まだ間に合う春ドラマ:「99.9」VS「グッドパートナー」好調弁護士ドラマ 松潤・香川、竹野内・松雪の個性派タッグの逆転劇

「グッドパートナー」第3話の一シーン。(左から)熱海優作(賀来賢人さん)、咲坂健人(竹野内豊さん)、猫田純一(杉本哲太さん)=テレビ朝日提供
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「グッドパートナー」第3話の一シーン。(左から)熱海優作(賀来賢人さん)、咲坂健人(竹野内豊さん)、猫田純一(杉本哲太さん)=テレビ朝日提供

 今期の連続ドラマがスタートして約1カ月。各局ともに意欲的な作品ぞろいだが、テーマや見どころ別に注目ドラマをまとめてみた。ストーリーはまだ序盤、見逃した人も配信サービスなどでまだまだ追いつける。ゴールデンウイークを機に注目ドラマを見どころ別に振り返ってみる。今回は好調の弁護士ドラマ2本。第2話で今期民放連ドラの最高平均視聴率となる19.1%を記録した「99.9―刑事専門弁護士―」(TBS系日曜午後9時)と、初回12.9%とこちらも好発進の「グッドパートナー 無敵の弁護士」(テレビ朝日系木曜午後9時)の“弁護士対決”だ。

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 「99.9」は、「半沢直樹」「下町ロケット」などのTBS日曜劇場で、「嵐」の松本潤さんが弁護士役で初主演となるドラマ。「99.9」とは、刑事事件で起訴された被告が裁判で有罪になる確率「裁判有罪率」で、松本さん演じる刑事専門弁護士・深山大翔(みやま・ひろと)が同僚弁護士たちと、99.9%有罪が確定したと思われる事件でも、残された0.1%の事実を納得がいくまで追求する物語。深山とチームを組むのが、「日曜劇場」で毎回強烈な演技を見せる香川照之さん演じる企業弁護で輝かしい実績を持ちながら、人を見下す態度で人望がないベテラン弁護士・佐田篤弘と、榮倉奈々さん演じる上昇志向が強い努力型の秀才弁護士・立花彩乃。ほかに、3人が所属する斑目(まだらめ)法律事務所の所長・斑目春彦役で岸部一徳さん、次期検事総長候補・大友修一役で奥田瑛二さんらも出演。深山を支えるパラリーガル明石達也を演じる「ラーメンズ」の片桐仁さんの“怪演”が話題となっている。

 8日放送の第4話は、深山たちへの新たな依頼は、太陽光発電に関する世界的発明者である菊池 (板尾創路さん) が、仕事の元同僚である 井原宏子 (ハマカワフミエさん) に対して行ったとされる強制わいせつ事件。強く無罪を主張する菊池だが、当事者の証言以外の証拠が乏しく、証明は困難で、そこに菊池の勤めるウドウ光学研究所の社長・鵜堂 (升毅さん) が、示談させてほしいと提案してくる。菊池が研究を進めている特許技術が完成間近で、裁判のために開発が遅延してしまうためだという。菊池は研究チームにこれ以上迷惑をかけないためにも、示談を成立させるが……という展開。クールそうだが、オヤジギャグを連発する“不思議ちゃん”の深山に対し、最初は不満げだった佐田が人間味を見せ始め、立花も深山の実力を認めて徐々に接近。まとまり始めたチームが、事件にどう立ち向かうかが見どころだ。

 「グッドパートナー」は、打って変わって「企業法務」専門の弁護士事務所が舞台。竹野内豊さん演じる敏腕弁護士・咲坂健人は企業法務全般に精通し、企業間紛争の裁判にも強く、企業買収などのぎりぎりの交渉にも能力を発揮する企業法務専門のローファーム「神宮寺弁護士事務所」のエースビジネスロイヤー。松雪泰子さん演じる同僚弁護士・夏目佳恵と昨年離婚したばかりで、依頼について理路整然と法律論を戦わせることも多く、ときに脱線して、いつしか「パパ」「ママ」と呼び合ってけんかになってしまう2人が、企業間のさまざまな争いに立ち向かう……という展開だ。事務所代表の神宮寺一彦を國村隼さんや、咲坂や佳恵らと事務所経営にも携わるパートナー弁護士・猫田純一を演じる杉本哲太さんら名バイプレーヤーとともに、スタイリッシュに、時にコミカルに、問題をスカッと解決していく。

 5日放送の第3話は、猫田が担当するベンチャー企業「ヒューガクラウド」の上場案件で、業務委託契約を結んでいた会社の経営母体に暴力団が関与している可能性が浮上。猫田は、上場が困難だと判断し、この案件からは手を引きたがるが、ボスの神宮寺からは問答無用で成立させるよう命じられてしまう。咲坂と猫田、アシスタント弁護士の熱海優作(賀来賢人さん)は、業務委託先の会社に対し、契約書内にある「反社会的勢力排除条項」をもとに、契約解除を申し出るが、社長・滑志田吾郎(星田英利さん)は「賠償金を支払え」と強気に出てくる。そんなある日、事務所に咲坂と佳恵の娘・みずき(松風理咲さん)を盗撮した写真が送られてくる。「これ以上クビを突っ込むと娘がどうなるかわからないぞ」という脅しと察した佳恵は、この件から手を引くよう咲坂を諭す……というストーリー。難しい事件に加え、佳恵が顧問先の社員・岸田英樹(横田栄司さん)からランチに誘われたという噂を聞いた咲坂の動揺や、一人娘のみずきの問題を巡る「パパ」と「ママ」の関係も見どころだ。

 両作品とも、一見クールで有能な弁護士だが、どこか抜けていて、熱い心も秘めている主人公が、個性的な同僚たちとともに、難事件をひっくり返す“逆転劇”のカタルシスが最大の見どころだ。さらに「99.9」の深山と佐田、「グッドパートナー」の咲坂と佳恵という反発し合いながら、難問に立ち向かうときには頼りがいのある相棒となる同僚弁護士との関係性と、シリアスな事件に立ち向かう中で、クスッと笑えるコミカルな場面が効果的に織り込まれる演出にも注目したい。

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