NHK大河ドラマ「真田丸」で、女優の長澤まさみさんが演じるきりが、「うざカワイイ」と話題となっている。堺雅人さん演じる主人公・真田信繁の幼なじみで、生涯寄り添う役どころだが、一人だけ現代風のせりふで、信繁にも“ため口”で話すなど、”戦国のヤンキー”といわれる独特のキャラクターや、空気を読めない態度から「ウザい」という評価も多かったという。それでも物語が豊臣政権成立後の大坂編に突入し、きりが女性として成長を見せるにつれ、「最近は“うざカワイイ”という反応に変化しつつある」(制作統括の屋敷陽太郎チーフプロデューサー)という。“うざカワ”きりの魅力とは……。
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「真田丸」は、戦国時代に信州の小さな領主のもとに生まれた真田信繁が、家族とともに知恵と勇気と努力で乱世を生き抜く姿を描いている。三谷幸喜さんが2004年放送の「新選組!」以来、12年ぶりとなる大河ドラマの脚本を手がけている。長澤さんが演じるきりは、真田家重臣の高梨内記(中原丈雄さん)の娘で、信繁の側室として生涯のパートナーとなる女性だ。
きりは、信繁らきょうだいと、信繁の最初の妻となる梅(黒木華さん)と幼なじみで、信繁に思いを寄せるが、信繁は梅が好きだということに気づいており、信繁に歯向かうような態度を取ってしまう。信繁の祖母・とり(草笛光子さん)と人質になった際も、「のどが渇いた」と言うとりに、目をつり上げて「は?」と返すなど、目上の人にも“タメ口”で話したり、信繁が助けに来た時には、信繁からもらったくしを取りに帰るとだだをこねて、敵方に捕まってしまうなど、わがままな態度からイライラさせられる場面も多かった。
また、信繁と梅の祝言の場を利用して、昌幸が真田を裏切ろうとした室賀正武(西村雅彦さん)を逆に返り討ちにした場に出くわし、何も知らなかった信繁を連れてきて「いいの!?それで!」と詰め寄った場面では、「空気が読めない」などと物議を醸した。信繁をめぐって“女のバトル”を繰り広げる梅が、しっかりもので、頭が良くて、「空気が読める」したたかな女性ながら、素朴な笑顔から何を言っても嫌みにならないキャラクターであることから、“ウザさ”が際立ってしまったのだろう。
視聴者の反応に変化の兆しが見られたのは、4月に大坂編に突入してからだ。第17回「再会」(5月1日放送)では、信繁が秀吉の側室茶々(竹内結子さん)に、「二人はいい仲?」と尋ねられ、秀吉の目を気にした信繁が「ええ、まあ」と肯定すると、胸に手を当てて喜ぶきりの素直な様子に「カワイイ」という声もあったという。第18回「上洛」(5月8日放送)では信繁の姉・松(木村佳乃さん)が記憶を取り戻した際には、本人は無意識ではあるが活躍した。
屋敷CPは「きりは正直で素直ということが、分かっていただけつつあるのかもしれません」と話す。信繁をいちずに思う姿は可愛らしくも見えるし、よくも悪くも素直なところが徐々にではあるが、受け入れられつつあるのだろう。
堺さんは、大坂編に突入する前のインタビューで、きりについて「ドラマがすんなりいったら、つまらないところを引っかき回す大事な役割。(長澤さんは)難しいところをやってくれているので、信頼しています。ますます重要度が増していく」と話していた。“うざい”と思われるのは、難しい役どころであることは間違いない。長澤さんは難役に挑戦していることもあり、堺さんの信頼も厚いようだ。
きりは、信繁が命を落とす大坂の陣まで寄り添う重要な人物となる。一年間にわたって登場するため、最初は“ウザい”などと注目を集めつつ、徐々に重要度が増していき、印象も変わっていく……という視聴者を飽きさせないための演出なのか? きりの今後の活躍がますます気になるところだ。
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