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悪役令嬢転生おじさん:「マツケンサンバII」なぜ悪役令嬢アニメのEDに? 「想定以上の反響」

「悪役令嬢転生おじさん」のエンディング(c)上山道郎・少年画報社/悪役令嬢転生おじさん製作委員会・MBS

 「月刊ヤングキングアワーズGH」(少年画報社)で連載中の上山道郎さんのマンガが原作のテレビアニメ「悪役令嬢転生おじさん」。52歳のおじさん、屯田林憲三郎が、乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生する……という展開のアニメなのだが、衝撃的なのは展開だけではない。第1話が1月9日に放送されると、エンディングテーマ(ED)が、俳優の松平健さんの代表曲「マツケンサンバII」のカバーであることが明らかになり、SNSなどで大きな話題となっている。原作に松平さんが登場するわけではないし、サンバも関係ない。なぜ、「マツケンサンバII」なのだろうか? アニメを手掛けるMBSの青井宏之プロデューサーに聞いた。

 ◇実は共通点が…

 同作は、おじさん×異世界転生×悪役令嬢がテーマのコメディー。52歳の真面目な公務員、屯田林憲三郎が交通事故に遭い、乙女ゲーム「マジカル学園ラブ&ビースト」の世界の悪役令嬢、グレイス・オーヴェルヌに転生する……というストーリー。悪役令嬢として振る舞うことを決意する憲三郎だったが、親目線の発言と庶民的な言動を優雅なものに自動変換する能力“優雅変換(エレガントチート)”が発動し、意図せずゲーム攻略対象のイケメンたちとフラグが立ちまくることになる。MBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズムTURBO」で毎週木曜深夜0時26分に放送中。

 アニメのEDは、井上和彦が演じる屯田林憲三郎、M・A・Oさんが演じるグレイス=憲三郎が「マツケンサンバII」をカバーした。EDが「マツケンサンバII」のカバーであることは、第1話の放送前は伏せられていた。金のジャケットを着たグレイスと憲三郎が、熱唱しながら踊る。公務員の憲三郎の手には決算書がある。放送後にSNSで「まさか!」「なぜ?」などと話題になり、放送直後にYouTubeで公開されたノンクレジット版エンディング映像は8日間で100万回再生を突破。「悪役令嬢転生おじさん」は「今期のダークホース」とも呼ばれるようになった。

 「マツケンサンバII」をEDにするアイデアは、青井さんから生まれた。構想が生まれたのは約4年前にさかのぼる。青井さんが原作に注目したのは2019年12月で、当時、ツイッター(現X)に投稿され、話題になっていた作品を読み、連載が決定するとすぐにアニメ化に向けて動き出した。

 主人公が乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生する“悪役令嬢もの”は、今でこそさまざまなアニメが制作されているが、当時は小説投稿サイトでは盛り上がっていたものの、アニメはほとんどなかった。“悪役令嬢もの”のアニメが注目されるきっかけになった「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(はめふら)」の第1期が放送されたのが2020年4~6月で、青井さんがアニメ化に動き出したのは「はめふら」の放送前だった。青井さんは「はめふら」のプロデューサーでもある。

 「当時、悪役令嬢ものは、アニメ化はされておらずまだまだアニメ視聴者の方には浸透していませんでした。その頃、完成した『はめふら』の第1話を見て、ドラマがしっかりしていて、主人公も魅力的なので、これは話題になって多くの人に受け入れられるジャンルになるだろうと感じていました。いわゆるチート系の異世界転生ものも魅力的な部分はあるのですが、またこのジャンルは違う魅力があります。『悪役令嬢転生おじさん』は、悪人が出てきません。善意にあふれています。憲三郎がおじさんですし、年代が近い方も共感できます。残虐なシーンもないので、子供だって楽しめるはず。老若男女が楽しめる作品だと感じました。原作サイドにアニメ化の話を持ちかけたのが2020年4月頃で、ありがたいことにすぐに許諾をいただけました。ただ、当時はコミックスもまだ発売されていなかったので、アニメ化に向けて本格的に動き出したのは、第1巻が発売された2020年12月以降になります」

 2021年に入り、アニメ化に向けて本格始動し、「マツケンサンバII」をEDにするアイデアがひらめいた。「マツケンサンバII」が大ヒットしたのは2004年で、20年以上にわたって老若男女に愛され続けている名曲だ。

 「『マツケンサンバII』は老若男女に愛され、聴いていると多幸感にあふれ、元気をもらえます。善人しかいない世界の『悪役令嬢転生おじさん』の締めとして、この曲が流れれば、もっと楽しくハッピーになれる。見た方が、笑えて、楽しく、心が温かくなるそんなアニメ作品にしたいと思っていました。話数によって昭和歌謡や平成のヒット曲のカバーする案もあったのですが、インパクト、この作品の締めくくりを考えると『マツケンサンバII』以上のものはありませんでした。優しさにあふれているこの作品だからこそ『マツケンサンバII』なんです」

 “悪役”というタイトルのインパクトは大きいが「悪役令嬢転生おじさん」は、ほのぼのコメディーだ。「マツケンサンバII」との共通点を見いだし、ある種の確信があったものの、周囲の反応は鈍かったという。

 「 『まあ、いいんじゃないですか……』という反応がほとんどで、手放しに絶賛されることはありませんでした。おそらく、どんなものになるかイメージしづらかったのかもしれませんね。一人だけ『最高じゃん!』と言っていただけたのですが。自分のエゴを突き通したところもあります。普段は、私のような立場の者は、エンディングのコンテ打ち(コンテに関する打ち合わせ)には参加しないのですが、この作品は監督のご厚意で参加させていただきました。レーベル、スタッフ、キャストの皆さんの力で素晴らしい映像になりました」

 ◇たまたまブームと重なった

 「マツケンサンバII」は、ポップアップショップやコラボカフェがオープンしたり、松平さんが異世界へ召喚されるマンガ「マツケンクエスト~異世界召喚されたマツケン、サンバで魔王を成敗致す~」が連載されたりと近年、何度目かのブームが巻き起こっている。

 青井さんが「悪役令嬢転生おじさん」のEDとして構想したのは、近年のブームの前だった。ブームを見越していたわけではないといい、「そこは狙っていたわけではなく、本当にたまたまなんです。ただ、この4年間、ほかのアニメの主題歌になるかもしれない……とヒヤヒヤしていました。私が考えることは、ほかの人も考えているでしょうし」と明かす。

 大きな反響を受けて「もちろん盛り上げるためにやっていることですが、想定以上の反響です」と喜び、「放送前に一切情報を出さなかったのもよかったと思っています。放送前にOP、EDを出して、まずは知ってもらおうとするのが正しい宣伝だとは思いますが、この作品に関してはサプライズで見せたかった。EDをきっかけに本編を見ていただけることもあるようです」と語る。

 EDだけが盛り上がっているわけではなく、本編の“優しい世界”に魅了される人も多い。青井さんは「原作で名曲を歌うシーンもきっちりアニメで再現しています。アクションシーンもあり、かなり力が入っています。見応えのあるシーンがまだまだあります」と話しており、今後の展開も注目される。

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