この「ムーンライズ インタビュー」ページは「ムーンライズ」のインタビュー記事を掲載しています。
「進撃の巨人」「SPY×FAMILY」などで知られるWIT STUDIO制作のオリジナルアニメ「ムーンライズ」が、Netflixで4月10日から世界独占配信される。小説家、脚本家の冲方丁(うぶかた・とう)さんがストーリー原案、マンガ「鋼の錬金術師(ハガレン)」などで知られる荒川弘さんがキャラクター原案、「進撃の巨人」を手掛けた肥塚正史さんが監督を務めるなど豪華布陣によるSFアニメで、人気声優の小林千晃さんが主人公のジャックことジェイコブ・シャドウを演じる。小林さんに作品の魅力、収録の裏側を聞いた。
◇SFに不慣れな人こそ見てほしい作品
同作は、全ては国際AIネットワーク<サピエンティア>に委ねられ、人々がサピエンティアの合理的判断に従って生活を送る世界が舞台。サピエンティアが進めた月開拓事業は、汚染物や犯罪者を月に送ることで平和を保つ地球と、貧困な生活を強いられる月の格差を生み、独立戦争の火種となりつつあった。ある日、爆破テロに巻き込まれた主人公・ジャックは、地球からの解放を企てていた月の反乱軍によって家族を奪われる。復讐(ふくしゅう)を誓ったジャックは、地球軍の調査兵として仲間と共に月へ向かうことを決意する……という展開。
小林さんは、オーディションの時点で「一流のクリエーターの方々と仕事でき、しかもオリジナルアニメということで、『ぜひ演じてみたい』という気持ちはすごく強かったです」と感じていたといい、「実際合格をいただけて、純粋に『こういう方々と一緒に仕事できるんだ』という喜びがありました」と語る。
設定やストーリーは、SFに不慣れな人にとっては難しくも感じるが、小林さんは「そういう方にこそぜひ見ていただきたい作品」という。
「実際はすごく見やすいというか。まずアクションシーンが本当に素晴らしくて、高クオリティーなので、SFに詳しくない、設定などにあまり意識が向かないという方も、見ているだけですごく楽しい。また、ドラマの部分がほとんどなので、あんまりSFという捉え方をしなくてもいいのかなと思います」
小林さん演じるジャックと、もう一人の主人公である上村祐翔さん演じるフィル・アーシュは幼なじみで、2人のドラマを軸にストーリーは展開する。幼い頃のとある事件でジャックはフィルが死んだと思っていたが、思わぬタイミングで再会することになる。
「ジャックとフィルの幼なじみのドラマがあって、フィルが死んだと思っていたのに生きていて、しかも、敵なのか味方なのか分からない、どういう意志の元に行動しているのか?と。また、月がなぜ地球に対してここまで反発するのか?という、ミステリー要素もすごく強い。地球と月という大々的なシンボル、テーマがあるからSFとは言っていますけど、ドラマ、ミステリーもすごく大切に描かれています」
◇常に「戦場」を意識した演技 刺激も
小林さん演じるジャックは、月開発事業に携わる大企業の跡取り息子。ただ、養子であるがゆえに自分の立場に複雑な思いも抱いている。
「ジャックは、裕福な家庭で育っていることもあって、結構ひょうひょうとしていて、自分の真意を明かさない。道楽におぼれているようにも見えるんですけど、実は自分が会社の跡取りになることに対して引け目を感じている。だから、あえてひょうひょうとした態度を取ることによって、周囲に『あいつを跡取りにさせない』と見えたらいいなと思っているところもある。実際のところは、仲間思いで、すごく優しくて、熱い人物なので、正義感を意識して臨みました」
ジャックは、月の反乱軍によって家族を奪われた後、月の反乱軍を操るボブ・スカイラムに復讐するため、地球軍の調査兵として仲間と共に月へ向かうことになる。演じる上では、「常に命のやり取りが行われている」ことを意識していたという。
「キャスト全員に三間雅文音響監督から『毎回命をかけて戦っていることを忘れるな』と常に言われていました。戦場に立っているのが常なので、ちょっとした日常ぜりふや、仲間にちょっとした言葉をかけるシーンなど、つい抜いてしまいがちなところをなくして、常に緊張感があるように。いつ殺されるか分からないという前提がある上で雑談するとか。また、味方を見送るとか、敵地に行くというシーンも『帰ってこれない』というのを前提に演じていました」
常に戦場を意識したアフレコの中で、特に小林さんが印象に残っているのは、“叫び”のシーンだという。
「リースやマリーといったヒロインに対して、ジャックが手を伸ばして『リース!』『マリー!』と助けようとするシーンがあるのですが、その叫びは、毎回結構リテークを重ねたので、印象に残っています。シーンごとに状況は違うのですが、ジャックの心理としては『自分の仲間を助けたい』という思いが強くある。ストーリーの前半は、ボブ・スカイラムになかなかたどり着けないとか、敵の部隊がやってきてイライラして、八つ当たりするような叫びが多かったのですが、中盤以降、仲間を助けるための叫びが多くなって、同じ叫びだけど、目的が違うだけで変わるのだなと」
収録では、刺激を受けることも多かったという。
「リース役の山田(美沙希)さん、フィル役の上村さんとは、掛け合う回数が多かったこともあり、すごく刺激的でした。特にリース役の山田さんは、この作品で初めてメインキャラクターを演じたらしくて。三間音響監督が、かなりこだわりが強い方なので、あの方のラインを超えるのは結構大変なんですけど、それに腐らずに戦って、成長していったというか。アフレコは1年半くらいあったので、その間に、役と役者の成長を見れたのがすごく大きかったです。上村さんは、ほかの作品で何回も共演してますけど、対になる役で一緒になったのは初めてだったので、すごく楽しかったです。終わった後に2人でご飯に行って、掛け合いのことを話す時間も楽しかったですね」
◇アイナ・ジ・エンドの主題歌に癒やされる 「サウナみたいに整う」
小林さんは、完成した映像を見て「総合芸術の結晶」と感じたという。
「オープニングからエンディングに至るまで、本当にすごいクオリティーです。わくわくさせられながらオープニングが始まり、圧倒的なアクションと、僕らが本当に死に物狂いでやったお芝居、戦争地帯の悲愴(ひそう)なSE、悲鳴などが合わさって、ぐちゃぐちゃな感情のまま、一つのエピソードが終わっていく」
そんな中で、アイナ・ジ・エンドさんによる楽曲「大丈夫」が主題歌として流れ、「アイナさんの歌声で癒やされる。サウナみたいな感じで“整う”」と語る。
「アイナさんの楽曲『大丈夫』がすごくしみますね。アフレコ全て終わった後に、完パケを見させていただいたんですけど、全部を演じた後だからこそ、エンディングの映像と歌詞、アイナさんの歌声が涙を誘うというか、素晴らしかったです」
最後に「ジャックとフィルの幼なじみが、月と地球と異なる立場に置かれて、それぞれの思惑で進んでいくんですけど、その思惑が最後の最後まで明かされないんです。核心がなかなか見えてこない面白さがある。また、ほかの作品では見られないアクションの作り方をしています。アクション好きの方、ミステリー好きの方、SFをあまり見たことがないという方にもぜひ見ていただけると幸いです」と魅力を語る小林さん。
豪華スタッフ、小林さんら声優陣の熱演により創り上げられたSF大作を堪能したい。