和楽器バンド:野望は“世界制覇”? 東京五輪やグラミー賞を目標に活動する8人組ロックバンドの横顔

2月に開催された「大新年会2017」の「桜ノ宴」の模様が3月19日にWOWOWで放送される「和楽器バンド」の(前列左から)山葵さん(ドラム)、鈴華ゆう子さん(ボーカル)、町屋さん(ギター)、(後列左から)いぶくろ聖志さん(箏)、亜沙さん(ベース)、神永大輔さん(尺八)、蜷川べにさん(津軽三味線)、黒流さん(和太鼓)
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2月に開催された「大新年会2017」の「桜ノ宴」の模様が3月19日にWOWOWで放送される「和楽器バンド」の(前列左から)山葵さん(ドラム)、鈴華ゆう子さん(ボーカル)、町屋さん(ギター)、(後列左から)いぶくろ聖志さん(箏)、亜沙さん(ベース)、神永大輔さん(尺八)、蜷川べにさん(津軽三味線)、黒流さん(和太鼓)

 和楽器と洋楽器を融合させた8人組ロックバンド「和楽器バンド」が、2月17、18の2日間にわたって東京体育館(東京都渋谷区)で「和楽器バンド 大新年会2017」と銘打ったライブを開催した。17日は「雪ノ宴」、18日は「桜ノ宴」と、2日間異なる演目を披露したが、そのうち18日の「桜ノ宴」公演の模様を、3月19日にWOWOWライブで放送する。番組は、ライブステージはもちろん、当日の舞台裏やインタビューを交えた内容となるが、放送に先駆けてメンバー8人にインタビューした。

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 ◇桜の木の映像が意味すること

 ――4回目の「大新年会」は東京体育館で2日間にわたって行われました。公演を終えて今の心境は?

 鈴華ゆう子さん(ボーカル):これまでの3年間、和楽器バンドとして活動をしてきて、全国のライブハウスでツアーを行ったり、海外でもたくさん経験を重ねてきた中で、今の私たちは何ができるかという“集大成”を披露できたと思います。

 ――集大成のライブを作るという意味で、どんなことを心がけましたか。

 蜷川べにさん(津軽三味線):一番のコンセプトとしては、エンターテインメントして見せたいっていうところですね。ショーを見るようなライブにしたかったんです。

 黒流さん(和太鼓):だから和楽器の演奏を劇場として見る場所と、ロックバンドのコンサートとして盛り上がる部分を明確に分けるようにしたんです。ライブの中盤では、洋楽器、和楽器それぞれの楽器の自己紹介をするような感じで、「こんな良さがあります」ということを伝えるような構成にしました。まだまだ僕らのことをよく知らない人も多いと思うので、よりシンプルに、分かりやすくというのは意識して作りましたね。

 ――1日目の「雪ノ宴」と2日目の「桜ノ宴」では、内容もガラリと変えていますが、放送される「桜ノ宴」の演出の見どころといえば?

 鈴華さん:「千本桜」で桜が降るところはポイントですね。

 黒流さん:曲目も「なでしこ桜」から始まって、「千本桜」で終わるんです。オープニングの映像では桜の木の映像が流れるんですけど、これには裏テーマがあるんですよ。僕らの楽器はそれぞれ木を使ってるんですね。尺八だったら竹とか。だから、それぞれの楽器の元になる木が映し出されてて、それが1本の大きな木になったとき、満開の桜の花が咲くっていう。それは僕らが個人の集合体だということを表してるんです。

 ◇和太鼓や剣舞も…メンバーの意志を集大成したパフォーマンス

 ――それぞれ、ここを見てほしい!という部分を教えてください。

 神永大輔さん(尺八):今回、「遠野物語・四四」という演目で、和楽器バンドで初めて虚無僧(こむそう)の籠(かご)をかぶりました。天蓋(てんがい)というんですけど。そのシーンでは尺八本来の虚無僧的なアプローチの吹き方を意識してますね。それ以外では、結構走りながら吹いてるんですけれど、尺八ってちょっと角度が変わると、音階(音程)が変わってしまうんです。だから、跳んでも走っても角度を死守してるのを見てもらえると楽しいと思います(笑い)。

 町屋さん(ギター):「起死回生」。ダンサーチーム、剣部隊、よさこいチームによる圧巻のパフォーマンスに注目してください。

 山葵さん(ドラム):毎回、和太鼓とのドラムバトルをやってるんですけれど、今回は今までやってきたものをブラッシュアップしてるんです。僕は洋物のシンバルでチャッパのリズムを刻んだりしたんですけど、おそらく世界で初めてじゃないかな、アレをあんなに細かくチンチキやるっていうのは。かなり試行錯誤しながら練習しましたね。

 亜沙さん(ベース):このバンドはベースがあんまり目立たないで、カメラでもあんまり抜かれないんですよ(笑い)。俺が映ったときは、「あ! 亜沙さん、映った!」と思ってください。首がもげるほどのヘドバンをしてるので。あと、ベースが光ってるので、「この人はちょっとでも目立とうとしてるんだな」っていうのを感じていただければと思います(笑い)。

 蜷川さん:今回はああいう大きなステージだったので、どうやったらカッコよくパフォーマンスを見せられるんだろうっていうところは意識しました。フロントの4人はかなり走ってるので、結構つらかったです(笑い)。黒流さんの掛け声も含めて、みんなカロリーの高いパフォーマンスをしてるので、そういったところも見どころだと思います。

 鈴華さん:個人的には、幼いころからやっていた剣舞の日本壮心流の人たちが一緒に踊ってくれたことがうれしかったですね。宗家が直々に振り付けを入れてくださって、お稽古(けいこ)もしたんです。早着替えにも挑戦して、衣装がちょっとだけ違ってたりするので、そういう細かいところは何回も繰り返して見ながら、発見していただけるとうれしいです。

 いぶくろ聖志さん(箏=こと):箏のソロでは映像の2人と合奏するっていうのをやってみました。「胡蝶の夢」っていう中国の故事からタイトルを借りまして。昔から伝わってる箏と、40年ぐらい前に作られた弦の多い箏の両方を使って、それぞれ独立した旋律を弾きながら、中間部で同じハーモニーを奏でる構成なんです。別々のフィールドで生きてきた僕らが集まって、新しい世界が生まれるっていうことを表現してみました。

 黒流さん:普通の和太鼓のコンサートでもないぐらい特大の大太鼓を使わせてもらいました。その生音はぜひ感じていただきたいですね。本来、和太鼓と剣舞の歴史は全然違うんですけど、それが現代の日本のロックバンドのコンサートで一緒にやることにも意味があると思います。メンバーのそれぞれの意志を集約した集大成を見ていただきたいです。

 ◇「和楽器」という言葉を世界に広めたい

 ――番組を楽しみにしている人にメッセージをお願いします。

 画面を通して和楽器バンドに初めて触れる方も多いと思うので、私たちの、ロックバンドではあるんですけれどもエンターテインメントショーを、メンバー8人だけではなく、お客さんも含めた空間全体で出来上がっているライブエンターテインメントを見ていただいて、もっと和楽器バンドに興味を持ってくださればいいなと思っています。

 ――今後の野望は?

 全員:(口々に)世界制覇です(笑い)。

 鈴華さん:日本といえば、和楽器バンドっていわれるぐらいの存在になりたいですね。なぜ、私たちが「和楽器バンド」っていうバンド名にしたかというと、「和楽器」っていう言葉を「サムライ」とか「スシ」のような言葉として広めたいと思ったんです。でも、まだまだ日本でも「和楽器バンドのくせに、洋楽器がいるじゃん」とかいわれることも本当に多いんです。私たちがやりたいのは、和楽器と洋楽器とが融合している、新感覚ロックエンターテインメントなんです。そういうことをちゃんと伝えていきたい。グラミー賞受賞、そして、3年後には東京五輪でパフォーマンスができるようなバンドになれたらと思っています。

 *……「和楽器バンド 大新年会2017 東京体育館 2.18 桜ノ宴」は3月19日午後8時半からWOWOWライブで放送。現在、ライブダイジェスト映像を番組サイトで公開中。また、「和楽器バンド特製手ぬぐいWOWOWオリジナルカラーver.」をプレゼントするキャンペーンも実施している。

 <プロフィル>

 鈴華ゆう子さん(ボーカル)、いぶくろ聖志さん(箏)、神永大輔さん(尺八)、蜷川べにさん(津軽三味線)、黒流さん(和太鼓)、町屋さん(ギター)、亜沙さん(ベース)、山葵さん(ドラム)の8人組ロックバンド。2013年、鈴華さんの呼びかけで「鈴華ゆう子with和楽器バンド」を結成。2014年1月に「和楽器バンド」に改名し、同年4月、アルバム「ボカロ三昧」でメジャーデビューを果たす。デビュー以来ライブのチケットがほぼ即日完売し続け、15年9月にリリースしたアルバムは「八奏絵巻」がオリコン週間アルバムランキングで1位を獲得。16年1月には初の日本武道館での公演を、同年3月には初の米ニューヨーク単独公演、7月には初の北米単独ツアーを開催。17年3月22日に3枚目のアルバム「四季彩 -shikisai-」をリリースする。

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