この「知らないカノジョ インタビュー」ページは「知らないカノジョ」のインタビュー記事を掲載しています。
中島健人さんが主演を務める映画「知らないカノジョ」(三木孝浩監督)で、本格的に演技に初挑戦したシンガー・ソングライターのmilet(ミレイ)さん。作中では、ヒロイン・ミナミの大学生の頃も演じ、自身の学生時代を思い出したことも。「自分も大学に通っていたこともあって懐かしくもあったし、弾き語りをするシーンは、まだ歌手になる前、歌手を志してもいなかったようなときのことを思い出しながら歌えて、とても楽しかったです」と語るmiletさんに、“何者でもなかった”当時のことを振り返ってもらった。
◇“本の虫”だった学生時代
「知らないカノジョ」は、仏映画「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」が原作のファンタジックラブストーリー。
大学時代に出会い、お互い一目ぼれして結婚したリク(中島さん)とミナミ(milet)。それから8年が経ち、リクはミナミのサポートを受けながら人気のベストセラー作家になっていたが、ある朝リクが目を覚ますとミナミの姿がなく、周囲の人々との会話が噛み合わないことに戸惑う。なんとリクは文芸誌の一編集部員となっており、街にはトップアーティストとして活躍する自分とは知り合ってもいない“前園ミナミ”の姿と曲が広がっていた……というストーリーが展開する。
miletさん自身、学生時代は「ずっと図書館にこもっていた」という。
「勉強が好きで、本が好きで、“本の虫”みたいに演劇や映画の本を読み尽くしていました。友達はそんなに多くはなかったのですが、そのときに、今でも親友と呼べる友達ができて、その友達に今につながるすごく大事な音楽のピースを教わったりもしたけど、でも一言でいうと“図書館にこもっていた人”でした(笑)」
またmiletさんは当時「何になりたいっていうのもなかった」といい、自身を「何も決まってない“さすらいの学生”」と表現。そんな学生時代には多くの挫折も経験。「失敗だらけでした」と振り返る。
「性格的にシャイだったし、何かに挑戦する勇気もなかった。でもそれがあったから、今につながっているなとも思っていて。当時、ほかの何かで成功していたら音楽を志すことはなかっただろうし、いろいろな失敗もあって、その失敗を糧にできたからこそ、今ここに立っているとも思えるんです」
「失敗だらけ」で逆に強くなれたことも。
「失敗をし過ぎたからこそ、失敗が恥ずかしくもなくなっていって。だから音楽で音を外して歌おうが何しようが今は恥ずかしくないし、失敗することで学べることもあるって勉強できたので、失敗だらけで逆によかったなと思います」
◇“言葉の大切さ”を知ったのは小学生?
図書館にこもるほどの本好きのmiletさん。その後のシンガー・ソングライターとしての活躍へとつながる“言葉の大切さ”を知ったのは、実は小学生の低学年の頃だった。
きっかけは恩師といえる当時の教師との出会い。
「詩がすごく好きな先生で、ものすごい数の詩を覚えさせてくれたんです。クラスのみんなで詩を覚えていこうという感じでもあったのですが、それこそ200~300くらいの詩を小学1年から3年までの3年間で覚えさせられて、そのときに言葉の美しさ、誰がどういう感情を込めて言葉をつむいだのかを幼いながらに学んだなと思います。あの経験があったから、今、書ける歌詞もあると思いますし、言葉を大切にできるようになったんだなって」
言葉によってつなげられた人生を歩み、多くの挫折や失敗を糧に、さらに前へと進もうとしているmiletさんに、今後さらなる演技への挑戦はあるのか、最後に聞くと……。
「映画の撮影はなかなか大変で、体力もないとできない仕事だとは思っていて。でもやっぱり新しい自分に出会えて、新しい場所で、音楽とは違う刺激を受けられるのは、すごく新鮮で楽しかったので、次もし機会をいただけるなら、また挑戦してみたいなと思っています」