ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
1997年から20年近く放送されているアニメ版「ポケットモンスター」。そんな長寿アニメで今月、主人公のサトシが20年で初めてリーグ戦の決勝に進出し、ネット上ではサトシがついにポケモンマスターになるかと大いに話題を集めた。近年にない盛り上がりを見せたアニメ版ポケモンを、週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴する“オタレント”の小新井涼さんが独自の視点で分析する。
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この夏、大いに話題をさらった「ポケモンGO」。夢中になっている大人たちの中には、これを機に、久々にポケモンに触れたという方も多いのではないでしょうか。そんな「ポケモン懐かしい」状態のあなたにはぜひ、その勢いでアニメを見ていただきたい!
というのも実は今、現行のテレビシリーズ「ポケットモンスターXY&Z」が、「ポケモンGO」に負けないくらい、盛り上がっているのです。今こそ見るべきポケモンアニメ。その3つの激アツポイントを紹介します。
一つ目は、「サトシ感動の復活劇」。常にチャレンジャーとして挑み続ける立場であった主人公・サトシが、“自分に憧れ、追いかけてくる存在”である「ショータ」という後輩トレーナーと出会い、初めて“追われる恐怖と、追い抜かれる絶望”を味わいます。
いつも明るいサトシがピカチュウも連れず、「ひとりになりたいんだ」と森へ消えてゆく後ろ姿……。しかしそんなどん底の状態から、追われることで変にあせってしまっていた自分に気づき、見失っていた本来のサトシらしさ、「絶対に諦めない」精神を取り戻してゆくのです!
テレビアニメが始まって約20年。第1話をリアルタイムで視聴していた世代としては、後輩が憧れるくらい成長した背中が感慨深く、変わらないサトシ“らしさ”には胸が熱くなってしまいます。
そんなサトシの復活劇で重要な役目を担っていたのが、「ゲッコウガ」というポケモン。彼こそが、二つ目の激アツポイントです。先日行われた「ポケモン総選挙720」では、なんと720匹中1位に輝くほどの大人気。
その理由の一つに、サトシと心も体も強い絆で結ばれた究極の進化系「サトシゲッコウガ」の存在があります。それはピカチュウという“相棒”とも違う、まさに一心同体の関係。ところがそうして強くなる一方、感覚までリンクしてしまうため、ゲッコウガのダメージをサトシも感じ、戦闘不能になるとサトシまで気を失ってしまう、なんてことも。でもそういう“諸刃の剣”のような危うさが、むしろぐっときませんか!? お互いボロボロになりながらも技を繰り出す瞬間のシンクロは迫力満点。思わずときめいてしまうこと間違いなしです。
しかし、そんなサトシゲッコウガでさえ、かなわなかったトレーナーがいます。最後の激アツポイントであり、テレビスペシャルとして放送されたスピンオフの主人公「アラン」です。サトシより年上のクールな青年なのですが、少々ストイックすぎて余裕がないという一面も。しかもそんな性格を利用され、知らぬ間に敵の野望に加担してしまっていたという、哀愁漂うイケメンキャラです。本編とのクロスオーバーにより、先日はサトシとのダブル主人公対決が実現。激戦を通じて、強さだけが全てじゃない、ポケモンバトルへの情熱を感じはじめていた矢先……、彼を利用していた黒幕が本性を現したのが、つい先日の放送でした。
そして物語はいよいよ佳境へ。破壊される街、とらわれたサトシ、アランの葛藤。熱い展開満載のアニメは、まさに見るなら今!なのです。ちなみに今から追いつくならば、配信でXY&Zの27話から見返すのがオススメ。時間のない方は、個人的神回の36話だけでも見ていただけましたら、この興奮が伝わると思います。
そんな激アツのポケモンアニメ。久々に視聴した人の中には、懐かしい!と感じつつ、「でもサトシはいつになったらポケモンマスターになれるのだろう」と、ついつい考えてしまう方もいるのではないでしょうか。
前述の通り約20年旅を続けても、いまだにポケモンマスターになれないサトシ。実を言うと、ひょっとしたら本当の最終回がきても、サトシはポケモンマスターにはならないのではないかと考えています。
というのも、個人的な解釈として、アニメはサトシがポケモンマスターに“なる物語”ではなく、“目指す物語”だと思うからです。ポケモンマスターを目指して、いつもいつでもいつまでも旅を続けるサトシ。それは同一主人公の物語でありながら、舞台や旅の仲間が変わることで、どこか「プリキュア」のように、みなさんそれぞれの心の中に「私の世代のサトシ」が存在するポケモンアニメにおいて、いつまでも変わらない軸であり、しばらくアニメを見ていなかった人が、いつでも視聴しに戻ってこられる安心感でもあるのです。
あなたも「ポケモンGO」を片手に、今もこれからも続くサトシの旅を、またのぞいてみてください。
こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。
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