ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
12月末に開かれる「コミックマーケット(コミケ)93」に叶姉妹のサークル参加が決まった。芸能人のコミケ参加が増える一方で、“炎上”してしまう案件も一部でみられるようになった。違いはどこにあるのか。毎年コミケに参加している“オタレント”の小新井涼さんが、ファンの目線から分析する。
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真夏のビッグサイトに“ファビュラス旋風”を巻き起こした叶姉妹が、来月開催の冬のコミックマーケット(コミケ)に、再びサークル参加することが確定しました。彼女たちに限らず、小林幸子さんや西川貴教さんなど、最近のコミケでは“芸能人のサークル参加”が増え、何かと注目を集めています。しかも彼らのサークルは、話題性のみならず、他のコミケ参加者にも好評で、同人誌などのいわゆる頒布物まで完売してしまうほど大人気なのです。
一般のイベントやライブならまだしも、エンタメそのものより創作物がメインのコミケに芸能人が参加するのは、ある意味畑違いともとられかねません。実際に会場では、同人誌やグッズの頒布を行うだけでなく、握手や写真撮影に対応するといった“芸能人らしい”振る舞いなんかも見受けられます。
それにもかかわらず、彼らのサークル参加が他のコミケ参加者からも歓迎され、その頒布物まで人気なのは一体何故なのでしょうか。「彼らが有名だから」というのは大前提として、他にも何か、「コミケならではの理由」がありそうです。
例えば、彼らのサークルが、芸能人のサークルであると同時に、「超大手サークル」であることがそうではないでしょうか。「大手サークル」とは、簡単に言うと、知名度や人気が高く、当日の大量頒布や混雑が予想されるような有名サークルのことです。つまり芸能人のサークルは、「知名度や人気、当日の大量頒布や混雑の予感」という点だけみれば、たとえ初参加であったとしても、いきなり超大手のサークルになれてしまうのです。
するとどうなるかというと、そのサークルでの頒布物には、芸能人の創作物という元々の価値に加えて、「超大手サークルの創作物」という付加価値がつきます。コミケ参加者の多くは、そこで頒布される創作物に興味がある方々です。であればこそ、みんなが欲しがる「超大手サークルの創作物」と言われるとプレミア感もありますし、ファンでなくともその中身が気になり、思わず欲しくなってしまうのがサガというものではないでしょうか。
単にコミケに参加している芸能人が珍しいだけならば、ただサークルを見学すればよいだけのはずです。それにもかかわらず、人々がその頒布物まで手にとってしまうのは、そうした「超大手サークルの創作物」への興味が、少なからず関係しているのだと思います。
とはいえ、初参加から「超大手」になれる芸能人なら、誰でも歓迎され、サークルは必ず大盛況かというと、そうとも限らないと私は思っています。
いくら元々の人気や知名度があったとしても、その芸能人のサークルが頒布のルールや参加マナーを破るようであったならば、歓迎どころか、大バッシングを受けることも十分に考えられるからです。それは「売り手」や「買い手」ではなく、そこにいる人全員が「参加者」、いわば祭りの当事者として扱われるコミケならではの不文律とも言えるでしょう。参加者全員が作り上げるコミケという空間が、一部の人達の違反やトラブルによって台なしになってしまうことを防ぐための一種の自己防衛でもあるのです。
これまでサークル参加してきた芸能人は、そうしたコミケの不文律をくんでルールとマナーを守り、冷やかしなどではなく、一緒に祭りを楽しむために参加していることが伝わったからこそ、他の参加者に歓迎されたのでしょう。
初参加から超大手サークルとして注目され、なおかつコミケの趣旨を理解し一緒に祭りを楽しんでくれたことが、芸能人のサークル参加が歓迎され、その頒布物まで人気を集めた理由だと私は思います。そうしてプロでもアマでも、サークル参加でも一般参加でも、誰もが同じようにひとりの参加者として、自由な創作と交流を楽しめるのがコミケの面白いところなのです。
そう考えると、普段はテレビの向こう側にいる人達が、自分たちと同じ一参加者として祭りを楽しめる芸能人のサークル参加は、畑違いどころか、実はある意味一番コミケらしい、コミケならではの光景なのかもしれません。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。明治大学大学院情報コミュニケーション研究科で、修士論文「ネットワークとしての〈アニメ〉」で修士学位を取得。ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)の全アニメを視聴して、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続中。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、現在は北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程に在籍し、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。
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