芥川賞作家の羽田圭介さんと俳優の柄本佑さんが13日、東京・渋谷のNHK放送センターで行われた17日放送のドラマ「スクラップ・アンド・ビルド」(NHK総合)の完成披露試写会後の会見に登場。原作者の羽田さんは「今日ここに来るのを前日に決めた」といい、「最近、新作小説を出したんですけど、部数を刷ったわりに増刷がかからなくて。わりとプロモーションやったのに売れないなって……」とぼやくと、「それならこの(芥川賞受賞作の)『スクラップ・アンド・ビルド』を売る方が早いんじゃないかって、売るために行ったほうがいいなって」と急きょ会見に出席した理由を明かした。
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さらに羽田さんは「だからドラマを見ておしまいじゃなくて、最終的に本を買っていただいて、そこで完結って感じで、視聴者にはご理解いただきたい」とアピールし、会場の笑いを誘った。
「スクラップ・アンド・ビルド」は2015年に芥川賞を受賞した小説で、未来が見えない毎日を生きる一人の青年の再生の物語。仕事をやめ、無為な日々を送っている健斗(柄本さん)は、体が思うようには動かず、口ぐせは「もう死んだほうがよか」という要介護の祖父(山谷初男さん)に安らかな死を与えようと、過剰な介護を行うようになるが……というストーリー。健斗の恋人を山下リオさん、健斗の親友を浅香航大さんが演じ、秋元才加さん、浅茅陽子さんも出演している。
羽田さんはドラマの脚本を読んで「すごいなって思った」といい、「原作はわりと視野の狭い男が暴走する話なので、地の文がすごく多い。なので、地の文が多い小説をドラマ化するのって難しいだろうなって思ったんですけど、脚本を拝見したら原作の雰囲気をわりと忠実に再現していて。独白を使わないで8割くらい同じ感じにできているのは本当すごいなって。脚本から僕の小説にフィードバックもある感じで、説明らしくないせりふのやり取りで表現できるんだなって、本業にも学ぶところがありましたね」と感心していた。
また主演を務めた柄本さんは「なかなか自分が出てると客観的に見られなくて(笑い)。しかも比較的長い時間出ているので、自分のことばっかり追っかけちゃって、頭に血がのぼちゃって、震えながら見ている感じでした。でも現場では監督がいろいろとこだわられて、記憶ではずいぶん時間がかかってたなって印象だったんですけど。見させていただいて、そのかいがあったというか、そういうものにはなっているんじゃないか」と話した。
ドラマ「スクラップ・アンド・ビルド」は、NHK総合で17日午後9時に放送。
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