる親近感を提供するものであるのに対し、「メイドインアビス」や「NieR:Automata」は非日常の刺激を与えてくれる“カンフル剤”のような魅力があり、それが楽曲にも表れています。

 今年の傾向としても、アニメやゲームの世界観と強いシンクロを感じさせるサントラ盤は、高い売り上げを記録しました。ここ数年は、劇伴が飾りにとどまらず、そのクオリティーの高さが作品人気にもつながっています。18年も、アニメやゲームのサントラが話題となる流れは続いていくと思います。
 
 ◇タワーレコード新宿店 17年アニソンランキング(敬称略) 

1位 「THE IDOLM@STER MILLION THE@TER GENERATION 01 Brand New Theater!」 765 MILLION ALLSTARS シングル

2位 「NieR:Automata Original Soundtrack」 GAME MUSIC アルバム

3位 「THE IDOLM@STER MASTER PRIMAL DANCIN’ BLUE」 高槻やよい(CV:仁後真耶子)/菊地真(CV:平田宏美)/双海亜美&真美(CV:下田麻美)/我那覇響(CV:沼倉愛美) シングル

4位 「あんさんぶるスターズ! ユニットソングCD 3rd vol.02 Knights」 Knights シングル

5位 「『ペルソナ5』オリジナル・サウンドトラック」 GAME MUSIC アルバム

6位 「God’s S.T.A.R.」 QUARTET NIGHT シングル

7位 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LITTLE STARS! キラッ!満開スマイル」 島村卯月(CV:大橋彩香)/小日向美穂(CV:津田美波)/佐久間まゆ(CV:牧野由依)/櫻井桃華(CV:照井春佳)/双葉杏(CV:五十嵐裕美) シングル

8位 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS LITTLE STARS! エチュードは1曲だけ」 渋谷凛(CV:福原綾香)/上条春菜(CV:長島光那)/神谷奈緒(CV:松井恵理子)/神崎蘭子(CV:内田真礼)/三船美優(CV:原田彩楓)/相葉夕美(CV:木村珠莉) シングル

9位 「Inkoming!」 Wet Floor シングル

10位 「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 01」 春日未来(CV:山崎はるか)/白石紬(CV:南早紀)/周防桃子(CV:渡部恵子)/豊川風花(CV:末柄里恵)/七尾百合子(CV:伊藤美来) アルバム

※左から順に、タイトル、アーティスト。ランキングはシングル、アルバムをまとめて集計。

 ◇プロフィル

 樋口翔 タワーレコード新宿店7階(邦楽・販売促進)アニメ担当バイヤー。2014年に町田店から異動。アニメにハマったきっかけは「新世紀エヴァンゲリオン」「BLUE SEED」「VS騎士ラムネ&40炎」など1990年代の作品で、アニソンの中でもキャラソン、とりわけアイドルアニメ関連の楽曲を愛聴。マイアンセムは「アイドルマスターミリオンライブ!」より「Up!10sion Pleeeeeeeeease!」。お気に入りのアニメ・ゲーム作品は「プリティーリズム」「アイドルマスター」「フォトカノ」「サクラ大戦」など。

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