「愚か者の身分」の　キャストの記事一覧
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　俳優の北村匠海さん主演で、綾野剛さん、林裕太さんが共演する映画「愚か者の身分」（永田琴監督）が10月24日に公開されることが分かった。原作は西尾潤さんが第2回藪春彦新人賞を受賞した同名小説（徳間文庫）で、現代日本に生きる若者たちと隣り合わせにある“闇”をテーマに描いた逃亡サスペンス。併せて、イメージビジュアルとプロジェクト映像も公開された。

　映画は、貧しさから闇ビジネスの世界に足を踏み入れてしまい、抜け出せなくなった3人の若者たちの運命と絆を描いた物語。彼らの3日間の出来事を、3人それぞれの視点が交錯する形でつづる。Netflixドラマ「今際の国のアリス」シリーズや「幽☆遊☆白書」などの話題作を手掛けるプロデューサー集団「THE SEVEN」が初の劇場作品として映画化。「渋谷区円山町」「LittleDJ～小さな恋の物語」の永田琴さんが監督を務める。

　SNSで女性を装い、身寄りのない男たちを利用して戸籍売買で稼ぐ主人公・松本タクヤを北村さん、裏社会の運び屋でタクヤに戸籍売買の仕事を教えた兄貴的存在の梶谷剣士を綾野さん、複雑な家庭環境で家族の愛を知らずに育った柿崎マモルを林さんが演じる。

　公開されたイメージビジュアルでは、タクヤ、マモル、梶谷の3人が、ネオン輝く新宿・歌舞伎町の街をバックに肩を組み、笑いあう姿が切り取られている。プロジェクト映像では、メーキング風景に加え、北村さん、林さん、綾野さんが、自身の演じた役や本作に懸ける熱い思いを語っている。

　今回発表されたキャストとスタッフのコメントは以下の通り。

　◇北村匠海さんのコメント

　失うものなど何も無くなった男たちが、それでも生きようとする映画です。林裕太さん、北村匠海、綾野剛さん、3つの世代の想（おも）いのリレーのように感じられた撮影期間。剛さんから僕へ、僕から裕太へ。その先に「裕太」は、「マモル」は何を思うのか。映画館でぜひ感じて欲しいです。

　◇綾野剛さんのコメント

　彼らに名前はあるのだろうか。彼らは自身を生きているのだろうか。いつから彼らは自分で自分を抱きしめなければいけなくなったのか。北村匠海が織りなす繊細な煌（きら）めきと、林裕太が生み出す瑞々しい輝き。そんな彼らの呼吸を抱きしめ続けた永田琴監督。光を奪われた者と、光を諦めた者。そして光を切り開く者の物語。ぜひ劇場でその光に触れていただけたら幸いです。

　◇林裕太さんのコメント

　マモル役の林裕太です。いっぱい食べろと言われると、生きろ！　と言われている気がします。大丈夫と言葉をかけられると、本当に大丈夫な気持ちになります。この作品ができるまでにいろいろな人がマモルに居場所をくれました。人にしてもらったことを誰かにしてあげたい、そう思うことが生きようとする力に繋がるのだと思います。それを教えてくれた映画です。たくさんの人に届いて欲しいです。

　◇監督・永田琴さんのコメント

　この数年、若者の深刻な貧困や犯罪を私自身も目の当たりにし、何か表現できないかと考えていたところ、西尾潤さんの原作と出会い、これだ！　と企画しました。私にとって初となる男たちの物語を素晴らしい役者たちが彩ってくれています。経験に裏打ちされた深みと純粋さが同居し、画面に映った瞬間ハッとさせられる存在感を放つ北村匠海。芝居をどこまでも追求し物語に深みを与えてくれた綾野剛。等身大の繊細な表情で私の心をわしづかみにしてくれた林裕太。日本の社会問題をあらわにしつつエンターテイメントに仕上げた渾身の一作です。

　◇原作者・西尾潤さんのコメント

　「人は生まれる身分を選べない。では、それが売買できるとしたら——？」

　本作は現代社会に潜む歪みと、そこに翻弄（ほんろう）される人間たちの姿を描いた物語で、自身のデビュー作です。

　ひっそりと一人の部屋で生まれたキャラクターたちが、こうして永田監督のもとにたくさんの人と出会い、映像化されたことは、今でも夢の中の出来事のよう。善と悪、欲望と絶望の狭間で揺れる青年たちの選択を、ぜひ劇場で見届けてください。スクリーンに現れたタクヤ、マモル、梶谷は、原作者の中で動いていた時よりも、遥かに魅力的な愚か者でした！

　◇プロデューサー・森井輝さんのコメント

　親も、社会も、誰からも手を差し伸べられず、それでも生きてきたことで現代社会の闇に飲まれ、翻弄されてしまう青年たち。一体誰が悪なのか……どこで間違えたのか……。

　この者たちの人生は、私たちの知りえないところで起きて消えている。しかし、それはすぐ側にあり、自分や家族にも起きうることです。この殺伐とした世界で、ほんの小さな、当たり前の幸せだけを望むタクヤ、マモル、梶谷。どうか観客の皆さんの温かな目線で包み込んであげて欲しいです。素晴らしい原作を、素晴らしいキャスト、監督、スタッフで映画化に臨めたことに大感謝。